■決勝 奈良工業高等専門学校 8-5 神戸市立工業高等専門学校(1月9日)

マッチリポート
決勝戦という独特な緊迫した雰囲気の中で試合が開始された。
前半3分、神戸のミスにつけ込んだ奈良が、相手陣22mライン付近に蹴りこみチャンスをつかむ。奈良が22mライン付近のラインアウトからモールを形成・押し込み、最後はSH吉井が右隅へ飛び込んでトライ(ゴール不成功5-0)。前年度覇者の神戸に対して、FW戦で奈良が圧倒し、試合を優位に進める。

中盤に差し掛かり、神戸は、奈良のFWに圧倒されながらも、BKが機能し始めチャンスをつかむが、ノックオンなどの小さなミスが連続し、チャンスを活かしきれない。前半25分、奈良が逆に神戸のミスにつけ込み得たPGチャンスをモノにし8-0。
前半は神戸の連続ミスが目立ち、FW戦、ブレイクダウン後の早いパス出し、正確なラインアウトで優位に立った奈良がリードし、折り返す。

奈良のキックで開始された後半早々、奈良のNo.8服部が相手陣10mライン付近で危険なプレーにより、シンビンによる一時退場。奈良はリードしながらも14人でプレーすることとなったが、神戸の連続ミスにより、相手陣でプレーする時間が長く、前半に続いて試合を優位に進める展開。後半20分、神戸が相手陣22mライン付近に絶妙のタッチ。奈良は神戸のプレッシャーがきつかったためか、ラインアウトから出たボールをノックオンし、神戸がラックを形成。神戸FWが小刻みにゲインし、奈良の懸命なディフェンスを受けるも、神戸右FL臼井が左隅に飛び込んでトライ。(ゴール不成功8-5)

後半終了間際、神戸が相手陣22m付近からラインアウトを獲得し、モールからラックを形成、ゴールラインにかけてアタックを重ね、トライへ結びつくかに思えたが、肝心なところでミスを犯しノーサイド、奈良の初優勝となった。(望月 康平)

会見リポート
◎神戸工業高専
○小森田 敏監督

──今日の試合を振り返ってみて?
「うち本来の出来と、奈良さんの出来とで厳しい試合を予想していた。またキャプテンが試合終了後のロッカールームで言っていたように、心技体が伴った今シーズンのベストゲームができた。敗れたのは、潔く受け止めるしかない」

──ディフェンスについては?
「ディフェンスについては一番良かった」

──相手の奈良に対してどういう指示で臨んだ?
「近畿大会で負けている事実を踏まえ、キックゲームになると相手の思う壺なので、前へ攻めるキックをし、モールを組ませない対策をしていたが、奈良に上手くコントロールされた。誤算は、準備していた縦のアタックを止められ、ボールが動かせなかったこと」

──今日の試合の敗因は?
「1対1のブレイクダウンでタックルに入られて倒れた。また近畿大会でもモールでやられた。どちら(1対1のブレイクダウン、モール)もやったが故の結果」

──来シーズンに向けては?
「体のサイズを抜きにしてコンタクトの強さを強化したい。ディフェンスをしっかりしないといけない」

○新堀正博キャプテン
──今日の試合を振り返ってみて?
「チーム全員で練習してきたことが出せた。最初点をとられ、先制されたが焦らなかった」

──3連覇の自信は。
「自信はあった」

──今日の試合の敗因は?
「最後のアタックでとりきれなかったことと、試合の入りが悪かったことが敗因。練習でやってきたことができ、奈良のアタックを前で、且つ1発で止めることはできたが、近畿下級生が多い分、引っ張っていく上級生リーダーシップが不足していた」

──来シーズンへ向けては?
「5年生が3人しかいないので、今年と同じレベルのチームだろうから、まずは近畿大会を制覇して欲しい」

◎奈良工業高専
○森弘暢監督
「大会を通して厳しいゲームの連続(準決勝も8-5)だったが、選手はよくやってくれた。『とにかく1年やってきたことを100%出そう』と指示してグラウンドへ送り出した。これまで多くの関係者の方に支えられて優勝できました。ありがとうございます」

○菅田拓郎キャプテン
「最初はこんなにすばらしいグラウンドに立って緊張してしまったが、自分たちのラグビーをしよう、またそれを形に出すことを意識していった。しんどいゲームだったが楽しめました」