HSBCアジア五カ国対抗2009

マッチリポート
小雨の降る中、風下の日本がキックオフ。序盤からブレイクダウンで圧倒する日本だが、ハンドリングミスが目立ちチャンスを生かせない。9分ゴール前スクラムからSO10ウェブのカットインをCTB12今村がショートで繋ぎポスト下にトライ(G成功7-0)。カザフスタン代表ディフェンスの甘いプレッシャーに、稚拙なキック処理が重なり、13分、16分と連続トライを奪取した日本代表が21-0とリードを広げる。
カザフスタン代表もFWがボールを繋ぎ反撃に転ずるが、28分にPGチャンスをモノにするのが精一杯(21-3)。33分から連続3トライで日本代表が40-3で前半を折り返す。

後半早々自陣10m相手モールからターンオーバー、SH9矢富が仕掛け左展開、タッチライン沿いを快走したCTB13ロビンスがトライ(G成功47-3)。これで日本が突き放すかと思われたが、ディフェンスのプレッシャーが甘くなったところを、カザフスタンCTB12アブドラザコフに突かれ、トライを許す(G成功47-10)。

この直後のキックオフでオフサイドという初歩的ミスを犯した日本代表。この後、オープン攻撃で崩しにかかるもフォローが遅れ、反則でリズムに乗れない等、新チーム初戦ということを割り引いても、見過ごせない課題が浮き彫りになる内容。一方、30分から入れ替え出場したSO21太田尾が"アクセント"となり、彼の切れ味鋭いステップワークから32分、37分とトライを重ねられたことは選手層の厚みが増すという意味で収穫だった。

トータルスコア87-10は日本にとって、大きな収穫と課題が背中あわせの内容であったことを物語っている。(廣島 治)

日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表

会見リポート
日本代表 87-10 カザフスタン代表
2009年4月25日(土)15時キックオフ 大阪・近鉄花園ラグビー場

カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン
カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン

◎日本代表
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「今日のゲームはスタートからハッピーだった。練習でやってきたことが実行できたし、新しい戦術もしっかり応用できていた」

○菊谷崇キャプテン
「新しいことにチャレンジすることができた。しかしスクラム、ラインアウトは質の悪いところもあった。『勝つ』ということでゲームに臨んだのでアジアン・ファイブ・ネーションズのスタートとしてはよいスタートを切ることができた」

──新しい戦術の完成度は?
○カーワン ヘッドコーチ

「まずゲームの中で波があるし安定感に欠けている。ラックでボールを奪うことはできているが、今日の出来は10点中で4点、韓国戦までにシステムも落とし込んでいく。この3週間が勝負、選手は体力的に疲れているがよくやってくれている」

──良いところ、悪いところとは?
○菊谷キャプテン

「良いところ:新しい戦術にチャレンジし、ゲームがテンポアップできたところでいい継続ができた。
悪いところ:波があることと、トライをとられた後のリアクションなど、チームとして出来上がっていないところがある」

──今日はハンドリングエラーなどミスが多かったと思うが?
○カーワン ヘッドコーチ

「今日は新しいシステムに挑戦することがテーマで、細かいミスは気にするなと言っていたが、判断のミスもあり技術的には50%の出来、来週からの課題はシステムの完成と、エラーのカット」

──新しい選手について、また五郎丸選手は?
○カーワン ヘッドコーチ

「新しい選手のパフォーマンスはよかった。短い時間で多くを学んでくれた。五郎丸選手については、天候の悪い中でBKがあまり機能しない中だったが、タイミングが合ってくれば生きてくる。また彼なりに課題を実行していた」

日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表   日本代表 87-10 カザフスタン代表

ポポフ ヘッドコーチ(右)、マシュロフ キャプテン
ポポフ ヘッドコーチ(右)、マシュロフ キャプテン

◎カザフスタン代表
○ヴァレリー・ポポフ ヘッドコーチ
「日本は強かった。我々はほぼ1年ぶりのゲームだが、前回の日本戦より進歩したと思う。日本はファーストティアの国とゲームをしており、非常に経験の豊かなチームで、クイックにボールを運んでくるので、こちらとしては、ボールの動きをスローダウンさせることが課題だったが、そこはうまくできたと思う。
前回の対戦ではほとんどボールをキープできなかったが、今回はデフェンスラインも作れたし、キックを使うこともできた」

○ティモル・マシュロフ キャプテン
「1年ぶりのゲームだったが、日本はスクラムが強くなっている。そこでやられた。しかし、今年は多少ではあるが、ボールを奪うことができたし、ラインアウトも少し進歩した。日本はいいチームだ」