マッチリポート
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トーナメント表


神戸製鋼コベルコスティーラーズ 10-17 NECグリーンロケッツ

【1回戦/2012年2月25日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC
C:2012, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)
レギュラーシーズン開幕戦と同じ顔合わせ。このときは神戸製鋼が勝利しているが、シーズンを終えて集大成へ向け実力が試されるこの試合。
神戸製鋼はLO伊藤鐘史をゲームキャプテンに据え、先週と同様、FWでの圧力を加えるゲーム運びを狙う。一方NECは、シーズン最多トライの左WTBナドロを軸に如何にゲーム展開するか。朝方からの雨模様で湿った芝状態の前半、神戸製鋼はキックオフ早々の3分、22m左中間で得たPKを、FBグラントが着実にゴールを決め、3-0と試合が動く。
しかし、NECはSO10番 田村のエリアを進める効果的なキックやFWのモール攻撃で優位に立ち、神戸製鋼FWを封じ込める。そして7分、ゴール前15m左中間ラックからショートサイドへキャプテン右FL7番 ラトゥからSH9番 櫻井にボールが渡り、櫻井がそのままインゴールに走り込みこの試合初めてのトライを挙げる。ゴールも決まり、3-7と試合の主導権を奪って、以後ゲームの展開はNECのペースに。

28分には22m左中間のラックから右展開、CTBツイタヴァキがラインブレイクしてトライ(ゴール)、3-14とリードを拡げる。このトライは、ツイタヴァキの右側にポジショニングしたWTBナドロに神戸製鋼ディフェンスが気を奪われる隙を突いたもので、数字には現れないが今シーズントライ王ナドロの真髄が垣間見えたプレーともいえる。この後NECは35分にもSO田村のPGを加え、3-17とNECが前半を支配しハーフタイムを迎える。

神戸製鋼は前半FWが後手に回り、密集での支配が遅れてゲームコントロールが思うようにならなかった。後半、神戸製鋼は奮起したFWがNECをゴール前に釘付けにし、NECは密集での度重なるコラプシングなどで、3人の一時退場者を出す。その約20分間、神戸製鋼は数的優位を背景に攻め続けるが、結果的には17分のペナルティートライのみ。このトライで神戸製鋼は10-17と1トライ差にまで詰め寄ったが、この後実力伯仲の両チームは互いに譲らず、NECがレギュラーシーズンの雪辱を果たして2回戦進出を決めた。(大阪府協会 山林右二・蜷川善夫)

神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC
会見リポート
 

神戸製鋼コベルコスティーラーズの苑田ヘッドコーチ(左)と伊藤ゲームキャプテン
神戸製鋼コベルコスティーラーズの苑田ヘッドコーチ(左)と伊藤ゲームキャプテン

◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ

「小雨降る中、大勢の皆様にご声援いただいたことに謝辞を述べたい。ゲームは、日本一目指して次のステージに臨むべく戦ったが、NECをブレイクスルーできなかった。この結果を真摯に受け止めるとともに、NECには今後の健闘を祈りたい」

○伊藤鐘史ゲームキャプテン

「雨天で、キックシーンが多く、ラインアウトが多かったが、NECのプレッシャーが厳しく獲得率が悪かった。前半NECペースだったが、後半はアタックに転じれば波に乗れていた。結果、仕掛けが遅すぎ、時間切れになってしまった感がある」

──今日の誤算は

○苑田ヘッドコーチ

「前半FWのセットプレーで対応できず、後手を踏んでしまったことである。外国人プレーヤー2名を負傷で欠いてしまったが、後に入った日本人プレーヤーが遜色ないパフォーマンスを見せてくれたことには頼もしさを覚え」
○伊藤ゲームキャプテン

「ボールを動かす神戸製鋼に対し、キックを織り交ぜたNECという展開で、NECのディフェンスのプレッシャーが速く、自分たちのペースでスローダウンすべき場面を中途半端にしてしまった」

──後半NECがゴール前で反則を繰り返した場面で、PGを狙うことは考えなかった?

○伊藤ゲームキャプテン

「後半の早い時間でもあり、FWを波に乗せたい気持ちもあって、FW戦を挑んだ。あの場面では全く迷いはなかった」

──日本一に届かなかった要因は。

○苑田ヘッドコーチ

「昨年より全ての面でレベルアップしているが、タイトなゲームでの経験不足が露呈したシーズンだった。今シーズンのような厳しい状況をいくつも経験し、自信を持って対峙することでTOP4に肉薄し、新しい神戸製鋼の歴史を刻めるはずだ」

──次のシーズンに向けて?

○苑田ヘッドコーチ

「今シーズンが終わったばかりで現時点では何も言えないが、まだまだ多くのイメージを詰め込んでいけば、アタック、ディフェンスとも更に良くなる。少なくとも次のステップに向けての土台づくりは出来ている」
○伊藤ゲームキャプテン
「個人的な見解だが、FWが前に出る力、自陣からでも攻め切ることが出来る力は強みとして備わっている。前半迷いが出てしまったが、この強みを上手く使うことで神戸製鋼の‘巧みさ'が活きてくる」

神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC 神戸製鋼 10-17 NEC
 

NECグリーンロケッツの岡村ヘッドコーチ(左)とラトゥ キャプテン
NECグリーンロケッツの岡村ヘッドコーチ(左)とラトゥ キャプテン

◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ

「スリッピーなコンディションを予想していたが、関係者のご尽力でいいゲームが出来たことに、まず感謝する。ゲームについては、勝利を収めることが出来たものの、シンビンプレーヤーを3名出してしまい、ファンや神戸製鋼に対して申し訳なく思う。反則が多くNECのゲームとは言えなかったとはいえ、プライドを取り戻した"ビッグハート"なゲームだった」

○ニリ・ラトゥ キャプテン

「トップリーグを通じて好不調の波が大きく、先週のプレーオフでもがっかりする結果だったが、今日の勝利で自信を取り戻せるはずだ。チーム全員がそれぞれの立場で献身的な努力をした結果が、シンビンを3名出してもしっかりファイトできたと思う。"チームのため、家族のためしっかりファイトする"というテーマの下、勝利できたことがうれしい。悪い流れも払拭でき、来週のゲームも楽しみだ」

──後半シンビンによる退場者が3名を数えた時の心境は?

○ラトゥ キャプテン

「一瞬ネガティブになったが、気持ちを強く持ちしっかりディフェンス出来た」

── 一時退場者が出た際のゲーム運びについて?

○岡村ヘッドコーチ

「ゴール前の神戸製鋼ボールラインアウトで、押し込むのではなく、最初のプレーヤーをモール形成前に倒すなど、冷静に判断できていた。ラトゥを中心に皆冷静なゲーム運びだった。彼らの頑張りに最大の賛辞を贈りたい」

──後半、神戸製鋼のトライがディフェンスを崩されたのではなく、認定トライだったことについてどう評価するか?

○岡村ヘッドコーチ

「先週のサントリー戦では、従来のディフェンスに"応用"を加えたら崩壊してしまった。今日は基本に立ち返った戦いをしたら素晴らしいディフェンスを見せてくれた。シンビンが多いのは、コーチングに問題があるのでは、と痛感している。反則しないゲーム運びを徹底したい」

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