「第50回 日本ラグビーフットボール選手権大会」
マッチリポート

コカ・コーラウエストレッドスパークス 29-45 神戸製鋼コベルコスティーラーズ

【2回戦/2013年2月10日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
秩父宮ラグビー場で今季トップリーグ4位(9勝3敗1分)、日本選手権大会9回の優勝実績のある神戸製鋼コベルコスティーラーズに来シーズンのトップリーグ復帰を決めたコカ・コーラウエストレッドスパークスが挑みました。

試合は黒のジャージ神戸製鋼SO森田選手のキックオフで始まりました。試合は開始早々の前半1分、コカ・コーラウエストはスピーディーにボールを前に動かし敵陣22m付近のラックから出たボールを右オープンに展開しFBトゥウマガマーシャル選手からWTB築城選手へボールを繋ぎ先制トライ(ゴール成功)を奪うと、対する神戸製鋼も前半4分に敵陣22m付近の相手ペナルティ(オフサイド)から確実にタッチへ蹴りだし、ラインアウトからのモールで押し込みHO木津選手がトライ(ゴール失敗)、コカ・コーラウエストも相手の攻めに積極的なディフェンスを展開し敵陣15m付近ゴール正面で相手ペナルティを誘いSO福田選手のPG成功。10-5と突き放します。

後半11分に神戸製鋼は早い展開に縦の攻撃を折りまぜ積極的に前へ攻め込みFB正面選手がディフェンスの隙をついてトライ(ゴール成功)し逆転。続く15分に敵陣22m付近ラインアウトよりモールを作りゴール前まで一気に押し込みモールからサイドを突く連続攻撃からSH佐藤選手がトライ(ゴール成功)。その後もFB正面選手、CTBジャック・フーリー選手と連続トライを奪い10-33とコカ・コーラウエストを大きく引き離しました。

試合はこのまま神戸製鋼ペースの展開と思われたが、ここで引き離されるわけにはいかないコカ・コーラウエストは相手選手のキャッチミスより敵陣ゴール前、10m付近ラインアウトより積極的に前へ攻め込み相手ペナルティから再びチャンスを作りサイドを突く連続攻撃からNO8上本選手が反撃のトライ(ゴール成功)を奪い、その後もSH香月選手、FBトゥウマガマーシャル選手と連続トライを奪い29-33と神戸製鋼に追いつき前半が終了しました。

後半、神戸製鋼は敵陣15m付近ラインアウトよりモールを作り20m押し込み右オープンへ展開、短いパスを繋ぎ縦に攻撃を仕掛けましたが、モールでのノットリリースの反則。しかしタッチキックからのラインアウトでボールを奪い、左オープンからFB正面選手が相手選手を引きつけライン際を走るWTB大橋選手にパスを繋ぎトライ。続く後半13分にも相手ゴール前5m付近ラインアウトよりモールで押し込む。コカ・コーラウエストは必死にディフェンスをするが、オフサイドの反則。神戸製鋼はスクラムを選択し出たボールをWTB大橋選手が縦にインゴールを狙うが届かず、続くゴール前5m付近の神戸ボールスクラムではそのまま押し込みNO8前川選手がスクラムトライ(ゴール成功)を奪い29-45とコカ・コーラウエストを大きく引き離した。その後コカ・コーラウエストも必死に敵陣に攻め込むも神戸製鋼の厚いディフェンスに阻まれ得点を奪うことが出来ずノーサイド。神戸製鋼が29-45で日本選手権準決勝戦に駒を進めた。

コカ・コーラウエストレッドスパークスは来季トップリーグに復帰するがモール、スクラムと課題を残した。
神戸製鋼は2月16日に大阪・近鉄花園ラグビー場にて東芝ブレイブルーパスを迎え撃つ。(佐藤克則)

会見リポート
 

コカ・コーラウエストの山口ヘッドコーチ(右)と豊田キャプテン

コカ・コーラウエストレッドスパークス
○山口智史ヘッドコーチ

「今日は今シーズン東京で3回目の試合ということで、多くのお客様の前でラグビーができたことに感謝申し上げます。また、1年間、本当に頑張ってくれた選手にありがとうと伝えたいと思います。フィジカルで対抗できませんでしたが、ボールを動かすという我々のラグビーはできたので、ポジティブにとらえ、来年度もアタッキングラグビーの精度を上げていきたいと思います」

──前半と後半の違いは?

「前半は、球をワイドに動かせましたが、神戸さんのディフェンスの修正がうまくいったと思います。こちらも縦に強い選手を入れて突破を図りましたが、うまくいきませんでした」

──ブレイクダウンの球出しが遅かったのでは?

「神戸さんはゲインラインを基準に、無理にブレイクダウンに入らず、全体的にワイドにディフェンスしてきました。ピック&ゴーを含めて、スタンディングラグビーをしようとしましたが、動かせませんでした。神戸さんのタックラーと二人目の選手が強かったからなので、こちらが鍛え直さなければならない部分です」

○豊田将万キャプテン

「今日はチャレンジャーとして、うちにしかできないラグビーを神戸さん相手にやろうと臨みましたが、相手もトップリーグで戦って調子の良いチームですので、僕たちのテンポが作れませんでした。良い反省点をいただき、今後の課題が明確になりましたので、チームにとっては収穫でした。1年間、下から這い上がって、応援をしてくださった方に報いたかったのですが、壁は厚かったと思います。来年、また、このステージに戻って来たいと思います」

──自信の持てた部分とそうでなかった部分は?

「僕らのアタックでトライが獲れたことです。課題としては、フィジカルコンテストでついていけなかったことと、身体をぶち当てたところで勝てなかったことです」

──山口ヘッドとの今年1年を振り返って?

「チームの象徴が智さんで、皆は、信じていれば何かをしてくれるという思いで、ついて行っています。僕らは、まだ、智さんに応えられていないし、強くなるために明確な課題と反省点を示してくれたので、来年は必ず強くなろうと思います」

 

神戸製鋼コベルコスティーラーズの苑田ヘッドコーチ(左)と橋本キャプテン

神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ

「素晴らしい天候に恵まれ、秩父宮では今シーズン最後の試合ということで、良いゲームをお見せしたかったのですが、ちょっと大味なゲームになってしまいました。4強に入れたので、次の試合に向けてしっかり準備したいと思います」

──試合中、修正した部分は?

「前半のディフェンスで、チームとしてオーガナイズできていない部分がありました。一人飛び出して、一人残っていたりするなど、ハーフタイムに修正するよう指示しました。コカ・コーラさんはワイドにアタックして来るので、こちらの人数が余っていないときはオーガナイズした通りにやろうと伝えました」

──2回戦の難しさとは?

「難しくはないです(笑)。試合数が増えるのは良いことですし、日本のラグビーの発展のためだと思います」

──1回戦の方が厳しかったのでは?
「我々はトップリーグの終盤戦は、ずっとプレーオフを戦っているような感じでした。なお、サントリーさんとやり、次に5位のチームとやり、次がトップチャレンジの1位チームとやるのはメンタル的に難しいです。逆にコカ・コーラさんは失うものはないので、アグレッシブに向かってきました。こちらは疲れもあり、メンタルでタフにもなれず、前半に約束事が守れず、甘かったと思います。もちろん、コカ・コーラさんをリスペクトして、しっかり分析して、しっかり準備して戦いました。もう少しバランスよくボールを動かしたかったと思います」

──次の試合は?

「やはり、トップ4のチームですので、そう簡単には勝てる相手ではないと思います。リーグ戦では、前半に2トライ獲られて主導権を握られたので、前半20分のフィジカルが勝負だと思います。どれだけ、制圧できるかがカギです」

○橋本大輝キャプテン

「本日は素晴らしい環境でプレーさせていただき、感謝申し上げます。後半はうまくできた部分もありましたが、前半はちょっと受けてしまって、コカ・コーラさんのペースにさせてしまいました。次の試合に向けて修正していきたいと思います」

──東芝戦は?

「フィジカルな勝負、FW勝負になると思います」