絶対目標である「女子ラグビーワールドカップでの勝利」実現のため

まずはフィジーを破り4大会ぶり女子RWC出場権獲得を

 

aj9i1728-1

香港でのワールドカップ予選に臨むサクラフィフティーン。目指すのはあくまでも本大会での勝利だ
photo by Kenji Demura

 

13日、女子ラグビーワールドカップ 2017 アジア・オセアニア地区予選、日本対フィジ一戦が香港のキングス・パークで行われる。

来年の8月にアイルランドで開催される女子ラグビーワールドカップ 2017にアジア・オセアニア地区から出場できるのは2カ国。

今回の最終予選では、日本、香港、フィジーの3カ国が総当たり戦を行い、上位2チームがアイルランド行きの切符を手に入れることになるが、すでに10日に行われた大会初戦で香港がフィジーを破ったため、日本がフィジーを下した時点で日本と香港のラグビーワールドカップ出場が決まる。

尚、最終戦となる香港との一戦は17日に同・香港フットボール・クラブで予定されている。

 

「我々の目標は女子ラグビーワールドカップ出場ではなく、女子ラグビーワールドカップでの勝利」(有水剛志・女子日本代表ヘッドコーチ)

 

過去3大会連続で女子ラグビーワールドカップ出場を逃してきた事実は事実として認識しながらも、あくまでもターゲットは世界であることを公言してきたサクラフィフティーンにとって、本当の意味でのスタートラインに立つための試合が迫ってきた。

 

最初に乗り越えるべき相手はオセアニアの雄フィジー。

 

ar9z9920

5月のアジアチャンピオンシップでも戦った香港で、まずはフィジーと対戦する
photo by Kenji Demura

 

これまで日本とフィジーは15人制女子でのテストマッチを行ったことがなく、今回が初の対戦ということになる。

「フィジーは組織というより、個人を全面に出したラグビーをする。サクラフィフティーンとしては組織で個々を圧倒するような戦い方をしていく」というのが、有水HCの映像レベルでのフィジーに対する印象と日本の戦い方の大まかな方向性だ。

元々、「世界で勝つ」ためにサクラフィフティーンが目指しているのは「運動量で相手に走り勝つ高速フェイズアタック」であり、「タックルラインの攻防とエリアで優位に立つ」こと。

その理想とするスタイルを前面に出しながら世界の舞台で結果を残していくため、「ブレイクダウンのスキル。コンタクトした状況で正確なプレーができてボールキープ力がある」(同HC)選手たち28人が香港の地を踏んでいる。

チームを率いるPR斎藤聖奈キャプテンは、フィジーに対しては「フィジカルが強い」と警戒しながらも、「アタック、ディフェンスともに数的優位に立って試合を進めていきたい。サクラフィフティーンはどんなチームに対しても運動量で勝る」と、揺るがない自信を語る。

 

ar9z0423

今年5月の香港でのアウェー戦での斎藤主将。口数は多くないがチームメイトからの信頼は厚い
photo by Kenji Demura

 

高校生やリオ組も加わったベストメンバーで

目指す“高速フェイズアタック”炸裂なるか

 

前述のとおり、フィジーが初戦で香港に敗れたことで、フィジーに勝った段階で4大会ぶりとなる女子ラグビーワールドカップ出場権を手にすることになるサクラフィフティーン。

当然ながら、フィジー戦、そして17日に控える香港との最終戦双方とも「ベストメンバー」(有水HC)で臨むことになる。

目指すラグビースタイルから言っても、チーム全員が“キーウーマン”にならないといけないサクラフィフティーンだが、フィジー戦に関して有水HCがあえて期待感を表明したのがNO8マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェ。

「唯一の外国人選手で出身はフィジー。モチベーションが高いことがチームとしてプラスになればいい。自分でどんどん突破していく」(同HC)

c87w2882

有水HCも注目選手に挙げるフィジー出身のポギドゥラウマイナダヴェ。「サクラのために」全てを出し切る
(写真は15年のアジアチャンピオンシップから)
photo by Kenji Demura

もちろん、本人も「(香港でフィジーと戦う)準備はできている」ことを強調。「いままで日本代表の試合で君が代が流れた時は、とても真剣に耳を傾けてきたし、それは自分のモチベーションを上げるものでもあった。それが今回はフィジー国歌も流れて、自分は両方の歌によってモチベートされることになる。もちろん、考えるのはサクラのためにプレーすることだけ」と、特別にエモーショナルな試合になるが、持てるもの全てをサクラフィフティーンの勝利のために捧げるつもりだ。

「アグレッシブにプレーする。ボールを持ってペネトレイトして、チャンスがあればオフロードする。FWパックとしてはBKにボールを供給することも重要になる」

さらに、有水HCがボギドゥラウマイナダヴェと共に特別な期待感を表明したのが、5人の高校生たち(加藤幸子、小西想羅、黒木理帆、津久井萌、長田いろは)。

「この期間に伸びていく可能性は高い。想定外に伸びしろを見せてくれるのでは。もちろん、女子ラグビーワールドカップで通用する可能性があるからこそ選んだ。とにかく思い切りプレーしてほしい」

また、今回選ばれている28人メンバーの中には、バックアップメンバーも含め、6人のリオデジャネイロ五輪組も含まれている(竹内亜弥、加藤慶子、桑井亜乃、谷口令子、冨田真紀子、山中美緒)。

「世界での厳しい戦いを経験しているので、プレーはもちろん、グラウンド外でも刺激を与えてくれている。

ただ、年間200日以上、7人制の合宿をやってきた選手たちなので、15人制への適応は感覚的になかなか抜けきれない面はあったが、(日本での15人制の)合宿中にブレイクダウンとDFのスキルの部分を中心に15人制への適応を進めた」(同HC)

 

ar9z1132-2

初戦でフィジーを倒して4大会ぶりのワールドカップ出場を決めた後、香港とのアウェー戦に臨みたい
photo by Kenji Demura

今春の女子アジアラグビーチャンピオンシップ2016では、リオ組抜きで香港とのホーム&アウェー戦で連勝したサクラフィフティーンだが、今回の予選ではさらに底上げされたチーム力で、真の目標である「女子ラグビーワールドカップでの勝利」につながるパフォーマンスを披露してくれるはずだ。