53回目を迎えた大学選手権の3回戦は、花園での選手権開幕戦となった。8大会連続45回目の明治大学(関東大学対抗戦A3位)と4大会連続30回目の京都産業大学(関西大学Aリーグ3位)の3位同士の興味深い対戦に4700人を超える観客が集まった。今大会は5大会ぶりに一発勝負のトーナメント方式となりお互いに負けられない厳しい戦いとなった。勝てば準々決勝、関東大学リーグ戦1位の東海大学との戦いに駒を進める。

試合は明治のキックオフで始まった。先手を取ったのは明治。3分、CTB12番梶村祐介が相手10mL付近左のライン際をうまく突き、40m独走。フォローした右WTB14番矢野湧大につないで左中間にトライ(SO10番堀米航平G成功)。7-0とあっさり先制した。7分にも再びWTB矢野がトライ(12-0)し試合の主導権を握った。一方の京産大は27分、左LOから得意のモールを20m押し込んだチャンスからG前5m中央ラックを形成、そこからNo8フェインガ・ファカイが持ち出し差中間に待望のトライを奪う。12-7(SO10番高原慎也のG成功)。更に31分にもまたもモールからフェインガがトライ(SO10番高原のG成功)。12-14と逆転に成功した。明治も38分、G直前のラックからLO4番尾上俊光がトライしGも成って19-14とリードして前半を終えた。時間の経過を忘れさせる攻防が展開された。

後半、お互いのすばらしいディフェンスが見られて15分までは得点はなし。15分、先手を取ったのは京産大。G前10m中央ラックからやはりキープレーヤーNo8フェインガが持ち出しHO2番中川将弥につないで右中間にトライし19-21(SO10番高原のG成功)とまたも逆転。明治も22分に京産大のノットロールアウエイの反則で得たPGをSO10番堀米が決めて22-21と四たびの逆転。その7分後、京産大にビッグプレーが出る。自陣22mL左で相手ノックオンのボールを右WTB14番坂本英人が拾い上げ80m独走して左中間に押さえた。明治の猛攻が続く中、試合終了を告げるホーンがグラウンドに響いた。PK、FK以外の反則やアンプレアブルにできない明治は攻め続ける。十数フェイズを繰り返すが京産大も必死のディフェンスで対抗する。京産大陣で息詰まる攻防が展開されたが最後は焦りからか明治は痛恨のノットリリースザボール。PKから京産大がタッチキックしてついに試合の決着がついた。京産大が強力なモールに代表されるFWの力と最後まで崩れなかった粘り強いディフェンスが試合を制した。5度の逆転劇が展開された試合だったが学生らしいさわやかなゲームに両校に大きな拍手を送りたい。


■明治大学

○丹羽正彦監督

一年間練習をしてきたが、大学選手権でその結果が出せなかった。スクラムとモールで相手に有利に試合を運ばれてしまった。前半こそトライを三つ挙げているが、後半ではペナルティーゴールの3点のみに押さえ込まれている。相手にペースを握られ明治はやりたいことが出来なかった。明治はディフェンスに力を入れ、これまでの雪辱を期して、学生たちもよくやってくれたのだが及ばなかった。結局、相手が良かったというよりも明治の方に問題があったのだと思う。これからはチームの作り方といったところから見直して行く必要があるのかも知れない。

○桶谷宗汰キャプテン

前半では、スクラムを中心にセットプレイで相手にペースに乗られてしまい、後半では、一人一人は頑張ったのだが思ったようなプレイが出来なかった。結局、こちらがするべきことが出来ずに負けてしまったのだと思う。

――後半2回ペナルティーゴールを狙いに行ったが?
桶谷キャプテン:ビハインドのままでは気持ちに余裕が生まれないので、1点でもリードして、精神的に優位に立ちたいと考えた。

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■京都産業大学

○大西健監督

明治大学との大学選手権での対戦は今日で7回目になるが、平成3年の1月2日に僅差で負け、その試合には明治の丹羽現監督や元木京産大コーチも選手でいたのだが、以来大きな忘れ物をしてきたような気がしていて、今日やっとそれを取り戻すことができた。これからは選手権王者を目指してひた走っていくことができる。これまで今年こそ京都産業大学にとって大きなチャンスだと思ってきた。眞野のキャプテンシーやニュージーランド留学組の存在が大きいが、さらにリーグ戦で厳しい試合が続き、チーム全体に必死さ、ひたむきさが拡がりリーグ戦を通じて一丸となったチームへと仕上がって来た。これで、小さなものが大きなものを倒す勇気を示すことができる素晴らしいチームができたと思っている。次の東海大戦でははっきり勝に行って今回こそベスト4の壁を越えたいと思う。

○眞野拓也キャプテン

関西リーグ戦に入って第1戦、2戦と落とし、これ以上は負けられない中で、これまでサポートしていただいた皆さんに京都産業大学のラグビーを見ていただきたいとの思いで一戦一戦を戦い、大学選手権の切符を手に入れた。さらに100%、120%やり切ろうとして練習に励んできた。それが今日の結果につながったと考えている。

――ゲームプランは?
大西監督:フォワードプレイで優位に立とうと考え、特にセットピースでの戦いとなることを望んでいた。そのとおりにはいかなかったのだが、モールドライブで自分達を取り戻せたと思う。

眞野キャプテン:前半は、相手の得意なフィールドプレイで加点され、正直少し動揺したが、セットプレイで立て直すことができた。

――ノーサイドまでの展開は?
大西監督:逆転のトライを挙げたWTB坂本はチーム一の俊足で、彼の独走で大きく勝利を引き寄せることができた。それ以後ノーサイドまでは、実に長い時間で、選手たちは良くディフェンスで頑張ったが、私は我を失ってひたすら早く笛を吹いてくれと願っていた。

眞野キャプテン:相手がショットを選択してくれた時には、仮に入ったとしても、また、相手陣に入れるのだと気持ちを切り替えた。ノーサイドまでは、確かに長い時間だったが、ペナルティーをしないように意識して、強く前に出てディフェンスをしようと必死だった。その結果大学選手権で勝利して大西先生と喜びを分かち合うことができたと思う。

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(記事:丸井康充、村島博)