マッチリポート
トーナメント表


東芝ブレイブルーパス 21-10 NECグリーンロケッツ

【1回戦/2011年2月6日(日) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC
C:2011, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)
梅の花も咲き始め、2月にしては暖かな日差しに恵まれた近鉄花園ラグビー場での第48回日本選手権1回戦。プレーオフトーナメントセミファイナルで敗れはしたものの、レギュラーシーズンは1位通過、日本選手権制覇を目指す東芝ブレイブルーパスと、レギュラーシーズン6位、ワイルドカードを勝ち上がり、ピーキングを日本選手権に持ってきているNECグリーンロケッツのトップリーグチーム同士の対戦。

NECのキックオフで開始されたゲームは、序盤は東芝がNEC陣内深く攻め込み、トライを伺うチャンスが何度かあったが、NECのディフェンスを破ることができず、次いでNECがBK展開でWTBロコツイのライン際のゲインや、ミスにつけ込んで東芝陣内に深く攻め込むが、双方得点に至らず。

前半こう着状態のまま進むかと思われたゲーム展開の中、先取点をあげたのは東芝。27分、ゴール前5m左ラインアウトからモールを押し込むレギュラーシーズン同様のパワープレーでHO湯原がトライ、SOヒルのゴールも決まり7-0と試合が動き始める。しかしNECはこれ以降東芝に連続して得点を挙げることを許さず、逆に34分にゴール前5m右ラインアウトからモール、ラックの後、左展開しCTBツイタヴァキがディフェンスを振り切って中央にトライ。SOロビンスがゴールを決め7-7の同点で前半を終える。互いにワンチャンスを活かし得点を挙げるが、NECが優位にゲームを進めており、実力上位の東芝を相手に後半もこの流れを活かせるか楽しみな展開となった。

後半、先に得点チャンスを得たのはNEC。6分のPGチャンスは逃したものの、13分には22mポスト左からのPGをSH藤戸が確実に決め、7-10とこの試合はじめてのリードを奪う。しかしこの後試合を動かしたのは東芝。リザーブに控えていたキャプテン廣瀬を投入し、SOの位置から相手ディフェンスのギャップを突きゲインすると、素早く反応して連続攻撃、22m左中間付近のラックからSH三井がディフェンスの裏に抜け、FB立川が中央に回りこんでトライ。ゴールもSOヒルの出血一時交替で出場した21番吉田が決め14-10と突き放しにかかる。
仕上げは25分、ゴール直前まで攻め込んだ東芝、最後はゴール直前右中間ラックから左展開し、SOヒルのロングパスがCTBブリューに、そして左WTB宇薄にわたって左隅にトライ。難しい位置からのゴールをSOヒルが決め21-10。東芝はその後のNECの反撃を抑えて2回戦に駒を進めた。

東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC
会見リポート
 

NECの岡村ヘッドコーチ(左)と浅野ゲームキャプテン
NECの岡村ヘッドコーチ(左)と浅野ゲームキャプテン

◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「サポーターの方々が多く詰めかけてくださり、我々に力を与えてくれた。また会社や選手、スタッフが一体となり"ビッグハート"を持って今シーズンの総決算として戦えた。素晴らしいチーム力を誇る東芝にもう一歩のところだったのは残念だったが、メンバー22名が、皆身体を張ってプレーしたことは誇りに思える」

○浅野良太ゲームキャプテン
「ファンあっての我々、会社あっての我々であり、今日もわざわざ花園へ足を運んで応援いただいたことに感謝したい。ゲームについては、今シーズンここ(日本選手権1回戦)で終わるのは悔しい。チーム45名でもう戦えないのは寂しく、もっと皆でプレーしたかった。とはいえ、"ビッグハート"を体現できたとは思う。次のシーズンは今考えられないが、胸を張って帰りたい」

──ロビンスが怪我で満足なプレーができなかったことについて。
○岡村ヘッドコーチ
「皆、怪我を抱えてプレーしており、ロビンスもその一人。怪我でパフォーマンスが落ちることを覚悟の上で、起用した。結果、東芝と死力を尽くしていいゲームができ、判断は正解だった」

──競ったゲームになった要因について。
○岡村ヘッドコーチ
「競ったゲームになったというより、負けた悔しさしかない。春(の新体制スタート)から信念を持って、勝つことしかイメージせず準備してきた。ただ日本を代表する東芝と素晴らしいゲームができたことについては誇りに思う」

──トップリーグでは東芝戦は大敗したが。
○浅野ゲームキャプテン
「ブレイクダウンでの攻防で競り勝つことが今日のテーマだったが、徹底的に準備を重ねることで、今日のパフォーマンスにつなげた」

──僅差のスコアで敗れたが、この差は?
○岡村ヘッドコーチ
「う~ん、ラグビーとは(楕円のボールのように)どう転がるかわからないゲームですしね。ラスト20分で東芝に風が吹いたのでしょう」

※会見の終わりに、岡村HCと浅野ゲームキャプテンが立ち上がり、記者団に対し謝辞を述べるシーンがあり、記者団からも労いの拍手が起こった。

東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC 東芝 21-10 NEC
 

東芝の瀬川監督(左)と廣瀬キャプテン
東芝の瀬川監督(左)と廣瀬キャプテン

◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「今日は多くのファンにお越しいただき、嬉しく思う。さすが、トーナメントに強いNECらしく、"しんどい"時間帯が多かった。プレーは最後まで勢いに乗れなかったが…。とはいえ、今後1戦1戦東芝らしさを取り戻していければと思う」

○廣瀬俊朗キャプテン
「今日のスタンドは観客が多く、ワクワクする雰囲気だった。FWプレーヤーに若手が多い分、いい経験を積んだ、次につながるゲームだったと思う。勝って反省し、次週に向け良い準備をしたい」

──トーナメントに入り、PGチャンスをどう判断する?
○瀬川監督
「今日は仙波、ヒル、ベイツの3人で打ち合わせ、ペナルティーからは、ドライビングモールで速く仕掛けることを確認していた。ゲーム展開によっては、ショットを選択することもあろうが、ゲーム序盤はこれまでの流れを重視した」

──ゲームの入りでトライを獲り切れなかったことについて。
○瀬川監督
「ゲームの入りは悪くなかったが、接点でパスするか、モールで持って行くか迷いが生じた。今後の修正点が明らかになったことは収穫。勝ちたいという気持ちがトヨタを上回った。更なるアップセットを目指し、次のゲームへの準備をしていく」

──後半リードされたが。
○瀬川監督
「僅か3点差であり、NECにも疲労の色が見えたので、焦りはしていなかった。選手を信じていますしね」

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