マッチリポート
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トーナメント表


東芝ブレイブルーパス 86-19 帝京大学

【2回戦/2012年3月4日(日) at 埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場) 】

東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京
史上2校目の3連覇を成し遂げ、打倒トップリーグチームに燃える帝京大学と覇権奪還を狙う東芝。

序盤からトライの応酬が始まる。前半4分、帝京大学の反則(ノットロールアウェイ)で得たラインアウトから東芝得意のモールで攻め、HO猪口がトライで先制(ゴール失敗)し5-0。8分にも同じく帝京大学のノットロールアウェイで得たラインアウトを起点に右へ展開。WTB廣瀬が大きくゲインした後、左へ展開。SH藤井→SOヒル→CTB吉田良平→CTBオトと繋いでWTB伊藤真がトライ(ゴール失敗)で10-0。

負けじと帝京大学は前半12分、東芝陣内での5mスクラムから東芝のコラプシングの笛が鳴った瞬間にSH滑川が飛び込みトライ。CTB中村亮土がゴールを決め10-7。その後もシーソーゲームは続き、20分に帝京大学のオフサイドからモールを使い東芝のPR三上が決め、SOヒルのゴールも成功して17-7。31分に東芝ボールのスクラムから帝京大学がボールを奪い左に展開。SH滑川→SO森田→CTB中村亮土と渡りゴールに飛び込みトライ。そのままゴールを蹴って成功し17-14。

帝京大学は1トライ、1ゴール差に迫るものの東芝は35分に再びPR三上のトライで突き放し、ゴール成功で24-14。そのままスコアは動かずハーフタイム。会場にはもしかしたらの雰囲気が漂う。

後半に入り東芝はFLリーチ、SOヒルの両外国人選手を下げ19番ベイツ、21番ブリューを投入。これによりCTB吉田良平がSOとキッカー、21番ブリューがCTBとなる。

東芝が前半に体を当て続けた事が帝京大学に大きなダメージとなり、後半は一方的な東芝ペース。後半2分に帝京大学のスクラムペナルティをきっかけに東芝が帝京大学陣内へ。約10mのモールを押し込みNO8豊田がトライ。CTB吉田良平のゴールも決まり31-14。後半8分にはゴール正面の22mライン付近での東芝ボールのスクラムからSH藤井が持ち込み前進。NO8豊田に繋いでラック、左に展開し19番ベイツに繋いでラック、その後2度のラックを作り右へ展開。SOのポジションにいるCTB吉田良平がラックを作り、FB宇薄→SH藤井→21番ブリューと繋ぎ帝京大学のディフェンスを巻き込みながらトライ。ゴール失敗で36-14。

後半12分、帝京大学がペナルティを重ねる間に東芝が前進。右に展開しながらラックを重ね帝京大学のディフェンスのギャップを突き左へ展開。WTB廣瀬が走り込みトライ。ゴール失敗で41-14。後半15分、帝京大学が東芝陣内に攻め込むもののCTB吉田良平のタックルでノックオン、こぼれたボールを19番ベイツが拾い21番ブリューへ。ラックからSHの位置にいたWTB廣瀬のパスを受けたFB宇薄が帝京大学のBKラインの裏に走り抜け、サポートに来たWTB伊藤真に繋いで独走トライ。CTB吉田良平のゴールが決まり48-14。

攻撃の手を休めない東芝は後半20分に帝京大学のお株を奪うスクラムトライで8番豊田がトライ。CTB吉田良平のゴールが決まり55-14。スクラムの核のLOボンドが退いた帝京大学に対し、東芝はスクラムに自信を持つベテランの17番久保の投入というミスマッチが出てしまったトライ。

後半22分、東芝は満を持して18番大野の登場。後半26分、ハーフウェイライン付近の帝京大学ボールのスクラムからSH滑川が左右にボールを散らしラックで攻撃のリズムを作るものの東芝19番ベイツがターンオーバーし右へ展開。タッチライン際で宇薄が捕まるもそのままモールで前進し、左へ展開。CTB吉田良平が帝京大学のディフェンスを4人引きつけてWTB伊藤真に繋ぎトライ。CTB吉田良平のゴールが決まり62-14。東芝はこの時点で10トライ。

後半32分、攻め急ぐ帝京大学は東芝のペナルティから速攻を仕掛けるも焦りからか痛恨のスローフォワード。直後の東芝ボールのスクラムで後半24分より入替出場している東芝20番吉田朋生が8-9プレーで右に走り抜けディフェンスのギャップを突いてWTB廣瀬に繋いでそのまま抜け出しトライ。ゴール失敗で67-14。

帝京大学のキックオフからの攻めを止めるのはまたも19番ベイツ。東芝ボールとなり後半34分のトライ。右へ展開しWTB廣瀬→21番ブリューと繋ぎWTB伊藤真が中へ切り込む。ゴール前で倒されるもSHの位置に入ったWTB廣瀬→CTB吉田良平→FL中居→NO8豊田と繋ぎ最後は18番大野がトライ。吉田良平のゴールが決まり74-14。

まだまだ終わらない東芝の攻撃。後半36分、帝京大学のキックオフ失敗によるセンタースクラムから左へ展開し、21番ブリュー、19番ベイツ、LO梶川と左右にラックを作り、CTBオトの小刻みなステップからWTB伊藤真が抜け出しゴール中央へトライ。CTB吉田良平のゴール成功で81-14。

後半39分のトライは36分と同様にキックオフ失敗から。東芝のセンタースクラムからNO8豊田とWTB廣瀬の8-9プレーで右に展開。2回ラックを作った後、19番ベイツを起点に左へ展開。CTB吉田良平のパスがワンバウンドしたものの21番ブリューの胸元にボールが入り左隅へトライ。ゴール失敗で86-14。

しかし、3年間学生王者の名を欲しいままにしてきた帝京大学も諦めてはいない。ラストプレーを知らせるホーンが鳴り響き、勝利が無くなってもひたむきにプレーし続ける。ホーンが鳴ってから3分後、帝京大学がこだわり続けたモールでHO白がトライ。ゴールが外れノーサイド。

86-19で東芝の勝利。結果として東芝のワンサイドとなったが、彼らの本能を目覚めさせたのも帝京大学のラグビー。勝った東芝は準決勝に進み宿敵サントリーと。試合勘はサントリーよりもあるだけに、後半のようなラグビーができれば勝機があるだろう。(針ヶ谷 光洋)

東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京
会見リポート
 

帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン
帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン

◎帝京大学
○岩出雅之監督

「勝負はもちろんですが、一つひとつのプレーにすべてを出し切って、次につながっていくようなゲームにしたいと考え臨みました。前半、良いところも出たと思いますし、後半、もう一度、奮起を促して送り出したつもりですが、力の差は大きかったのかと思います。なかなか体験できないゲームですので、卒業生には次の舞台へ、3年生以下には次のシーズンに向けて財産にしたいと考えています」

──今後トップリーグのチームに勝つという目標設定はするのか?

「学生のチームには1年生からいて、トップだけを強化するのではなく部員全員を引き上げていく責務があると考えています。もちろんチャレンジしたいという気持ちもありますが、全国からきてくれた学生を大切に育てていきたいと思っていますし、無理をすることは賢明ではないと考えています」

──大学4連覇に向けては?

「もちろん、優勝は目標からはずしていません。夢に向かって学生は頑張ってくれると信じています」

○森田佳寿キャプテン

「1年間、積み重ねてきたことが、どれだけ通用するのか、思い切りチャレンジしてみたいと臨んだ試合でした。通用したところ、しなかったところ、体感することができました。この悔しい思いもすべて次のステージへ活かしていければと思っています」

──通用したところ、しなかったところ、具体的には?

「自分たちの集中力が高く持てた時間帯は、タックル、ブレイクダウンなど通用していたと思います。ディフェンスについても前に出ること、圧力をかけることができたので競った試合ができたと思います。後半のフィットネスの差、プレーの力強さに差が出てこういうスコアになったと思います」

──最後のトライの場面は?

「後半は苦しい時間が長かったんですが、最後まで自分たちのプライドを見せようと言っていましたので、もう一度気持ちを奮い立たせて全力を出し切ることができ、トライにつながったと思います」

──東芝というチームの印象は?

「今日の試合でも、ベストメンバーで力を抜くこともなく最後まで全力を尽くすところは素晴らしいと感じました」

東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京 東芝 86-19 帝京
 

東芝ブレイブルーパスの和田監督(左)と豊田キャプテン
東芝ブレイブルーパスの和田監督(左)と豊田キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督

「大学チャンピオン帝京大学に対して、私たちのやってきたことが、一貫性を持ってぶれずにできるかということを説いてこの試合に臨みました。試合についてはいろいろな面で難しいところはありましたが、前半の課題を修正して後半に出せた部分とまだ必要なところをしっかりと把握して次へつなげたいと考えています」

──シンプルな戦術を考えたという理由は?

「体を当てていって自分たちのリズムをつかむことを考えています。表現が正しいかわかりませんが、うまいラグビーをしようとすると苦戦すると思っていました」

──サントリー戦に向けては?

「トップリーグチャンピオンに対して全力で真っ向勝負をしたいと思います。リーグ戦では私たちが勝利できましたが、サントリーさんもプライドをかけて勝負を挑んでくると思いますので」

○豊田真人キャプテン

「大学3連覇をした帝京大学さんと対戦できたことを光栄に思います。試合に関しては特に前半、多少戸惑ったところはありましたが、後半、しっかり修正して立て直しができたところが良かったと思います。次はサントリーさんと対戦できるチャンスがめぐってきたので、精一杯戦いたいと思います」

──サントリー戦に向けては?
「チャンピオンチームにチャレンジするという思いを強く持って、ワンチームで戦います」