若いメンバーが中心となってから、80分間集中力を維持できるケースが少ないカーワン・ジャパン。 前半 0-40 もう少し細かく見て行くなら、前半10分以降の30分間で0-40、後半開始からの30分間なら21-0。ここまで、前後半で180度異なる様相を見せた試合もそうはないだろう。 「ちょっと、みんなビビッてたんじゃないかという気がする」とは、あるリザーブメンバーの証言だが、試合開始10分間ほどはむしろ日本が優勢に試合を進めた。 直後にも、青木、FLリーチの突破でチャンスをつかむが、ラックからボールを持ち出したSH吉田朋が相手の激しいタックルを受けてノックオンでチャンスをつぶした。11分にも敵陣22m付近でマイボール・ラインアウトのチャンスをつかむが、クリーンキャッチできず、こぼれたボールを吉田朋が何とか処理してアレジにパスを渡したものの、プレッシャーを受けたアレジがノックオン。こぼれ球を拾ったJABのFLヴィトからWTBギアにつながれて、先制トライを許してしまう。 自分たちが攻め込みながら、ミスから相手にトライを与えてしまったことで浮き足立ったのか、この後、ジャパンは完全にペースを失う。16分。センターライン付近のラインアウトから、JABのSOスレイドに次々に6人がタックルを外され、そのままインゴールを明け渡してしまう。さらに、21分にはCTBニコラスのパスをインターセプトされて失3トライ目。直後の22分にはキックオフからボールをつながれてノーホイッスルトライ。33分、36分にも、やはり自分たちのミスからトライを奪われ、とうとうスコアは0-40まで開いてしまうことになった。 前半終了間際、相手の反則から積極的に攻めて、ようやく敵陣深くまで攻め込んだ日本は、菊谷主将がタックルをうけながらもボールを持ったままJABゴールになだれ込んだが、ダウンボールできずにノートライ。そのプレーで前半が終了した。「今までで一番キツい前半だった」多くの選手がそう語ったとおり、ハーフタイムでロッカールームに引き上げる選手たちの表情は、憔悴し切っているように見えた。 立ち上がりの10分間で証明してみせたとおり、日本が組織で戦えている間は、個々の能力で上回るJABにも間違いなく対抗できていた。ところが、プレーの精度が落ち、ミスが出て、組織プレーに綻びが生じると、そこをJABの猛者たちに突かれて太刀打ちできなくなる。前半10分以降の30分間は、まさしく、そんなプレーの連続となってしまったのだ。 「ジャパンのプライドを持って戦え。0-0からのスタートだと思って、後半だけでも勝ってみろ」カーワンHCからの激しいゲキを受けたことも影響したのか、後半の日本は前半とはまるで違う顔を見せる。"ネバー・セイ・ダイ・アティチュード"試合後、地元紙メディアでそう賞賛された、信じられないようなファイトバックを披露してみせたのだ。 5分に相手ゴール前のラインアウトからモールを押し込んで初トライ。17分には敵陣深くの相手ボールのスクラムでプレッシャーをかけた後、相手キックを拾ったWTBタラントがカウンター。いったん左にワイドに振った後、ラックから今度は右展開して、アレジ-ニコラスとつないだ後、攻撃の起点となったタラントに再びボールが戻り、左隅に飛び込んだ。そして、20分にはラインアウトからのサインプレーでPR平嶋が相手DFを突破してゲインした後、ラックからの素早い球出しでCTB平が悠々相手BKを振り切って3連続トライ。ハーフタイムで40点あった点差は一気に19点にまで縮んだ。 終盤JABに2トライを加えられたものの、後半だけならスコアは21-12。結果的に、日本はハーフタイムでカーワンHCが求めた、「後半は勝て」というミニマムな目標は達成できたことになる。「後半は日本がどういうふうにプレーできるかを証明できたと思う」(SOアレジ) 「サモア戦に続いて、自分たちのミスで相手に点数を与えてしまっている。ここをしっかり反省してトンガ戦に臨む」(菊谷主将) "ノーエクスキューズ。マストウィン"
◎日本代表 ジョン・カーワン ヘッドコーチ ◎日本代表 菊谷崇キャプテン
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