「第50回 日本ラグビーフットボール選手権大会」
マッチリポート

サントリーサンゴリアス 26-13 パナソニック ワイルドナイツ

【準決勝/2013年2月16日(土) /東京・秩父宮ラグビー場】
2つのチームの意地と意地とのぶつかり合い

秩父宮ラグビー場ではサントリーサンゴリアス vs パナソニックワイルドナイツの一戦が始まろうとしていた。
雲一つない快晴だが、寒気の影響で強風の中の試合になる。この風はどちらの見方をするのか?どちらに勝利の女神がほほ笑むのか?
サントリーは現状のベストメンバーで臨み、パナソニックはHO堀江選手、SH田中選手をスーパー15で欠いてはいるが、替わりも遜色ない選手が控えている。

前半は風上にパナソニック、風下にサントリーでパナソニックのキックオフで試合が始まった。
2分:サントリーのオフサイドのペナルティをFB15番田邉選手が20mのPGを決めて先制点をあげる。0-3
12分:サントリーLO5番真壁選手がケガによるものか、交替となりキャプテンが戦線を離脱していく。
17分:サントリーがゴール前のスクラムを崩してハンドのペナルティで再びFB15番田邉選手が中央15m付近のPGを決めて0-6
20分:サントリーNo.8西川選手がラックサイドを潜りこんで中央へこの試合初トライをあげてGをCTB12番ニコラス選手が決めて7-6と逆転する。
29分:パナソニックからペナルティをもらってサントリーCTB12番ニコラス選手が中央30mPGを狙うも惜しくも右に外れる。

前半はサントリーが自陣のスクラムでNo.8西川選手が再三サイドアタックを仕掛けたり、ライン攻撃も逆サイドからどんどん走りこんでボールをもらってアタックしている。それに比べてパナソニックは、ディフェンスはしっかりしているがやや攻め手に欠いているように思われた。それと両チームともにノックオンが多いのが気になる点だ。
後半は風上がサントリーで風下がパナソニックと入替り前半の修正点を改善できるのか。

後半はサントリーのキックオフで始まった。
13分:パナソニックがノットロールアウェイのペナルティをゴール前で犯してサントリーのCTB12番ニコラス選手が中央15mのPGを決めて10-6
13分:サントリーはSH日和佐選手とSOピシ選手を早めに入れて試合のスピードアップを図る。
23分:サントリーWTB14番村田選手が左隅に飛び込んでトライ。左隅の難しいGをCTB12番ニコラス選手が慎重に決めて17-6

29分:パナソニックがゴール前でオフサイドのペナルティに再びCTB12番ニコラス選手が中央15mのPGを難無く決めて20-6と突き放しにかかる。
32分:SO22番ピシ選手が意表を突くDGで追加点をあげる23-6
35分:ようやくパナソニックの反撃でLO18番バツベイ選手がラックサイドに走りこんで縦に抜けて中央にトライをあげる。GをFB15番田邉選手が決めて23-13
40分:パナソニックのオフサイドのペナルティをCTB12番ニコラス選手が中央15mのPGを決めてノーサイドのブザーが鳴った。26-13

後半はパナソニックの選手の足が止まりペナルティに結びついた事が惜しまれる。サントリーは前半から終始積極的に攻め続けていたことがこの点差になったのだと思う。

なお花園ラグビー場の結果、決勝の相手は神戸製鋼コベルコスティーラーズに決まった。

今シーズンのサントリーサンゴリアスは公式戦未だ無敗の全勝。初の全勝による完全優勝で2冠を獲得して有終の美を飾れるのか。はたまた、神戸製鋼コベルコスティーラーズが古豪の意地で全勝優勝に待ったをかけ日本一に輝くのか。

2月24日(日)の国立競技場の試合はラグビーファンならずとも目が離せない一戦になりそうだ。(奥山 禎晴)

会見リポート
 

パナソニックワイルドナイツの中嶋監督(右)と霜村キャプテン

パナソニック ワイルドナイツ
○中嶋則文監督

「お疲れ様です。前半でスコアできず、得点するのが遅かったと思います。プレーオフの東芝戦と同じで、ゴール前へ攻め込みながら得点できなかったことが敗因です。選手は準備してきたことを全部やってくれました。個人のタックルミスでトライを獲られたことが悔やまれます」

──ゴール前まで攻めて獲れないのは?

「ちょっとあわてました。獲り急いだというか、パスアウトでハーフを待つのか、持ち出すのか変に考えすぎたと思います。ゴール前で何とかスコアに持っていこうとして、統制がとれていなかったと思います」

──ハーフタイムには?

「どれだけ、最後の40分、しっかり我慢して風下からボールを継続するかが大切で、しっかり、自分たちのやってきたことを出そうと送り出しました。サントリーさんはキャプテンがいなくても、やるべきことを全員が分かっていて、大崩れしないという印象です」

○霜村誠一キャプテン

「お疲れ様です。準備してきたことは一人一人が高い意識でやってくれました。でも、なかなかうまく行かないものです。結果は負けましたが、シーズン通じて、皆の気持ちが一番入って充実した試合でした。負けてしまったが、気持ちの良い試合でした」

──敗因は?

「僕らも身体をぶつけて、ほんのちょっとの所で相手が上回ったと思います。80分間が凄く短く、集中して凄く楽しい時間でした。僕らもサントリーさんも集中していて、僕が観客だったとしても、楽しい試合だったと思います」

──打開策は?

「後半、自分たちのペースにならないので、個人の強さで打開しようとしましたが、チームとして動けませんでした。でも、よく走っていたし、チャレンジしようという気持ちもありました。そこで、自分たちを取り戻せませんでした。サントリーさんは戻ることのできるしっかりした部分があると思います。僕たちが足りなかったところです」

 

サントリーサンゴリアスの大久保監督(右)と畠山ゲームキャプテン

サントリーサンゴリアス
○大久保直弥監督

「向かい風6mの前半はタフなスタートでしたが、その中で本当にボールを継続しながら我慢、我慢で折り返して後半を迎えられたのが勝因です。キャプテンが怪我でいなくなりましたが、他の14人がハタケ中心によくやってくれました。何とか、今シーズン最後のゲームに臨めますので、今シーズン『ハングリー』を掲げて戦ってきましたが、日本選手権を部員一丸となって『ハングリー』に、獲りに行こうと思います」

──キャプテンは?

「今は、来週に向けてあまり言えることはないのですが、可能性を最大限追求します。前半のプレーだと、サントリーのラグビーは難しいと判断しての交代でした」

──トスは?

「僕らの判断で、前半、風下を取りました。この6mという風は後半も変わらないと思い、前半はFWのコンタクトで仕事量をワンランク上げて、相手は激しく来るのは分かっていましたので、耐えるというプランでした」

──このまま全勝でシーズンを終えるのか?

「40週間やってきて、一貫して言い続けてきたのは、去年の2冠のサントリーを超えようということです。まだ、その域に達していません。そのために、一人一人が去年の自分を超える、ベストを尽くす、それだけです」

──決勝は神戸相手だが?

「日本選手権ファイナルでは、本当に、日本のラグビーの一番トップの試合をする責任があります。神戸さんも、多分、けが人が戻ってきて、ハードなゲームになることは間違いないと思います。サントリーのラグビーをタフにやり続けるだけです」

○畠山健介ゲームキャプテン

「80分、チームとしてミスも多くありましたが、我慢することができ、何とか勝てたことは良かったと思います。来週、日本選手権決勝を、チームとして準備して、しっかり戦いたいと思います」

──このまま全勝でシーズンを終えるのか?

「来週の決勝も、いつもと変わりなく、明日は良いリカバリーをして、しっかり良い準備をして、サントリーのやりたいラグビーをしたいと思います。一番、怖いのが、サントリーのラグビーができずに負けることですので、良い準備をしたいと思います」

──真壁キャプテンが交代したが?

「リーダーズグループという真壁中心に5人くらいの選手が、常に、情報交換していましたので、真壁がいなくなったら誰がしゃべるのかなど、すでに話し合っていました。問題なくできました」