マッチリポート
トーナメント表


早稲田大学 43-66 NTTドコモレッドハリケーンズ

【1回戦/2011年2月6日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

NTTドコモ、早稲田大学を撃破

秩父宮ラグビー場で開催された日本選手権1回戦は、大学選手権準優勝校の早稲田大学と、トップウエストA及びトップチャレンジ1を1位通過した新鋭NTTドコモとの対決。
2006年に早稲田大学がトヨタ自動車を28-24で破って以来、学生チームが社会人チームに勝利したことは無いだけに、その5年ぶりへの期待が高まる一方で、日本代表キャップ25を有し、日本のラグビーファンにも馴染みが深いマコーミック氏をヘッドコーチに据え、来季は念願のトップリーグ入りを決めているNTTドコモの戦いぶりが注目される一戦となった。
NTTドコモのキックオフ。
1分、開始早々からBKの展開を前面に攻めていた早稲田大学にオーバーザトップの反則。正面30mのPGをSOガードが成功させNTTドコモが先制。(0-3)
5分、早稲田大学は敵ゴール前ラックから右展開し、NO8有田の右端のトライで逆転に成功。(7-3)
その後、NTTドコモは9分、21分にトライするが、早稲田大学も14分、30分にトライを返し、前半30分の時点で早稲田大学が19-17でリードする展開。
しかし前半最後にNTTドコモは、33分NO8箕内、37分WTB平瀬がトライし、早稲田を突き離して前半終了。(前半19-31)

後半に入り早稲田大学はBKにボールを供給する早い揺さぶり展開で積極的な攻撃を仕掛けるものの詰め切れず、2度にわたりノックオンでチャンスを潰す。
4分、逆に後半立ち上がりに劣勢だったNTTドコモが一気に陣地を切り返し、SOガードが左端にトライ。(19-38)
7分、早稲田大学はWTB中濱がトライし追い上げを図るが、10分NTTドコモはSOガードがトライしその点数差は縮まらない。(26-45)
ところが早稲田大学は、13分LO岩井、17分22番原田、24分FB井口と展開攻撃により3連続トライし試合の帰趨は分からない状況となった。(43-45)
しかしながらNTTドコモは社会人の意地を見せる。26分、NO8箕内がゴール中央に早稲田大学の守備網を切り裂きトライすると、30分及び36分にはCTB宮里が連続トライを重ね試合を決めた。(終了43-66)

今シーズンは堅守により相手をロースコアに抑えてきた両チームの対戦としては、互いに慣れないカラーを有する対戦相手故の戸惑いからか、トライ数が早稲田大学7本、NTTドコモ9本と、意外とも思える点の取り合いの試合となった。
早稲田大学は自らの持ち味を最大限発揮しようとしたが、大学選手権決勝から1カ月のブランクも影響し、細かなミスやコミュニケーション不足により、「打倒社会人を惜しくも実現は出来なかった。日本選手権出場により得た良き経験を、来季の活躍に繋げるべく期待したい。
NTTドコモは、一時は早稲田大学に流れが移りかかったものの、最後にペースを取り戻し、日本選手権初出場にして初勝利を挙げた価値は大きい。来週の2回戦では同じ関西のトップリーグチームである神戸製鋼と対戦するが、今日の経験を糧に奮闘し更なる好ゲームを期待すると共に、来季以降のトップリーグでの活躍も楽しみにしたい。(岡本 満)

早稲田 43-66 NTTドコモ 早稲田 43-66 NTTドコモ 早稲田 43-66 NTTドコモ
会見リポート
 

早稲田大学の辻監督(右)と有田キャプテン
早稲田大学の辻監督(右)と有田キャプテン

◎早稲田大学
○辻高志監督
「今日はありがとうございました。結果はこういう形になってしまいましたが、1年間やってきたことをやろうと、最後のノーサイドまで身体を張り続けた選手を非常に誇りに思います。キャプテンとして4年生以下を良くまとめてくれた有田に感謝します」

──良いトライは?
「獲ったトライは全部素敵でした。あのリズムで回して、最後にトライで仕留めるのは、監督という立場で見ていてもワクワク楽しめました。後半、2点差に追い上げたところで、箕内さんがピックで2、3回行ったと思いますが、あそこで本物が出たと感じました。ゲームの流れを知っている人だなあと思います」

──今年を総括すると?
「そうですね。パッと思い浮かぶのは、最高の4年生ということです。素晴らしい、人間として素敵な4年生を1年間指導できて、幸せです」

──大学との試合よりも楽しんでいた印象だが?
「失うものはないので、思い切りやろうと送り出しました。早稲田らしく伸び伸びと、今年のチームは特に自由にやらせてやりたかったからです。見ていて、選手は凄く楽しんでいて、トライを獲られたら次と、トライを獲ったらナイストライと言っていて、これがラグビーの本質だと思いました」

○有田隆平キャプテン
「お疲れ様です。結果は変わらないのですが、負けてしまったことは悔しいです。しかし、結果は結果として受け止めたいと思います。1年間やってきたことを出そうと、80分間、思い切り楽しむだけだと声を掛けました。ディフェンスはちょっと良くなかったけれど、ボールを外へ展開してトライをしっかり獲れたと思います。見に来てくださった方が楽しんでくれたら、今日は成功だったと思います。ありがとうございました」

──社会人は?
「やっぱり、パワーと勝負どころの強さを凄く感じました。僕たちも1対1でやってきて、何回か良いシーンもあったと思います」

──箕内選手の印象は?
「いるだけで凄い存在感がありました。ボールを持ったら必ずゲインするし、オフロードも出せるし、ディフェンスでもブレイクダウンの絡みを見ていて、さすがだなと感じました」

早稲田 43-66 NTTドコモ 早稲田 43-66 NTTドコモ 早稲田 43-66 NTTドコモ
 

NTTドコモのマコーミック ヘッドコーチ(右)と尾方キャプテン
NTTドコモのマコーミック ヘッドコーチ(右)と尾方キャプテン

◎NTTドコモレッドハリケーンズ
○アンドリュー・マコーミック ヘッドコーチ
「(日本語で)正直、やりにくい試合でした。しんどかった。早稲田は凄く良いラグビーをして、今までなかったような展開をしてきました。凄くやりにくい。ぶつかったところで勝って冷静さを取り戻し、最後はうちのペースになったのは凄く大きかったです。今日、出ている早稲田の選手は日本のラグビーの将来を動かす選手で、凄く楽しいラグビーでした」

──やりにくいのは学生相手だからか?
「正直、作戦として、キックばかりのチームとは違ってやりにくかったです。裏のオプションのスピードがあって、SOからFBまで、全員速いでしょう。私たちのディフェンスがバックできず、大変やりにくい相手でした。また、(こちらが)連続で得点できず、プレッシャーをかけられませんでした。今日の早稲田は、結構面白かったです」

──次の試合は神戸製鋼相手だが?
「楽しみです。気持ちを入れないとやられます。いつも春、夏、試合している相手なので面白いです。多分、トヨタ自動車より神戸製鋼の方が、私たちとしては面白い試合になります。

──7トライ獲られたディフェンスは?
「早稲田のフェイズの展開が速かったです。凄くポンポン回すので、うちはポジションできずに、甘くなったと思います。最後に早稲田のテンポが遅くなって、対応できました」

○尾方宏之キャプテン
「協会の皆様、ありがとうございました。我々として初めて日本選手権に出場しましたが、予想通り、早稲田さんの機動力が素晴らしく、ペースをつかめない試合でした。最後、うちのペースになりましたが、修正するべき点を修正して、来週の試合に臨みたいと思います」

──作戦としては?
「早稲田さんのBKの展開力があるので、合わせずに行こうとしましたが、向こうのペースが落ちるまで結構時間がかかって、最後はペースを取り戻せました。敵陣でFWで攻めることと、1対1のディフェンスがテーマでしたが、前半から甘さが出て、修正したいと思います」

──FW戦は?
「ブレイクダウン、コンタクトは社会人のほうが強いですが、ブレイクダウンからブレイクダウンへの速さは統率されていて非常に速いという印象です。ちょっと合わせてしまったと思います。やりにくい相手です」