2013年12月27日(金)に大阪・近鉄花園ラグビー場で行われた「U18花園女子セブンズ」の模様をお伝え致します。(第93回全国高等学校ラグビーフットボール大会開会式の後に実施) ●MATCH1 普及の部 メンバーはこちら ■12月27日(金)11:20キックオフ 東軍 5 5-17 24 西軍 0-7 試合前のアップの様子 東軍円陣 西軍円陣 両チーム選手入場 上原睦未レフェリーの笛で試合開始 観客席からの熱い応援 約5000人の観客が見守ります ボールを持って独走 トライした西軍 山本久代選手 独走トライ 東軍 鈴木彩夏選手 試合を見つめる東軍の選手・コーチ陣 こちらは西軍の選手・コーチ陣 ノーサイド ラグビーの聖地である近鉄花園ラグビー場において、男子の全国大会開会式直後にエキシビションとして行われるU18花園女子セブンズも、今年でハイパフォーマンスの部は5回目、普及の部は3回目の開催となりました。すべての試合を観戦してきましたが、年々女子選手の増加に伴い指導・競技レベルともに向上し、見応えのある試合になってきたように感じます。 普及の部を振り返ってみると、第1回目は、後半西軍が10点差を追い上げ逆転し、17対15というスコアのまま試合終盤へ。西軍ボールスクラムの開始直前にラストワンプレーを告げるブザーが鳴りロスタイムに突入。このまま西軍がタッチラインの外にボールを蹴り出し試合終了かと思われた直後、東軍にスクラムを押し込まれターンオーバー。そのまま外に展開、逆転トライを奪われ試合終了。第2回目は、一進一退の攻防の中お互いに3本ずつトライを奪い試合終了。しかしゴールキックをすべて決めた東軍が21対17で勝利。 いずれの試合も両チームの選手に能力の差はさほどないように感じています。しかし、今日の女子ラグビーブーム以前から育成され、試合経験も豊富な関東圏の選手を中心とする東軍の方が過去2年間は優勢です。ただ、東軍の選手のみならず、西軍の選手の経験値も上がってきており、今回の試合こそは西軍に初勝利をもたらしたい。そのことを目標として試合に臨みました。 12月26日に宿舎に集合し行われた練習会で話した、今回の私のテーマは<1>コミュニケーション<2>個々のディフェンス<3>ラインディフェンスの3点でした。幸い夏のコベルコカップなどでの顔見知りが多く、早くから仲の良い姿を見ることができ、名前を覚えながら行うアップメニューでグッとチーム力が上がったように感じました。その後はFW・BKに分かれ、FWはスクラムとラインアウト、BKはパススキル、ラインアタックを確認しました。このとき感じたのは選手個々のスキルの高さでした。年々飛躍的にレベルが上がってきており、プレーに対するコメントの理解力も高く、昨年より1つ上のレベルで話をすることができました。 27日は晴天に恵まれ、試合前のウォーミングアップから気持ちよく身体を動かすことができました。私が試合前に選手に伝えたことは、上記の3点に加え、<1>個々の激しさを見せつけろ!<2>ビッグゲイン・ビッグヒットなど、一度でいいから観客を沸かせろ!<3>コミュニケーションをとり続けるために声を出せ!の3点でした。 キックオフから終始西軍優勢で試合を運び、スタンドを沸かせるプレーも多く、終わってみれば24対12で西軍初勝利をおさめることができました。東軍のレベルが下がっていたわけでなく、試合のレベルも昨年より格段に上がっており、普及の部ではありますが、男子のラグビーを見慣れた観客たちも観戦を楽しめた内容だったように思えます。 今回の試合は、西日本の女子ラグビー競技レベルの向上と普及に力を注いでいた私にとって、ものすごく意味のあるものとなりました。私と同じような想いを持った指導者の方々のおかげで、女子ラグビー先進地域の関東に追いつくことができ大変うれしく思います。またこのことが、日本の女子ラグビーの強化にも繋がっていくはずです。 高校の部活動としての女子ラグビー部は年々増加してきており、全国各地に広がってきました。これまでクラブチームや男子に混じっての練習でしかラグビーができなかった環境から、女子ラグビー自体の大会が開催されるまでになりました。そしていつか、男子のような全国大会まで行われる時期も来ると信じ、全国各地の先生方と手を取り合いながら、今後も強化・普及に関わっていきたいと考えています。 最後にご協賛いただきました(株)神戸製鋼所様、サポート頂いた関係者の皆様、今年もご支援、お力添えをいただきまして、誠にありがとうございました。 普及の部 西軍監督 磯谷 竜也 ●MATCH2 ハイパフォーマンスの部 メンバーはこちら ■12月27日(木)11:50キックオフ 東軍 17 7-0 0 西軍 10-0 東軍円陣 西軍円陣 選手入場 試合を見つめる西軍の選手・コーチ陣 試合を見つめる東軍の選手・コーチ陣 高橋真弓レフェリー ラックから展開してトライ トライした東軍 鵜川志帆選手 スクラム ピッチサイドからの応援 ノーサイド レフェリーにも一礼 客席にも一礼 東軍 勝利の円陣 東軍 西軍 ハイパフォーマンスの部 東軍キャプテン・小出 深冬選手 「連勝記録を伸ばすことができて、ほっとしています。 春夏と、ずっと西軍に勝とうという気持ちで来ていたので、常にライバルがいることは練習の刺激になっています。」 ハイパフォーマンスの部 西軍キャプテン・南 早紀選手 「3年間花園に出場してきて、結果として納得はいかないものだったが自分のプレーは今までで一番良かったと思います。 勝てなかったのは甘さや取り組みの姿勢。次からはステージが変わるが、結果を残せるように頑張ります。」 今回で5回目の開催になりました花園女子セブンズも、女子高生ラガーにとって目標とされる大会として定着してきました。今回の大会は、全国10か所で花園予選決勝の前座として行われたセレクションマッチにおいて選出された東西各10名の選手が出場いたしました。2016年リオデジャネイロオリンピック、さらに2020年東京オリンピックにも7人制ラグビーが正式種目として開催が決定しており注目度も高まっています。女子ラグビー人口も増加し、メディアでも多く取り上げられるようになりました。近年はこの大会に出場した選手が7人制日本代表として世界の舞台で活躍するようになり、この大会が本当に「花園からオリンピック」へ繋がる大会にとなり、日本代表の登竜門的な存在になってきたと感じています。 今大会のハイパフォーマンスの部の選手達は前日の昼に集合し、雨の中約2時間のトレーニングを行い試合に臨みました。この大会に挑む選手のモチベーションは高く、選手同士積極的にコミュニケーションを図り、東西各チーム共に質の高い練習ができたと思います。夜のミーティングも東西合わせて12名の選手が7人制ユース代表という事もあり、互いのプレースタイルを理解しあっていて、場面ごとの対策を選手同士で意見を出し合う内容の濃いものとなりました。 試合開始5分過ぎまでは、ブレイクダウンで一進一退の攻防を繰り広げ両者譲らない展開であったが、東軍の小出が敵陣22mでラックからのボール取りグランドサイドを走り先制トライを決めます。佐藤がゴールキックを決め7-0で前半を終了します。後半開始直後スクラムからのセットプレーで深いラインを引いた東軍が外に大きく展開し、WTCの鵜川が西軍のタックルをかわして60mを独走しトライを奪い12-0と点差をひろげます。後半3分過ぎ東軍が縦に入る攻撃でボールを繋ぎ西軍のデフェンスを崩し、最後にボールをもらった小出がタッチライン際を走って決定点となるトライを決めます。ブレイクダウンでの反応の速さを生かし何度も西軍のボールをターンオーバーした東軍が西軍を完封し17-0で今年も勝利を収めました。 この大会も年々選手のスキルが向上し、見応えのある試合内容になってきたと感じています。女子選手の増加や練習の成果を発揮できる大会が増えてきたこと、セブンズアカデミーでの選手育成や強化が実ってきた結果だと考えています。3年後のオリンピックに向けて、この世代の強化・育成が重要であるために、今後も多くの方々に女子ラグビーへの理解と御支援をお願いしたいと思います。今大会にご協賛いただいた(株)神戸製鋼所様、そして運営してくださった関係者の方々、本当にありがとうございました。 ハイパフォーマンスの部 西軍監督 松浦 稚耶子