帝京大学 74-3 タマリバクラブ 【1回戦/2011年2月6日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】 日本選手権1回戦。大学王者 帝京大学とクラブ王者タマリバクラブの闘いは、帝京大学の圧勝に終わった。 前半4分 タマリバがペナルティを得て帝京陣10m付近からPGを狙うが届かず、先制の機会を逸すると、帝京大学はタマリバ陣内へ攻め込む。タマリバボールのラインアウトからこぼれたボールを大きく右に展開。CTB南橋-FB竹田とつなぎ、最後にWTB伊藤が右隅にトライ。(G失敗 5-0) 10分 帝京ボールラインアウトから、左ラインにFLツイがラインブレイク。タックルを弾き飛ばした上でCTB黒川にパス、40m走りきってトライ。(G成功 12-0) 18分 帝京大学はタマリバボールのラインアウトをターンオーバー、厳しい縦攻撃をタマリバもタックルで防ぐが、最後にNO8柴田がトライ。(G成功 19-0) 34分 連続攻撃で帝京のペナルティを誘ったタマリバはFB遠藤がPGを決め、19-3と追いすがる姿勢を見せる。 前半までは帝京の出方を研究してきたタマリバの防御に、有効な攻撃を重ねられず3本のトライに終わったが、後半に入ると帝京大学はゲームプランを修正。比較的ポイントに近いエリアでの縦突破からのオフロードパスを多用し、タマリバ防御ラインを粉砕にかかる。 後半2分にタマリバゴール前でモールを押し込み、NO8柴田が押さえこんでトライ。 6分、タマリバボールのスクラムを帝京がターンオーバーし、すかさず右に展開。SO森田が切れ込んでトライを挙げると、その後はスクラムを圧倒的に支配。 FLツイを中心とした強力なFW陣によってできたラインの切れ目にSO森田がコントロールするBK陣が走り込み、後半で合計9本のトライを重ね、74-3と大勝をおさめた。 実力差を乗り越えるべく、ゲームプランを練ってきて、前半は真っ向に組み合ったタマリバ。それをハーフタイムで完全に修正し、自分達の強いポイントで勝負を進めた帝京大学。 両者の闘いは点差こそ大きく開いたものの、後半40分のホーンが鳴ってからも安易に蹴りださず、攻め続けた帝京大学、その攻撃を5分間連続で防御し続けたタマリバの作りだした充実した試合には、ゲーム後に観客より大きな拍手が贈られていた。 帝京大学は13日に東芝ブレイブルーパスと2回戦を闘うこととなる。 タマリバの富野ヘッドコーチ(右)と飛野主将 タマリバクラブ ○富野永和ヘッドコーチ 「試合成立の条件であるセットプレーの安定ができず、ゲームプランに影響がありました。通常よりもより積極的に仕掛けてこられたので防御はできましたが、後半、タマリバの防御をうまくずらす帝京大学の攻撃に翻弄された部分があります。タックルで刺さって相手のミスを誘う、ということができませんでした。試合を通してフィットネスが切れることはなかったと思います」 ○飛野達主将 「前評判で帝京大学が100点差をつける、と言われてましたがそうはさせないつもりでした。通用した部分もありましたが、セットプレーが崩れて思うように攻撃できませんでした。 但し、最後の5分間、全員の防御ができたことは誇りに思います。点差は開きましたが、今シーズンで一番いい試合ができたと思います」 ──今季で一番満足できた部分は? ○飛野主将 「一人ひとりが責任をもってタックルにいけました。何度でもタックルにいけました」 ──セットプレー成立のために、どのような対策・練習を? ○富野ヘッドコーチ 「スクラムの組み方、帝京の強い押しをうまく吸収できるように考えてました。 また、ボールの入れ方を工夫して合わせていました」 ──クラブチームが日本選手権に出ることの意義は? ○富野ヘッドコーチ 「プランニングはあくまでも『勝利』でした。勝利を狙うことが、試合を成立させるための条件です。埋もれてしまった人材、大学で止めた人材がまだまだいます。その人たちがクラブが大学王者と真っ向勝負で闘う姿を見て、また挑戦を続けてくれるはず。そのためにも勝利したかったです。ラグビーの熱を取り戻すためにも、ひるむことのない姿勢を示さねばならないと思っています」 ──フィットネスは現実的に見て競り負けてなかったですか? ○富野ヘッドコーチ 「一番しんどい時に足を止めない、という部分で帝京さんに負けてなかったと思います」 ──このレベルと一発でやると危険では? ○富野ヘッドコーチ 「全体としてチーム力の差では負けるかもしれませんが、個々人の当たりの強さは同じクラブカテゴリーの北海道バーバリアンズの外国人選手も強かったですので、危険とは思いません」 ──フィットネス、今年新しく取り組んだものは? ○飛野主将 「とにかく毎回、足が動かなくなるまで走りました。信頼できるフィットネストレーナーの指導に感謝しています」 帝京大学の岩出監督(右)と吉田キャプテン 帝京大学 ○岩出雅之監督 「前半もたつきましたが、後半は集中して攻撃できました。次のゲームが一番大事だと考えているので、ここからの学生の頑張りを期待してます。 今日の試合は無理して外に放り過ぎたのをタマリバはよく対応されていました。 パスカットを狙っている選手もいたので、後半は内を中心に攻めるよう指示したことが成功しましたが、練習量の豊富でないなか、非常に努力される姿勢には敬意を表したいと思います」 ○吉田光治郎主将 「前半、タマリバの上手いディフェンスに止められた点があり、攻撃を充分に展開させられませんでしたが、後半で変化対応できました。その対応力を東芝戦に向けて高めていきたいと思います」 ──社会人と闘うモチベーション、準備は? ○岩出監督 「試験もあり、今回の試合は練習も充分にできず、集まれれば集まる、というセッティングになりました。中途半端に激しくすると無駄な怪我もしますので、フィットネス回復に努めました。次の試合は準備整えます」 ○吉田主将 「率直に楽しみです。自分も来年トップリーグ入りしますので、自分達の力がどれくらい通用するのか? ということを確認するのが楽しみです」 ──次の対社会人との試合への取り組みはできたか? 今日の試合で収穫はあったか? ○吉田主将 「タックルです。ひたむきにタックル行けていたと思います。久しぶりの試合だったので、100%のタックルはできなかったですが。通過点というより、目の前の敵には100%を出していき、学生チャンピオンとして誇りを持って闘う、という気持ちでした」