パナソニックが2年ぶり5度目の日本選手権制覇
帝京大もTL王者から意地の奪2トライなど善戦

1月31日、東京・秩父宮ラグビー場で、第53回 日本ラグビーフットボール選手権大会が行われ、パナソニック ワイルドナイツがトップリーグ王者の貫禄を見せるかたちで計7トライを奪い49—15で勝利。
パナソニックとしては2年ぶり、三洋電機時代も含めると5度目となる日本選手権タイトルを獲得した。
大学選手権7連覇を達成した帝京大は後半2トライを奪うなど健闘したものの、1988年以来となる大学チームによる日本選手権制覇はならなかった。

1週間前にLIXIL CUP2016を制したパナソニックはTLタイトルとの2冠達成

1週間前にLIXIL CUP2016を制したパナソニックはTLタイトルとの2冠達成
photo by Kenji Demura

19年ぶりとなった社会人チームと大学チームとの一騎打ちの日本選手権。
「立ち上がりが一番難しい」
1月10日の大学選手権以来の実戦となった帝京大の岩出雅之監督はそんな心境で選手達を3週間ぶりのビッグゲームに送り出していた。
一方、1週間前に東芝ブレイブルーパスとの激闘を制してトップリーグ王者に返り咲いたばかりだったパナソニックのHO堀江翔太主将が重要視していたのも試合の入りの部分だった。
「ロケットスタートを意識して臨んだ」

結果的に、両者が共に強く意識していた立ち上がりの攻防が試合のすう勢を決してしまう。
試合開始キックオフのボールをキープしたパナソニックはHO堀江主将をはじめとするFW陣がボールを前に運んだ後、最後はCTB林泰基、WTB山田章仁、FB北川智規とボールをつないで、いきなりノーホイッスルトライ。
5分にも、ゴール前ラックから内側のポジションに入ってきていたWTB児玉健太郎が帝京大ディフェンスを突破して連続トライ。
2本のゴールをSOベリック・バーンズが決めて、わずか5分でパナソニックが14−0とリードして主導権を握った。

時間の経過とともにボールキープができるようになっていた帝京大が同19分にSO松田力也がPGを返すが、33分には昨年11月29日以来の先発復帰となったWTB山田章仁がトライを奪い、21—3とパナソニックがリードして前半を折り返した。

後半に入ると、「とても速く、タフなラグビーだった」とパナソニックのロビー・ディーンズ監督を驚嘆させた帝京大のアタックがパナソニックディフェンスを打ち破るシーンも多くなり、18分にHO堀越康介、38分にWTB竹山晃暉と、大学選手権王者が意地の2トライを挙げるが、「(帝京大は)学生だけど学生じゃなかった。たとえ学生でもグラウンドに立てば敵」(HO堀江主将)と最後まで本気モードだったパナソニックも後半だけで4トライ。

「『うまくいかなくても立ち上がっていこう』と言って送り出した」(岩出監督)という学生らしいチャレンジスピリッツを随所に見せた帝京大だったが、LIXIL CUP2016などトップリーグの激戦を制してきたパナソニックとの総合力の差は明らかで最終スコアは49—15。

それでも、「今日の試合を見た人で不幸せな人はいないだろう」と、試合後パナソニック・ディーンズ監督が語ったとおり、素晴らしかった日本ラグビーの2015−2016の最後を飾るに相応しいラストゲームとなった。

text by Kenji Demura

母校相手に圧倒的なプレーを見せたパナソニックHO堀江主将。帝京大・岩出監督は「頑張り過ぎ」と脱帽

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photo by Kenji Demura
パナソニックでのラストゲームだったCTBピーターセンも印象的なパフォーマンスで観客を沸かせた
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photo by Kenji Demura
後半18分のHO堀越など2トライを挙げて意地を見せた帝京大だが目標達成はならず
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photo by Kenji Demura
TL王者の壁は厚く「悔しいです」と語った帝京大HO坂手主将。来季からはパナソニックでプレー予定
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photo by Kenji Demura