ニュージーランド、アメリカ、イングランドの強豪を向こうに回し

ドバイ大会からの課題を克服して、ベスト8へブレイクスルーを狙う

 

ドバイ大会では全敗に終わったサクラセブンズ。新戦力も加わり8強入りを目指す
photo by Kenji Demura

 

1月26〜28日の3日間に渡って、オーストラリアのシドニーでHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ(以下ワールドシリーズ)第2戦が行われる。

 

今季、ワールドシリーズのコアチームへの再昇格を果たした女子セブンズ日本代表(サクラセブズ)は第1戦のドバイ大会(昨年11月30、12月1日)での反省も踏まえた上で目標であるベスト8進出を目指し、まずは大会初日のプール戦でニュージーランド、アメリカ、イングランドと対戦する。

 

 

トリプルアクション、プレッシングセブン、フィジカルファイト。

世界最高峰で戦っていくため、そんな3つの基本的なテーマを掲げて臨んだドバイ大会では、残念ながら5戦全敗で参加12チーム中最下位に沈んだサクラセブンズ。

過半数が20歳以下だった若いメンバーの多くにとっては初めて世界トップと戦う経験でもあったが、自分たちのプレーの通用した部分、そして通用しなかった部分を実感した上で1月8日からの沖縄合宿、そしてそのまま15日にシドニーに移動してからもトレーニングを続け、「沖縄、シドニーと、追い込んできた。長い期間、練習を続けてきて仕上がってきている」(中村知春キャプテン)状態で世界へのチャレンジを再開する。

 

沖縄で7日間、シドニー入りして10日間、厳しい練習で追い込みながら本番を迎える
photo by Kenji Demura

 

「練習で意識してきたのはドバイで課題として出た部分。まずはフィジカル的なところ。ドバイ大会以前も走り込みはやっていたが、コンタクトの強度が高い中で走り続けるという点にはフォーカスできていなかった。実際、ドバイでも攻撃時間が2分近く続くこともあったので、練習の中でも強度を実際のレベルに近づけるというのをやってきた。

アタックを継続することが重要になるので、そのためにまずはラインアウト、キックオフといったセットプレーでいかにボールを獲得するか。そして、ボールキャリーのスキル。ボールキャリアが強く行って、サポートとのコミュニケーションをしっかり取ってボールキープを続けること。

練習の強度を上げて、セットでの獲得、ボールの継続のスキルに関して重点的にやってきた」

 

稲田仁ヘッドコーチは、年明け早々から続けてきたトレーニングにおいて重視してきたポイントをそんなふうに語る。

 

前回はプール戦の初戦、2戦目でオーストラリア、ロシアというトップチームに対して、0—27、0—36という大敗を喫したが、もちろん、同じ轍を踏まないことも意識されている。

「初戦のファーストプレーでしっかりスイッチが入らなかったことが前回のドバイの大きな反省点。初戦だけではないが、ファーストプレーからしっかりスイッチを入れて、受けないでいきたい」(中村キャプテン)

 

 

 

「試合の入りとDF。まずはその2点にフォーカス」(中村主将)

 

 

前述のとおり、今回プール戦であいまみえるのは、ニュージーランド、アメリカ、イングランド。

ニュージーランドはドバイでは5位に甘んじたものの、過去5シーズン中4度シーズン女王となっている真のトップチーム。

 

前回大会の初戦の入りで失敗した後だけに、今度こそニュージーランド戦の立ち上がりから自分たちのプレーができるかが、「プール戦で1勝1分1敗がベスト8入りの最低ライン」(同キャプテン)という目標に近づけるかを占うポイントになるのも確かだろう。

 

続くプール戦2試合目の相手は、ドバイ大会のカップ準々決勝でニュージーランドを破り、最終的には準優勝を果たしたアメリカ。

同大会のプール戦で日本が大敗を喫したロシアを準決勝で下してもいて、日本にとってはニュージーランド戦に続いての世界トップ国との対戦となる。

 

「(トップチームは)だいたい同じような傾向があって、アタックに関しては個々のスピードとフィジカルで勝負してくる。もちろん、分析は早い段階からしているし、練習中に『ニュージーランド』と言えば、自然とそういう感じになるくらい、選手たちにもこの前よりも理解自体もある。

ただ、分析にこだわりすぎると、試合では違うことをやってきたりするので、相手を見ながら判断するようにというのは言っている。今回はセットプレーに関してもどういうところにキックオフで蹴ってくるか、ラインアウトでどういう陣形でくるか分析した上で準備しているので、かなり対応できると思う」(稲田HC)

 

メンバー的には、前回のドバイ大会から4人が入れ替えとなった。

経験豊富な中嶋亜弥、昨季、招待チームとして参加したワールドシリーズを経験している小出深冬、バティヴァカロロ ライチェル海遥に加えて、18歳の大竹風美子が初選出となった。

 

初めてワールドシリーズの舞台に立つ18歳の大竹。闘争心溢れるプレーぶりも高い評価を受ける
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その大竹に関して稲田HCは「アタックでボール持った時のスピードやパワーはいままでになかったようなポテンシャルがある。スペースがしっかりあるところで勝負できれば、楽しみ」と評価する一方、同じく10代の平野優芽、田中笑伊についても「平野は前回もこのレベルでもしっかりパフォーマンスを出せたし、田中も少しずつ出場時間が増えて、その後も怪我しないでトレーニングし続けられている。さらにレベルアップしたところを見せてほしい」と期待をかける。

 

ドバイでも活躍を見せた平野(中央)、田中(左端)の10代コンビ。さらなる成長を見せて勝利への貢献なるか
photo by Kenji Demura

 

もちろん、攻守に高いレベルでのプレーを続ける中村キャプテンをはじめとする経験者たちが、そんな若手のポテンシャルをいかに引き出すかもキーになるのは間違いないところ。

 

プール戦3試合目で対戦するイングランドとは、前回大会でも同キャプテンの幻のトライが認められていれば、勝敗が入れ替わっていてもおかしくない接戦を演じてもいる(最終的には14—26で敗戦)だけに、選手たちにも競った試合に持ち込む自信があるはず。

 

「試合の入りとディフェンス。あまり、多くの点にフォーカスしてもしょうがないので、まずはその2点にフォーカスして」(中村キャプテン)、8強へのブレイクスルーを狙う。

 

練習での強度を高め、セットプレー、ボールキャリーのスキルを磨いてきた成果を出して8強へ
photo by Kenji Demura

 

text by Kenji demura