サントリー対パナソニック、神戸製鋼対東芝
再びTOP4による極上バトルが東京と大阪で

16日、東京・秩父宮ラグビー場と大阪・近鉄花園ラグビー場で日本ラグビーフットボール選手権大会準決勝が行われる。
1回戦から勝ち上がったパナソニック ワイルドナイツと神戸製鋼コベルコスティーラーズが、トップリーグファイナリストのサントリーサンゴリアスと東芝ブレイブルーパスにチャレンジ。
いずれもトップリーグ4強チームによる、日本ラグビー最高峰に相応しい熱戦が繰り広げられること必至だ。

共に土曜日14時のキックオフとなる準決勝2試合。
それぞれ、トップリーグのプレーオフセミファイナルとは異なるカードでの4強バトルとなる。

2年連続での2冠と日本選手権3連覇を狙うサントリーは宿敵パナソニックと対戦する
photo by Kenji Demura (RJP)

東京・秩父宮ではトップリーグ覇者で日本選手権3連覇を目指すサントリーと、2年前のトップリーグ覇者で、3年ぶりの日本選手権制覇を狙うパナソニックが激突。
これは、昨季のTLプレーオフファイナル、そして日本選手権決勝の再現でもある。
その昨季の2度に渡る頂上決戦も含めて、両者の直接対決では現在サントリーが5連勝中。
ワイルドナイツがサンゴリアスに勝ったのは、2010-2011年シーズンのTLプレーオフファイナルでの対戦が最後。「パナソニック」としては、トップリーグ、日本選手権でまだ一度もサントリーを倒していないことになる。
今季のトップリーグでの直接対決は10月20日。今回と同じく秩父宮での対戦だったが、終盤サントリーのアグレッシブ、アタッキングラグビーが炸裂するかたちで34-20で快勝している。

「どんだけ止めても攻めてくる」
そんなふうに、パナソニックCTB霜村誠一主将が脱帽していたように、あくまでもボールキープを続けながらアタックするサントリーに対して、さすがのパナソニックディフェンスも最後はインゴールを明け渡すシーンが続いた。
「(東芝とのプレーオフファイナルを見ても)全く隙がないくらいサントリーは強い」と、4ヵ月経っても同主将のサントリーへの畏怖は強まるばかりだが、パナソニックとしてはいかにディフェンスでサントリーのアタックをゲインラインの前で止められるか、そして続くブレイクダウンの攻防で優位に立てるかが勝利への鍵となるのは間違いないところ。
アタック面に特徴のあるSOマイク・デラーニではなく、「ディフェンスがいい」と中嶋則文監督が評価するCTBサム・ノートンナイトを先発起用するのも、サントリーのアタックを止めることができて初めて勝利が見えてくると考えているからでもあるだろう。

リーグ戦で勝利の立役者となったFLスミス、SHデュプレアは再びサントリーを決勝に導けるか
photo by Kenji Demura (RJP)

王者サントリーにとっては、トップリーグファイナル以来3週間ぶりの実戦。昨年、一昨年と同じように準決勝からの登場で日本一を勝ち取っているだけにぬかりはないだろうが、うっかりゲーム勘を失った状態で試合に入ると一気にパナソニックがペースをつかむ可能性もある。
4ヵ月前の対戦時は後半20分過ぎまで20-20。終盤サントリーが2トライを挙げて引き離したが、後半トライを奪ったSOトゥシ・ピシ、CTBニコラス ライアン、そしてトライをお膳立てしたFLジョージ・スミス、SHフーリー・デュプレアと、大一番になればなるほど大きな仕事をやってのけるサントリーの外国人選手たちのプレーぶりも当然注目される。

「毎週、一番元気のいい15人が先発する」(大久保直弥監督)というサントリーだが、奇しくも準決勝の先発15人をはじめとする22人のメンバーは、TLプレーオフファイナルと同じ。
前の試合とメンバーが全く変わらないのは今季初のこと。4ヵ月前に「嫌な時間帯に嫌な選手が出てきた」(パナソニックCTB霜村主将)と、途中出場で終盤決定的な仕事をしたSHデュプレアはプレーオフ同様、先発出場。そして、プレーオフでは2試合とも途中出場ながら、計3トライを挙げてプレーオフMVPに輝いたSOピシは再びリザーブスタートとなる。

TLプレーオフは欠場したFB田邉も日本選手権では調子を上げているパナソニック
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過去にはTLファイナリストの
東芝、サントリー敗戦のケースも

一方、大阪・近鉄花園では、TLプレーオフセミファイナルでサントリーに敗れた後、日本選手権1回戦でトヨタ自動車ヴェルブリッツ、2回戦でコカ・コーラウエストレッドスパークスを退けてきた神戸製鋼が東芝に挑戦する。
共に、大型FW同士の対戦だけに「FW勝負。フィジカルな戦いをどちらが制するか」(神戸製鋼FL橋本大輝主将)が勝敗に直結することになる。
今季のトップリーグでの対戦(12月16日=第11節)では、セットプレー、ブレイクダウンとも「FWの強い神戸に対して圧倒できた」(LO大野均)という東芝が29-27で勝利を収めている。
ただし、神戸製鋼も日本選手権1回戦では、やはりFWに自信を持つトヨタ自動車とのフィジカルバトルを完全に制するなど、2ヵ月前の対戦時よりもチーム力が上がっていることは確か。
昨年のトップリーグでの対戦では、逆に神戸製鋼がFW戦で圧倒して22-19で勝利を収めるなど、元々ポテンシャルは高い。

2ヵ月前の対戦では東芝FWが神戸製鋼を圧倒して29-27で勝利を収めた
photo by Kenji Demura (RJP)

「FW8人のこだわりではトップリーグで一番」(東芝PR浅原拓真)という東芝の強力スクラム対抗するため、神戸製鋼は1番にTLベストフィフティーンでフィールドプレーに特徴がある安江祥光ではなく、平島久照を先発させるなど、まずセットプレーと接点で圧倒して主導権を握りにかかる。

神戸製鋼にとっては、CTBジャック・フーリーに加えて、同クレイグ・ウィングが12月9日以来となる先発復帰を果たすのも明るい材料だろう。

この神戸製鋼の強力なCTB外国人コンビに対抗するため、東芝も元日本代表でもあるオト・ナタニエラが約4ヵ月ぶりにCTBに入る。

東芝はリーグ戦で圧倒した神戸製鋼とのFW勝負をもう一度ものにできるか
photo by Kenji Demura (RJP)

前述のとおり、TLプレーオフファイナリストがシードされて準決勝からの登場なのに対して、同セミファイナルで敗れたチームは1回戦から勝ち上がっていかなくてはいけない日本選手権。
過去2年間は準決勝から登場したTLファイナリストが順当に決勝に駒を進めているが、3年前には東芝が、そして6年前にはサントリーが、それぞれ1回戦から勝ち上がってきたTLセミファイナリスト(いずれもトヨタ自動車)に敗れる“波乱”も起きている。

text by Kenji Demura

神戸製鋼は約2ヶ月ぶりにウィングが先発復帰。フーリーとのCTBコンビは強力だ

photo by Kenji Demura (RJP)