マッチリポート
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トーナメント表


東芝ブレイブルーパス 56-15 ヤマハ発動機ジュビロ

【1回戦/2012年2月25日(土) at 東京・駒沢陸上競技場】

東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機
第49回 日本ラグビーフットボール選手権大会1回戦、東芝ブレイブルーパス対ヤマハ発動機ジュビロの試合が、東京・駒沢陸上競技場で行われた。朝からの冷たい雨は昼前には上がっていたが、グラウンドは所々ぬかるんでいた。

午後14時5分。東芝のキックオフで始まる。開始直後から、ヤマハはテンポのよい球出しで、FW、BKが一体となった攻撃を仕掛け東芝陣内に攻め込む。6分。東芝は、ヤマハの連続攻撃の前に、たまらずオフサイドの反則を犯す。これを、FB五郎丸がゴールを決め、ヤマハが3点を先行する。ヤマハはその後も積極的にボールを展開し、たびたび東芝のラインディフェンスを破るが、東芝も粘り強いディフェンスを発揮し、ゴールを割らせない。

14分、東芝が反撃する。ヤマハの反則を起点に、ヤマハのゴール前15mのラインアウトから、FWがモールを押し込み、この試合最初のトライ。ゴールも決まり7対3とする。その後は、双方とも激しい攻防を繰り返すが、お互いに一歩も譲らず一進一退を繰り返。
24分。またもや東芝が追加点を挙げる。最初のトライと同じく、ヤマハの反則からゴール前に迫り、ラインアウトからのモールを押し込み2本目のトライ。ゴールも決まり14対3とする。さらに38分、前の2本と同じように、ヤマハの反則からヤマハゴール前10メートルのラインアウトから、ラックを連取、この日3本目のトライ。ゴールも決まり、21対3で前半を終える。ヤマハはたびたびラインブレイクをするが、東芝の執拗なディフェンスの前にトライすることができない。東芝は、ディフェンスでよく前に出てヤマハの攻撃を寸断していた。

後半、開始早々、ヤマハが反撃する。東芝が蹴りだしたボールをクイックスローイン。五郎丸が約40mを走りきり最初のトライ。東芝が、一瞬集中力を切らしたすきのトライであった。21対8とする。しかし、前半はほぼ互角であった、タックルやラックでのブレイクダウンなど接点の攻防で、徐々に東芝がヤマハを上回り、東芝が攻撃している時間帯が多くなってくる。東芝は積極的にボールを展開しヤマハを圧倒し、16分、20分、25分と10分間に3トライ。さらに、33分、39分にもトライを挙げ、後半に5本トライを奪う。ヤマハも、28分にCTBマレ・サウが一矢を報いるが、反撃もそこまでであった。56対15で試合終了となる。

東芝は前節、パナソニックに敗れたことを糧に、ヤマハに対して激しい闘志で臨み、ブレイクダウン、タックルなど接点で、絶えずプレッシャーをかけ続けていた。アタックでも、ディフェンスでもよく前に出ていた。ヤマハもよく健闘したが、東芝がブレイクダウン、接点で上回り、一歩及ばなかった。
東芝の高い集中力、チームとしての一体感、力強さを感じた試合であった。

会見リポート
 

ヤマハ発動機ジュビロの清宮監督(右)と太田尾ゲームキャプテン
ヤマハ発動機ジュビロの清宮監督(右)と太田尾ゲームキャプテン

◎ヤマハ発動機ジュビロ
○清宮克幸監督

「非常に残念な結果です。得点差どおりの内容でした。ヤマハは一年でチームが成長し、ある程度まで行けるという自信をもつことができました。ただ、今日は東芝さんにガツンとやられました。中途半端にやられるより、これくらいガツンとやられた方が良かったと、サバサバしています。東芝さんは集中して、軽いプレーがなく、素晴らしいプレーでした。この先も行けるのではないかと思います」

──上回ったところは?

「今日の入りはすごく良かったのですが、最後の一線で東芝さんは崩れなかったと思います。前半はチャンスがほとんどなかったに等しいですね。ラインアウトのモールディフェンスについては、前回、やられたこともあって練習してきたので、モールでは絶対に獲られないという自信を持っていたのですが、固く信じていたエリアで簡単に獲られたのは大きな誤算でした。ラインブレイクする力はヤマハも互角だったと思います」

──この1シーズンでできたことと、足りないことは?

「まず、考える時間が欲しいですね。現有戦力でのパフォーマンスとしては、ある程度、選手も納得いくシーズンだったのではないでしょうか。ここが足りないと、ほんの少しずつのレベルアップが必要と感じることがありました。今日に関しては、バケツをひっくり返されたような試合でした。自信も付いているし、あとはどこが足りないというイメージも持っています」

○大田尾竜彦ゲームキャプテン

「日本選手権に久々の出場ができましたが、自分たちの今年一年やってきたことを何も出せなかったという感想です。ありとあらゆる面で負けていました。来年に向けて良い課題をいただきました。いろいろな面でステップアップすることを目指し、下を向くことなくやっていきたいと思います」

──前回の試合と比べて?

「あの試合からステップアップしてきましたが、この試合に限れば,前回より東芝さんが良かったと感じています。自信を持っていたエリアで完敗し、すべてが全然足りなかったと思います。1対1のタックルも低く行けばと思っていたが、ゲインされました」

東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機 東芝 56-15 ヤマハ発動機
 

東芝ブレイブルーパスの和田監督(右)と豊田キャプテン
東芝ブレイブルーパスの和田監督(右)と豊田キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督

「本日も寒い中、多くの方に試合をご覧いただき感謝申し上げます。先週のセミファイナルの敗戦を受けて、春からやってきたブレイクダウンにフォーカスして中5日で準備してきました。前回、ブレイクダウンの接点で負けてしまった原因は、接点で見ているプレーヤーがいたからです。原点に返り、ブレイクダウンを前に動かすことにフォーカスしてきました。グラウンドが滑る中、選手は愚直に良く前へ出てくれました」

──リーチ選手のメンバー落ちは?

「単純に、マイケルのパフォーマンスが悪かったからです。運動量、ボールキャリアー、タックラーとしての質が悪かったですね。今回、中居選手を使えて、ニール・ブリュー選手を出すことができました。今週1週間と、この試合の前半も外から見て勉強になったと思います。試合ではディフェンスのワークレートを出してくれたが、まだまだです」

──(次に対戦する)帝京大学の印象は?

「強力FWで、大学レベルでは一歩抜きんでていると感じます。今までやってきたとおり、FWで全面的に圧倒したいと思います。ドライビングモール頼みになって、グラウンドを大きく使った縦に行くラグビーをしきれなかったのは、自分たちに原因がありました。昨日のミーティングでは、自分たちが今シーズン3敗した要因は他人任せになっていたことだと気付きました。ここを修正して、帝京大学戦に臨みたいと思います」

──先週の敗戦は?

「カンフル剤でなく、忘れてはいけない、財産になる敗戦でした。今週はブレイクダウンの練習では追い込まない予定でしたが、Bチームの激しさで、自然に激しい練習になりました。木曜日はAチームが圧倒しました。パナソニック戦が良い教訓になりました」

──採用した選手との対戦だが?

「大学3連覇を率いた森田君が対戦相手ということで、私たちもモチベーションが上がります。大学を制した帝京大学さんに、ベストメンバーをぶつけて、どう感じたか聞いてみたいと思います。大学相手とかはトーナメントでは関係ありません。ベストメンバーで臨むだけです」

──松田選手には休養させたのか?

「途中で、松田さんにインカムで聞いたところ、『(途中出場は)どっちでも良い』とのことでしたので(笑)。怪我は万全です」

──ヤマハについては?

「一番のヤマハさんの強みはスクラムです。今日もプレッシャーを掛けられた部分がありました。こだわっているメッセージを感じました。キックやクイックリスタートからのトライとか、こちらがやりたいことをやられました」

○豊田真人キャプテン

「この悪天候の中、多くのラグビーファンの皆様が来てくださったことに感謝申し上げます。パナソニックさんに負けてから、もう一度ブレイクダウンにこだわって、メンバー外の選手たちがファイトしてくれました。今週、最初の練習では受けていたAチームが、これでは応援できないとメンバー外の選手に言われ、Aチームも2回目の練習でしっかり身体を当てることができて、最高の準備で臨めました。ブレイクダウンは、まだできると思いますので、修正して次の試合に向けて頑張っていきたいと思います」

──次は大学生だが?

「日本選手権に入って、今週負けたら終わりです。試合後に円陣を組んでも、みんな、もう1週間ラグビーができるという素直な喜びを表していました。相手が大学生とかは関係なく、このチームでもう一度ラグビーができる喜びを楽しんで、しっかりした準備をしたいと思います」