神戸製鋼、パナソニックがTOP4の貫禄示す快勝
帝京大、コカ・コーラウエストも大勝で2回戦へ

2日、今季で50回目を迎える日本選手権が開幕。1回戦4試合が行われ、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、パナソニック ワイルドナイツのトップリーグ4強勢と、トップチャレンジシリーズ1位のコカ・コーラウエストレッドスパークス、そして大学選手権覇者の帝京大学が2回戦に勝ち進んだ。

大阪・近鉄花園ラグビー場では、ワイルドカードを勝ち進んだトヨタ自動車ヴェルブリッツとヤマハ発動機ジュビロが、共にプレーオフTセミファイナルで敗退した神戸製鋼とパナソニックにチャレンジした。

第1試合のトヨタ自動車-神戸製鋼戦は、立ち上がりから「セミファイナルではアタックの時間が少なかったので、この2週間、アタックにフォーカスしたトレーニングを積んできた」(苑田右二ヘッドコーチ)という神戸が試合を支配。
ただし、攻め込みながらのミスもあって、スコアには反映されない時間帯が続く。
13分には、SO森田恭平が正面からのPGをポストに当てて外す。
攻めながらも得点には至らず、神戸製鋼としては嫌な流れとも言えたが、「スコアはできなくてもボールキープはできていたので、いつかはトライが取れるだろうと、焦りはなかった」(FL橋本大輝主将)

前半23分にトライを奪うなど攻守に抜群の存在感を示したCTBフーリーの活躍もあって神戸製鋼が20-5で快勝
photo by Kenji Demura (RJP)

ようやく、試合が動いたのは前半22分。
再び十分PGを狙える位置でのPKを得た神戸製鋼が、今度は「1本外していたので流れを変えたかった」(同主将)という判断から、PGを狙わずタッチへ。
ラインアウトから自信を持つFWプレーでは取れなかったものの、SO森田が逆サイドへのキックパス。いったんトヨタ自動車FB水野弘貴がキャッチしたボールを力づくで奪い取ったCTBジャック・フーリーがトヨタ自動車ゴールにグラウンディングして、神戸製鋼がようやく先制した。

結局、前半の得点は、このフーリーのトライによる5点だけ。
「前半5点差で折り返したので、後半立ち上がりからやり返さないといけなかった」と、NO8菊谷崇ゲームキャプテンが試合後振り返ったとおり、圧倒的に攻められながらも僅差でのハーフタイム入りだっただけに、トヨタ自動車としては後半流れをつかみ返すチャンスでもあったが、後半に入っても神戸が攻め続ける展開は変わらなかった。
「前半、アタックでFWとBKがスプリットして効果的ではない部分があったので、シンプルにボールをBKにデリバリーしていくことを指示した」(苑田ヘッドコーチ)
明らかに、前半よりも攻撃面での流れが良くなった神戸製鋼は、7分に左右に大きく振りながらフェイズを重ねて、最後はラックからFLジョシュ・ブラッキーが飛び込んで2トライ目。
24分にも、途中出場のSOピーター・グラントの飛ばしパスからWTB大橋由和が大きくゲインした後、ラックからやはり途中出場のHO木津武士がショートサイドを駆け抜けて、勝負あり。
トヨタ自動車に終盤1トライ返されたものの、ほぼ80分間、試合を支配し続けた神戸製鋼が、トップリーグTOP4の貫禄を示すかたちで2回戦へ進んだ。

トヨタ自動車としては、前半12分にSOスティーブン・ブレットが負傷退場する誤算もあったが、「前半、自陣から脱出できなかったり、ミスからトライを取り切れなかったり。それがトヨタの弱さ」(菊谷ゲームキャプテン)と、根本的な部分で神戸製鋼に試合を支配し続けられた印象の今季ラストマッチとなってしまった。

トヨタFLカイノのタックルを受けながら前進する神戸FL橋本主将。FW戦で神戸が上回った
photo by Kenji Demura (RJP)

帝京大は日本選手権最多の115得点を記録

続く第2試合は、「ここ数年、プレーオフのセミファイナルで負けたことがなかったので、気持ちの切り替えができるかメンタルで心配はあったが、選手たちは前半からやるべきことをやってくれて、今季ベストではと思えるほどいい内容だった」(中嶋則文監督)というパナソニックの充実ぶりばかりが目立つ展開となった。
立ち上がりの時間帯こそ、ヤマハ発動機が攻め込むシーンもあったが、FB五郎丸歩が2本のPGを外したこともあって勢いに乗れず、試合は次第に一方的なパナソニックペースに。
18分までに、ヒザのケガから復帰したFB田邉淳が2本のPGを決めて6-0とリード。 その後は、「FWが頑張ってくれた」と試合後CTB霜村誠一主将が振り返ったとおりに、ラインアウトからのモールを起点に21分、24分、29分、34分とトライを重ねて、30-0にまでリードを伸ばしてハーフタイムへ。

CTB霜村主将の2トライをはじめ計8トライを重ねたパナソニックがヤマハ発動機に圧勝
photo by Kenji Demura (RJP)
前半29分、トライを奪うLOヒーナン。強力FWのヤマハを圧倒しての勝利にパナソニックは大きな手応え
photo by Kenji Demura (RJP)

「30点のリードはあったが、0-0からのつもりでやろうと、気持ちを引き締めて臨んでくれた」(中嶋監督)という後半も、7分、18分、22分と3連続トライで得点はあっという間に50点超え。
27分、30分と、ヤマハ発動機に連続トライを許して、零封こそならなかったものの、33分にもFL劉永男が締めのトライを奪って最終スコアは56-14。
現行スタイルになって初の日本選手権1回戦からの登場となったパナソニックだが、「今日の内容なら上位チームにもしっかり戦える」(霜村主将)と、頂点獲りに手応えをつかむ"初陣"となった。

一方、前週ワイルドカードT2回戦で近鉄ライナーズから10トライを奪う快勝ぶりで自信を持ってパナソニック戦に臨んだヤマハ発動機だったが、2週連続での強豪との試合に「みんな少し足が重い感じはあった」(LO笠原雄太主将)というコンディション面での不利も響いて、まさかの大敗。
「前半モールで取られたのは元気な状態なら取られていない。攻め疲れてのフィットネス不足。足りないところを真摯に受け止めて、来季のチームづくりに生かしていきたい」(清宮克幸監督)と、来季TOP4以上を目指す上での課題が露呈するかたちでシーズンを終えた。

なお、東京・秩父宮ラグビー場では、大学チャンピオンの帝京大学がクラブ王者の六甲ファイティングブルから計19トライを奪う猛攻ぶりで115-5で圧勝。
トップチャレンジシリーズを勝ち上がって来季のトップリーグ復帰を決めているコカ・コーラウエストレッドスパークスも筑波大学を寄せ付けず、7トライを重ねて47-15で快勝。

日本選手権2回戦は、コカ・コーラウエスト対神戸製鋼、パナソニック対帝京大学の組み合わせで、10日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。

text by Kenji Demura

筑波大を寄せ付けず、7トライを奪ったコカ・コーラウエストが47-5で勝利を収め2回戦へ
photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP)
日本選手権最多得点を記録した帝京大は2回戦ではパナソニックにチャレンジすることに
photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP)