2022年6月21日(火)にワールドラグビー(WR)より発表された「エリートゲームにおける脳損傷からの競技復帰(GRTP)への新たなアプローチ」(URL:https://onl.bz/tSAtqPi)を、日本ラグビーフットボール協会としてもエリートレベルで導入し、コミュニティレベルもこれに準じた新しいGRTPプロトコルを導入することとしました。具体的な対応内容につき、以下の1~3に記載いたします。今回の通達が脳振盪のリスクの重大性が広く認識されてきたことを背景とした改訂であることをご理解いただき、安全なラグビーの実現にご協力ください。

 

1. HIAが適用されるエリートラグビー(セブンズを含めた、男女の区別なく全てのHIA対象試合)

WRは、エリートラグビーのゲームにおいて、脳振盪の既往*がある選手とHIA3で陽性(脳振盪の症状がある)選手は、「最低12日間は休養しなければならない」と定めました。脳振盪の既往のある選手の競技復帰にはICC(Independent concussion consultant)の承認が必要となります。                                      

脳振盪の既往が無く、HIA3で陰性の選手は、ICCの承認が得られれば、受傷後7日目での試合復帰が可能とされます。なお、練習や練習試合での脳振盪は、HIA対象外となるため、1週間のレストと1週間のGRTPで復帰まで最短14日で復帰可能とします。(その際の手順は、次項に準じてください。)

*:脳振盪の既往とは、以下6項目に当てはまる場合

1. 脳振盪の受傷が過去3ヶ月以内にあった

2. 脳振盪の受傷が過去1年間で3回以上あった

3. 脳振盪の受傷がラグビー競技を始めてから5回以上あった

4. 衝撃によって脳振盪の発症閾値が低下した(医師の指摘による)

5. 脳振盪を起こし、心理的な問題を合併した

6. 過去に脳振盪を起こし、回復に時間がかかった(21日以上)


2. 高校生・高専生を除く18歳以上のコミュニティレベル(大学/社会人/クラブチームなど)

高校生・高専生を除く18歳以上のコミュニティレベルのプレーヤーは、プレーヤーウェルフェアを最優先としたメディカル体制を有してるチームの管理のもとに、脳振盪の既往のない選手に限り、一定の項目*を満たせば1週間のレストと1週間のGRTPの最短14日で復帰可能ですが、それ以外の選手は2週間のレストと1週間のGRTPで最低21日後の復帰となります。

*:一定の項目とは、以下3項目に当てはまる場合

1. 脳振盪の既往歴のない選手

2. チーム内でSCAT5のベースラインデータがあること

3. 脳振盪受傷後36-48時間後にSCAT5を実施し、ベースラインデータより悪化がないこと

 

3. 高校・高専および中学生以下のカテゴリー

高校生・高専生は最短3週間後、中学生以下は最短23日後の復帰となり、従来通りの運用となります。これらのカテゴリーでもSCAT5の利用を推奨しております。(5-12歳ではChild SCAT5)

 

GRTP改訂については以上となります。貴協会におかれましては、加盟都道府県協会、加盟チームに周知徹底をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

■通達対象:三支部協会、各都道府県協会、登録チーム

■文書作成:日本ラグビーフットボール協会 メディカル委員会、安全対策委員会

■本件についてのお問い合わせ先:

公財)日本ラグビーフットボール協会

安全対策委員会 委員長 齋藤 守弘(m.saito@rugby-japan.or.jp

事務局 塚崎 有(yu.tsukasaki@rugby-japan.or.jp


以上

 

添付資料 「段階的競技復帰(GRTP)」改訂に関する資料一式

なお、以下の書式については、後日の発行とする。

  • (書式) 7日間-段階的競技復帰のための証明書 
  • (書式) 12日間-段階的競技復帰のための証明書