マッチリポート
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トーナメント表


天理大学 13-37 キヤノンイーグルス

【1回戦/2012年2月25日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

天理 13-37 キヤノン 天理 13-37 キヤノン 天理 13-37 キヤノン 天理 13-37 キヤノン 天理 13-37 キヤノン
C:2012, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)
天理大学は、大学選手権決勝戦で帝京大学に1PGの僅差で敗れるまで、関西リーグ、大学選手権を無敗で走りぬけ、全国大学選手権準優勝という創部以来の戦績に輝く。一方、キヤノンは、トップチャレンジシリーズを1位で通過し、悲願のTL昇格を果たす。ともに更に上位に進むことで、TL上位チームの胸を借りたい。天理は、FWが軽量と評されるだけに、まず、セットプレーの帰趨に注目が集まる。

朝からの小雨が降りやまぬ中、試合は、キヤノンのキックオフで始まった。試合開始早々からキヤノン、ボールを動かして攻めかかるが、ミスで得点に繋がらない。逆に7分、天理の反撃にノットロールアウエイの反則、SO立川がPGを決め(3-0)試合が滑り出す。この後キヤノンはディフェンスの反則で2回PGのチャンスを献上した後、30分、天理CTBハベアが臆することなくキヤノンLOティマニにクラッシュするとノットロールアウエイ、SO立川が難なくPGを決め、6-0とリードする。

しかし、ここからはキヤノンの流れ。31分ビッグゲインで相手陣深く攻込むと右タッチ際のラックから出たボールをSO橋野が左に大きくキックパスし、LOヴァン・デン・ベルグがノーマークでキャッチするとそのまま左隅にトライ(6-5)。次いで36分にはCTB三友のPGで逆転(6-8)する。このままハーフタイムかと思われたが、ホーンが鳴り響いた後、天理は反則を重ね、前半を終わらせることができないまま、42分、キヤノンSO橋野が右斜め前方のギャップを巧みに衝いて右中間にトライ(ゴール)、6-15で前半を折り返す。

後半、キヤノンは、前半最後のトライの勢いを駆って大きく展開を試みる。一方、天理も動きが良くなり始め、双方、一進一退を繰り返す。しかし、キヤノン12分、縦突破でラックを連取し、最後NO8竹山がラックサイドを抜けてトライ(ゴール)、6-22と突き放す。ここで今こそ勝負と見たキヤノンはインパクトプレイヤーの21番トゥプアイレイをアウトサイドCTBに投入。その効果もあり、25分には大外に展開し、WTB新井トライ(6-27)、さらに31分には連続攻撃からWTB瓜生が左隅にトライ(6-32)。ほぼ大勢を決する。

しかし、この状態で天理大学の選手達はまだ気力も体力も潰えてはいない。そして遂に34分、右ラインアウトからのパスアウトをSO立川-CTBハベア-SO立川とループして左に引っ張りオフロードでFB塚本に繋ぐと、タッチ際を疾走、左隅に待望のトライを挙げる。難しいゴールもSO立川が決めて13-32と気迫を示す。この後終了間際キヤノンはスクラムサイドを20番 吉田が衝いてトライ。13-37で雨中の熱戦は幕を閉じた。

試合後の会見で、天理大学の小松監督、立川キャプテンは、社会人との力の差を尋ねられ、ともに「一人ひとりの力の差」を挙げた。このことは、逆に組織的に崩されることは決してなかったという自負の表明とも受け止められる。一方、キヤノンの永友HCは天理大学のパフォーマンスに敬意を表しながら、キヤノンのそれについては、失望を隠さず、「寝ている」(試合に集中できず、有効に機能していない)選手が多かったと心境を語った。天理大学には、後半のトライに見られたようなボールを自在に動かす自分たちのラグビーをさらに来シーズンに向けて継承・発展させていくことが期待される。そして、キヤノンには、次のステージに向けて、戦う意識とプレーの精度の更なる向上が単に望まれるのではなく、まさに最重要の課題であると指摘しておきたい

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会見リポート
◎天理大学
○小松節夫監督

「社会人相手にボールを動かすラグビーを目指してチャレンジしたが、悪天候の条件下、思うようにいかなかった。ラインアウトで苦戦しマイボールがなかなか出なかったものの、前半は粘ったが、フォーンが鳴った後のプレーでトライを獲られたことが痛かった。とはいえ後半はボールを動かし、トライも獲れ良い面も出せた。日本選手権出場といういい経験を糧に、更に良いチームづくりに励みたい」

○立川理道キャプテン

「セットプレーでの苦戦は想定内。ボールを動かせばなんとかなると思っていたが…。個々の強さが違う。大学勢相手なら動く場面で動かせないことに差があった。トライは継続したプレーで奪取できたし、いい経験ができたと感じている」

──社会人との差はどこにあったか?

○小松監督
「単純明快に表現すれば、腕力の強さ。ブレイクダウンでのプレッシャーにも差を感じた」
○立川キャプテン
「個々の強さ。こちらが人数をかけないと止められなかった。

──通用するところは?

○立川キャプテン
「ボールを動かすことで自分たちの形に持ち込めば通用する点」

──悔いが残るところは?

○小松監督
「序盤様子をみてしまった。緊張で硬さがあり、雨天で足場も悪かったが、逆に思いっきり行くよう指示すればと思う点である」
○立川キャプテン
「前半終了間際のトライ。また後半も、もっとボールを動かしてトライを狙いたかった」

──前半終了間際のトライについて?

○立川キャプテン
マイボールラインアウトであり、キープしてしっかりゲームを切るところ、キヤノンのプレッシャーが厳しくトライを与えてしまった。自分たちの甘さが出てしまった」

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◎キヤノンイーグルス
○永友洋司ヘッドコーチ

「まずは協会関係者、天理大学、お越しくださったファンの方々全てに感謝申し上げる。悪天候を想定して準備を進めてきたが、天理大学のラグビーに苦戦してしまった。敬意を表すべき天理大学のパフォーマンスに比べ、キヤノンのプレーには正直がっかりした。次のプレーへの反応が鈍いプレーヤーが多すぎる。トップリーグ勢と対戦する次戦に大いなる危機感を抱いている」

○宍戸要介キャプテン

「難しいゲームであり、果してミスも多かった。天理大学の向かってくる気持ちがプレッシャーとなり、イージーミスを連発してしまった。初めての日本選手権でもあるので、しっかり反省し、次戦に繋げていきたい」

──難しいゲームとは?

○永友ヘッドコーチ
「トップチャレンジ1位チームv大学の組み合わせになって数年経過するが、統計上社会人が苦戦している。天理大学の勢いを警戒し、特に立ち上がりに関して、強い気持ちを持って臨んだが上手くいかなかった」

──今日の勝因は?

○永友ヘッドコーチ
「セットピース及び天理大学BKのキープレーヤーである立川、ハベア、バイフにプレッシャーをかけられたことが勝因ともいえるが、こちらのミスが多くリズムに乗れなかったことの方が深刻な問題。天理大学のラグビーはシーズン中から注視しており、BKラインの組み立てに於いては日本ラグビーに必要なエッセンスを持っている点で、私はリスペクトしている」

──キヤノンに関しては?

○永友ヘッドコーチ
「リスタートからの素早いアタックを目指していたが、厳しい結果に終わった」

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