マッチリポート
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トーナメント表


帝京大学 83-12 六甲ファイティングブル

【1回戦/2012年2月25日(土) at 東京・駒沢陸上競技場】

帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲
同志社大学以来の大学3連覇を成し遂げた帝京大学と、神奈川タマリバを破り、2年ぶりに日本選手権に駒を進めてきた六甲ファイティングブルの1回戦は、地力に勝る大学王者がクラブチャンピオンを一蹴した戦いとなった。

雨が上がりかけた曇天の中で、おろしたてのセカンドジャージに身をまとった帝京大が風上を取ってのキックオフ。六甲は小気味よいフェイズを重ねて敵陣に攻め込むが、パスのつながりが悪く、こぼれ球を拾われて一気に自陣まで戻されてしまう。
前半6分、帝京大は22m付近のラインアウトから森田→橋口とつなぎ、最後はWTB荒井が右隅に先制のトライ。難しい位置からのコンバージョンも、CTB中村がキッチリ決める(7-0)。
一方の六甲も、10分に敵陣右中間からCTB外村が帝京大ディフェンスをすり抜けゴールポスト裏に回りこんでトライ。ゴールも決まって7-7の同点となり、会場が沸く。
だが帝京大も16分にNO8河口のトライ(ゴール)で突き放しにかかる。

序盤は、FWを使って六甲のディフェンスを探る様相だった帝京大だが、ブレイクダウンが有利と見るや、大学選手権の時とは打って変わり、ボールを左右に散らし始める。
18分森田、26分河口とトライを重ねていく帝京大に対し、何とか点差を縮めたい六甲だったが、27分にFLタウモエピアウ兄がアーリータックルで痛恨のシンビン一時退場。人数が少ない間に荒井(30分)、森田(34分)、小野(37分)と立て続けにトライを決められてしまう。前半だけで8トライ(7ゴール)54点と、ほぼ勝負が決まった形となった。

後半早々、六甲がクラブ王者の意地を見せる。6分、WTB高山が懸命の走りで帝京大のタックルをかわし、40mを走りぬけ右中間に飛び込んだ。
しかし帝京大は10分に荒井がハットトリックとなるトライを決める。この日の帝京大はボンドや南橋を欠くメンバー構成だったが、吉田・白・前田の大学最強一列と、滑川・森田の黄金HB団で余裕を持ってゲームをコントロール。六甲は帝京大OBでもある由良を中心に懸命に打開策を図るが、常に攻め込まれながらのディフェンスで足が止まり、帝京大のトライラッシュの様相になった。また六甲はBKの要であるタウモエピアウ弟のケガでの欠場も痛かった。
最後は大和田がロスタイムにトライを決めて83-12。2年前の同じ六甲相手に記録した日本選手権での学生最多得点(76-7)を自分たちで塗り替える形となった。大敗したが最後まで最後まで必死に食い下がった六甲にも会場から惜しみない拍手が送られた。

試合後のファンクションで、帝京大・森田佳寿主将は「(大学選手権決勝から)1カ月以上空いた試合だったが、対トップリーグや、来季以降のことなど色々な面での『挑戦』だった。六甲さんの素晴しい攻撃で2トライを取られたことは課題にしたい」と大勝にも次戦に向けて気を引き締めた。六甲・鎌田崇史主将は「帝京さんのような強いチームと戦えるのは本当に励みになる。クラブラグビーに引退はない。また来年も(クラブ日本一になって)帝京さんに挑戦したい」と、再戦を誓った。
帝京大学は3月4日、熊谷で東芝ブレイブルーパスと対戦する

会見リポート
 

六甲ファイティングブルの東田GM(左)と鎌田キャプテン
六甲ファイティングブルの東田GM(左)と鎌田キャプテン

◎六甲ファイティングブル
○東田哲也GM

「2年ぶりの日本選手権ということで、大学チャンピオンの帝京大学さんにチャレンジしようと臨みました。2年前の試合でも、学生はサイズがあるし、負けた悔しさよりも残念な思いが強かったです。何とか、同じようなゲームにしないよう、低く、速く、ひたむきに戦おうとしましたが、残念ながら同じようなスコアになってしまいました。前半、もう少しタイトな戦いをしたかったのですが、そこでロースコア勝負に持ち込めなかったのが敗因です」

──帝京の印象は?

「帝京さんはバランスの取れた良いチームです。大学選手権を勝ち続けたラグビーと違うラグビーをしてくるのは予想していました。ハーフ団がしっかりしているし、FWも素晴らしいチームです。ランニングスキルと強さを兼ね備えた選手たちです。厳しい相手が2回戦に来ると思いますが、帝京さんの力を存分に出せれば、良い戦いができると思います」

──どんな練習をしてきたのか?

「内容はキャプテンに任せて、意志は共有し、常に声を掛けてきました。大きく、良く走る、スタミナのあるチームと戦うには、低く、速く、泥臭く、ひたむきに行くしかないという意識を持って練習してきました。入りは良かったけれど、途中から、ついついタックルが高くなってしまいました」

○鎌田崇史キャプテン

「まず初めに、クラブ代表として、負けた選手の分までチャレンジしたのですが、大きな点差が付いてしまいました。単純に悔しいです。もっとやれると思って練習してきました。帝京さんのブレイクダウンは強く、スピードがありました。こちらのタックルが甘く、この点差になったかと思います」

帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲 帝京 83-12 六甲
 

帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン
帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン

◎帝京大学
○岩出雅之監督

「よろしくお願いします。大学選手権が終わって、かなり日が空いたので、学生の心身のコンディションを考え、引き締まったゲームをしようと気持ちを入れさせて臨みました。1回戦の出来が2回戦につながると意識させました。内容は、良いところも甘いところもありました」

──良いところと甘いところとは?

「天候も、グラウンドコンディションもあまり良くないので、できる限りボールと身体を動かそうと臨みました。六甲さんのブレイクダウンで、クォリティボールを出せたところはありましたが、ディフェンスでもミスがあったし、良くないボールもありました。2回戦ではここを踏まえて、戦いに臨みたいと思います」

──大会への調整は?

「難しいです。満足できるものではありません。どの時期から、しっかり身体を動かすか。テストもあるし、この時期の気候に合わせて、風邪などのコンディションとかもあります。学生の自己コントロールが成長してきて、キャプテン以下、チームとして、しっかりしてきたと感じます。ただ、現実的にはトップリーグの方のゲームフィットネスが高いので、学生がフルコンタクトできるコンディションにもってくることはかなり難しいと思います」

──2回戦の相手は強くなるが?

「トップリーグのチームのレベルは3層に分かれていると感じます。トップの3から5チームと、真ん中、その下と。学生がチームとして、一つひとつ上がって経験していけると良いのですが。ただ、学生には不安を持たせずにやらせたいと思います」

──六甲クラブの感想は?

「六甲さんには、前回1本、今日は2本のトライをされました。敬意を表します。戦った相手としてリスペクトし、今日の反省を生かして臨みたいと思います」

○森田佳寿キャプテン

「よろしくお願いします。今日の試合が2回戦につながる試合だと選手たちに意識させて臨みました。今日の教訓を生かして、2回戦をしっかり戦いたいと思います」

──良くボールを動かしたが?

「大学選手権でもボールを動かすというか、ボールを空いているスペースに運ぼうとしていました。今日は2回戦でもチャレンジしていくことを見据えての戦い方でした」