コカ・コーラウエストが神戸製鋼と
帝京大はパナソニックにチャレンジ
10日、第50回日本ラグビーフットボール選手権大会2回戦2試合が東京・秩父宮ラグビー場で行われる。
トップリーグ4強のパナソニック ワイルドナイツと神戸製鋼コベルコスティーラーズが、それぞれ日本選手権1回戦を勝ち上がった帝京大学とコカ・コーラウエストレッドスパークスの挑戦を受ける。

大黒柱CTBフーリーが調子を上げている神戸製鋼はコカ・コーラウエストの挑戦を受ける
photo by Kenji Demura (RJP)

パナソニックと神戸製鋼は、共に2日の1回戦でワイルドカードTを勝ち上がったトップリーグの強豪チームに対して快勝。プレーオフTセミファイナルでの敗戦から、しっかり切り替えができていることを印象づけた。
神戸製鋼は、セミファイナルで王者サントリーサンゴリアスに敗れた後、「セミファイナルではアタックの時間が少なかったので、アタックにフォーカスしたトレーニングを積んできた」(苑田右二ヘッドコーチ)という修正が実を結ぶかたちで、リーグ戦では23-23の引き分けだったトヨタ自動車ヴェルブリッツに対して、主導権を握り続けた。
フィジカルな戦いを得意とするトヨタ自動車に「FW勝負」(FL橋本大輝主将)を挑んで、セットプレーでも接点でも優位に立って20-5と完勝したことで、プレーオフの時よりもチーム状態は一段と良くなっていると見ていいだろう。
セミファイナルでは後半4分に退いたCTBジャック・フーリーがほぼフル出場できた(後半8 - 16分に出血による一時的退場の後、同39分までプレー)のも、明るい材料。

コカ・コーラウエストは大型FWの神戸製鋼にどう立ち向かうのか
photo by Kenji Demura (RJP)

対するコカ・コーラウエストは、1月に行われたトップチャレンジ1で、クボタスピアーズ、三菱重工相模原ダイナボアーズ、豊田自動織機シャトルズという難敵との戦いを制して来季のトップリーグへの復帰を勝ち取るとともに、日本選手権出場を決めた。
「DFからスコアするアタッキングチームを目指してきた」(山口智史ヘッドコーチ)というコカ・コーラウエストのスタイルが、圧倒的なFW力を誇る神戸製鋼に対してどこまで通用するのか。
「(1回戦で対戦した筑波大学より)身長、体重とも下」(NO8豊田将万主将)という小さなFW陣の踏ん張りもポイントになりそうだ。

尚、日本選手権2回戦でのトップリーグチーム対次季昇格チームの対戦では、08-09シーズンにTL5位のNECグリーンロケッツがトップチャレンジを勝ち上がったリコーブラックラムズに敗れている。

一方、1回戦でヤマハ発動機ジュビロから8トライを奪って、56-14で圧勝したパナソニックは大学選手権4連覇の帝京大学の挑戦を受ける。
ヤマハ発動機戦では、中嶋則文監督が「今季ベストでは」と高い評価を与えるほど、いいパフォーマンスを見せたパナソニック。
強力FWのヤマハ発動機に対して、セットでもブレイクでも完全に支配したことで「FWがあれだけしっかり戦えれば、上位チームにもしっかり戦える」(CTB霜村誠一主将)と、準決勝以降に向けての手応えをつかんだかっこうだ。
昨季まで5年連続でトップリーグのプレーオフファイナルに進んでいたパナソニックにとって、日本選手権が現行スタイルになってからは大学チームと対戦するのは初めて。
「メンバーに関しては少し考えないといけない」(中嶋監督)と、当然、準決勝以降を見据えた戦いとなる。

1回戦でヤマハ発動機に大勝したパナソニックは帝京大と対戦(写真はWTB山田)
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大学NO1として4年連続でトップリーグの強豪と対戦することになる帝京大は「ミスマッチを組むのは良くない」(岩出雅之監督)とは言いつつも、「勝つ気持ちでいっぱい」(HO泉敬主将)と、当然、大金星を狙っている。
実際、昨季も同じ日本選手権2回戦で東芝と対戦して、前半35分までは14-17と競り合うなど健闘している。
昨年以上の総合力を見せつけて大学チャンピオンの座を守り、さらには日本選手権1回戦では115得点という日本選手権記録もつくった帝京大学の「学生の勇気、精神を見せる戦い」(岩出監督)に期待したいところだ。

4年連続でのトップリーグチームへのチャレンジとなる帝京大は金星を奪えるか
photo by Kenji Demura (RJP)

NTTドコモ-三菱重工相模原による

TL入替戦第2弾は大阪・近鉄花園で

日本選手権2回戦前日の9日には大阪・近鉄花園ラグビー場で、トップリーグ入替戦第2弾となるNTTドコモレッドハリケーンズ-三菱重工相模原ダイナボアーズ戦が予定されている。
3日に行われた福岡サニックスブルース-豊田自動織機シャトルズ戦では、史上初めて入替戦での下克上が現実になっており、トップチャレンジ1の対戦では後半23分までリードするなど、豊田自動織機と接戦を繰り広げた三菱重工としては、2週連続でのアップセットで日本中を驚かせて、トップリークへの昇格を果たしたいところ。
トップチャレンジ1最終節のクボタスピアーズ戦で、後半途中出場して2トライを挙げた元ウェールズ代表WTBシェーン・ウィリアムズが先発入り。チャレンジャーの三菱重工相模原としては、最初からトライを取りに行くスタイルで金星を狙いにいく。

対するNTTドコモにとってはトップリーグ最終節の1月6日以来の実戦。
NO8箕内拓郎、FBミルズ・ムリアイナと、大事な試合で何が起きるかを知り尽くしていると言っていい大黒柱が健在ではあるものの、試合勘のなさが一番の問題だろう。
実際、福岡サニックスも試合勘をも取り戻せなかった立ち上がりの時間帯に5連続トライを献上して敗れ去っている。
トップリーグ最終2節の福岡サニックス戦(42-13)、トヨタ自動車戦(24-31)では、「流れが良くなっていた」(WTB平瀬健志)部分を試合早めに取り戻せるかがポイントになりそうだ。

text by Kenji Demura

NTTドコモはトップリーグ2シーズンの経験を生かして残留を果たせるか

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入替戦でNTTドコモに挑戦する三菱重工相模原はWTBウィリアムズが先発

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