19年ぶりとなる一発勝負! 波乱は起きるのか?
大学V7の帝京大がTL覇者パナソニックに挑戦
31日、東京・秩父宮ラグビー場で第53回日本ラグビーフットボール選手権大会が行われる。
今シーズンは昨秋ラグビーワールドカップ2015があり、2月下旬からは日本がフランチャズのサンウルブズが初参戦するスーパーラグビーが始まることもあって、ジャパンラグビー トップリーグのスケジュール自体も大幅に短縮化。
そうした影響もあって、実に19年ぶりに社会人(トップリーグ)王者対大学王者の一騎打ちによる1試合のみの開催となる。
大学チャンピオンとして1年間の総決算の試合に臨む帝京大。新たな歴史を作れるか
Photo by Kenji Demura
日本選手権出場権を獲得したのは、1週間前にLIXIL CUP2016ファイナルで東芝ブレイブルーパスとの死闘を制して3年連続でトップリーグチャンピオンとなったパナソニック ワイルドナイツと、1月10日の第52全国大学ラグビーフットボール選手権大会ファイナルステージ決勝で東海大を27—17で下し、大学選手権7連覇を達成した帝京大。
大学王者が日本選手権決勝で社会人王者を破ったのは1987年度に早稲田大が22-16 で東芝に勝利したのが最後。
さらに、トップリーグ、学生ともに複数チームが参加する勝ち抜きトーナメント方式が取られてきた日本選手権だが、トップリーグ勢が大学に敗れたのは過去2回のみ。
しかも、学生に敗れたトップリーグの2チーム(06年のトヨタ自動車ヴェルブリッツと昨年のNECグリーンロケッツ)はトップリーグ王者ではなく、いきなりトップリーグ王者と対戦する今回の日本選手権のスタイルは、学生王者にとってはハードルが上がったことは間違いない。
パナソニックHO堀江主将は帝京大出身
帝京大HO坂手主将はパナソニック入り
その一方で、今季の帝京大ほど、大学王者として日本選手権でトップリーグ王者を倒して日本一に輝く可能性を有しているチームが過去にはなかったのも事実だと言っていい。
前述した過去に2度しかない日本選手権でトップリーグに対する勝利を収めたチームは06年の早稲田大と昨年の帝京大。
昨シーズン、打倒トップリーグの目標を掲げてNECを倒した帝京大だけに、すでにトップリーグのチームを倒す実力とノウハウに関しては、他の大学の追随を許さないものを確立していると言っていいだろう。
今季は「大学選手権7連覇と日本選手権優勝」の目標を明確化。
大学選手権の時点でまだトップリーグの優勝チームが決まっていないにもかかわらず、岩出雅之監督の口からはパナソニックを意識したコメントが出ることもあり、日本選手権で戦う相手として、しっかり対策を立てて臨むことになるのも間違いないだろう。
トップリーグ王者として大学生相手に恥ずかしい試合は見せられないパナソニック
Photo by Kenji Demura
対するパナソニックは東芝との激闘も含めてLIXIL CUP2016のタフなトーナメント戦を3週連続で戦った後の日本選手権となる。
加えて、11月13日に開幕した今季のトップリーグはリーグ戦自体は計7節と短期決戦となったものの、7週連続で試合があり、LIXIL CUP2016との間に1週のみ休みがあっただけというハードスケジュールとなった。
「正直、疲れてはいる」
パナソニックHO堀江翔太主将は正直にそう語るが、日本選手権の対戦相手が母校の帝京大ということもあって最後までモチベーション高く臨むことも宣言する。
「相手を学生だとは思わないで、しっかり準備して臨みたい」
母校との対戦にモチベーション高く臨むことを宣言するパナソニックHO堀江主将
Photo by Kenji Demura
当然、総合力ではパナソニックに分があることは間違いないが、学生レベルでは圧倒的だったブレイクダウンの部分で帝京大がどこまで抵抗し続けられるか。
大学選手権準決勝では、岩出監督が「パナソニックに戦い方が似ている」と称した大東文化大に計5トライを奪われて苦戦したが、本物のトップリーグ王者に対して同じような脇の甘さを見せるようだと大差のゲームになりかねないだけに、粘り強くディフェンスし続けられるかもキーポイントとなりそうだ。
帝京大の主将を務めるHO坂手淳史は来季パナソニック入りする予定で、左腕の負傷はあるとはいえ、対面の同じポジションの偉大な先輩に対してどんなプレーを見せるかも注目される(他に帝京大からはSO/CTB金田瑛司、FB森谷圭介がパナソニック入り予定)。
text by Kenji Demura
自らの進路でもあるパナソニックとの対戦に燃える帝京大HO坂手主将
Photo by Kenji Demura