マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

流通経済大学 34-26 同志社大学
【セカンドステージ 2013年12月15日(日) /大阪・近鉄花園ラグビー場 】
第50回全国大学ラグビーフットボール選手権大会、セカンドステージ第2戦。第1戦で日本大学を破り準決勝進出に王手をかけたい流通経済大学と筑波大学に敗れて後のない同志社大学の戦い。近鉄花園ラグビー場に3,000人を超える観客を迎えて流通経済大学のキックオフで開始された。

先制したのは同志社大学。前半2分、8分と左WTB宮島裕之がPGを決め0-6とリードした。しかし直後の12分、流通経済大学はゴール前22m付近の中央ラックより右に展開し、最後は右WTB桑江健一郎が右隅にトライを返す(5-6)。第1戦の筑波大学戦ではここから立て続けにトライを奪われた同志社大学もこの日は少し異なり、15分にゴール前30mの右中間ラックより左にBKが展開し、CTB13番林真太郎がポスト左にトライをあげて点差を広げた(5-11)。その後、流通経済大学は27分にBKが巧みにボールをつなぎSO合谷和弘、同志社大学は前半終了間際の37分にゴール直前のラックからNo.8西林宏祐がそれぞれトライを奪い、12-16と同志社大学がわずかにリードして前半を終えた。

後半も先行したのは同志社大学。3分に攻め込んだゴール直前のラックからSH大越元気がポスト下にトライをあげ、12-21と点差を9点に広げた。しかしトライ後のゴールが流通経済大学のチャージにより不成功、前半の2本に続きまたしてもイージーなコンバージョンのチャンスを逸した。

そしてここから流通経済大学の逆襲が始まる。6分のPGは不成功に終わるが、8分には10mライン付近の中央ラックから右に展開し、FB八文字雅和が中央にトライ、こちらはSO合谷和弘のゴールも決まり19-21と2点差に迫る。11分にはゴール前30メートルの左ラインアウトからのサインプレイが見事に決まり、SHの位置に入っていたFL7番ジョージ・リサレがブラインドサイドを走り抜けるスペシャルプレイでそのまま左中間にトライをあげ、ゴールも決まってついに26-21と逆転した。さらに流通経済大学は14分にSO合谷和弘が10mライン付近左中間のPGを慎重に決めて、29-21と点差を広げる。負けじと同志社大学も20分にゴール前5mの左中間のペナルティからNo.8西林宏祐が速攻で飛び込み、左中間にトライをあげる。しかしまたしてもコンバートが不成功で1点差に迫るチャンスを逃した(29-26)。逆に流通経済大学は終了間際の38分、ゴール前10mの中央ラックから左に展開し、最後は再びFLジョージ・リサレが左中間にトライをあげ、同志社大学に引導を渡した(34-26)。

関西大学Aリーグ2位の同志社大学はこれでセカンドステージ2敗となり、準決勝への望みは絶たれたが、LO山田有樹やSH大越元気、WTB松井千士などの1年生の溌剌としたプレイは来年度以降の名門復活に大いに期待を持たせるゲームであった。一方、関東大学リーグ戦を制覇した流通経済大学は次週、準決勝進出をかけて筑波大学との戦いに臨む。FLジョージ・リサレなど留学生を中心としたその破壊力には目を見張るものがあるが、後半22分のシンビンなど詰めの甘さも露呈して、同志社大学の粘りに窮する場面も見られたのが少し不安材料と言える。

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会見リポート
 

監督・キャプテン
流通経済大学の内山監督と高森キャプテン

流通経済大学

○内山達二監督

「今日は、セットプレーでプレシャーをかけて敵陣に入ってプレーするというテーマで臨んだ。ただ、前半はなかなか自分たちの流れをつかむことができずに、後半は自分たちのラグビーが徐々に出来始めた中でプロップをシンビンで失うというアクシデントもあったが、厳しい中でも最後まで自分たちのダイナミックラグビーをやり切れたということは、次のゲームにつながるパフォーマンスだったと思う」

──スコアは競ったが、圧倒できたという点は?

「ブレイクダウンでのプレッシャーとかタックルの部分は評価している。ただ、同志社大は想定以上に能力が高いプレーが多かったので、本当は1トライ以内に抑えたかったが、結果として4トライを与えてしまったという部分は反省材料としてとらえている」

○高森一輝(*)キャプテン

「前半は、自分たちのミスやキックでエリアをうまく取られ得点は負け越していたが、自分たちのやってきたラグビーをしているといつか流れは来ると思って後半に臨んだ。後半は、スクラムでプレシャーをかけ敵陣に入ることができ、1対1でしっかり勝つこともでき、流れをつかみ逆転をすることができた。細かいミスを修正して次の試合に臨みたい」
(*) 高は正しくは「はしご高」

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監督・キャプテン
同志社大学の山神監督と秋山キャプテン

同志社大学

○山神孝志監督

「今日は何としても4トライを獲って勝点6を挙げて勝つというのが目標だった。第1戦の筑波大戦でブレイクダウンのところで倒されていた点を今日は修正して戦った。ただ、今日もブレイクダウンでターンオーバーを許したシーンがいくつかありボールを回しきれなかった、そこが得点を伸ばせなかった理由だ。アタックではいくつかの場面で同志社が目指しているものが出せた。ディフェンスも外国人選手とNO8高森選手(*)をしっかり止めるという対策、ここも取り組んできたことができたかなと思う。紙一重のところで筑波大と流通経済大に勝ち切れなかったことは非常に残念だが、これが今の実力だということ。次戦に向けては1年間やってきたことをしっかり出せるよう準備していきたい」
(*) 高は正しくは「はしご高」

──今日のFWの評価は?

「スクラムに関しては、選手権に入って組み方で正直苦労しているが、今日は良く組めていたと思う。ラインアウトも前半は合わされていることがあったが、冷静に変えていって後半には獲得率を上げていけたことは評価できる。下級生が多くこういう試合の経験を積んでまだまだ強くなる。自分たちの強みができつつあり、全国でもFWは戦えるかなと考えている」

──紙一重という点は?

「関東のチームはブレイクダウンの争奪戦で物凄い力をかけてくる。彼らは揉もまれているという経験値があり、そこでしっかりとボールを出していけば我々も通用するということだと思う。関西のチームもこうした試合を経験しながら強さを出していくことが必要、力の差はあっても勝てない相手ではないと思う」

○秋山哲平キャプテン

「全体で言うとベストゲームに近いゲーム。負けた悔しさはあるが、やりきった感はある。まだ1試合残っているので、そこに向けてもう一回チームを作って絶対勝ちにいきたい」