サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学 サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学 サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学 サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学
マッチリポート

サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学

(2回戦/2009年2月15日 at東京・秩父宮ラグビー場)ほとんど風もなく、ラグビー日和のなか、早稲田出身の清宮監督率いるサントリーと早稲田との初の師弟対決となった。東芝が日本選手権出場辞退のため、勝ったほうが決勝進出となるが、日本選手権がトーナメント方式になってから決勝進出した大学はなく、大勢の早稲田ファンが僅かな希望を持って早稲田を後押しする雰囲気でキックオフとなった。サントリーのメンバーをみると、戦前は大学生相手に外人を外してくるのではとも思われたが、清宮監督の早稲田への礼儀かベストメンバーで臨んだ。

最近の日本選手権では、大学チームが前半は善戦、もしくは勝って折り返すこともあるのだが、今日の試合は、前半早々からサントリーの本気モード全開、早稲田のキックオフから開始1分、サントリーが展開し、WTB小野澤がトライ(ゴール成功で7対0)。サントリーは、8分には観客のブーイングを気にせずペナルティを狙う手堅い試合展開となった。その後はお互いにノックオンなどのミスが多く攻めあぐねて時間が経過。ここで点を取ったのもサントリーで、19分にスクラムから左に展開、あっさりFB永友がトライ(ゴール成功で17対0)し、22分には早稲田陣ラックのこぼれ球をSH田中が拾いトライ(ゴール成功24対0)。
その後は一進一退の試合展開であったが34分に早稲田がゴール前ピンチからサントリーのライン攻撃をインターセプトし、一気に敵陣に攻め込み、ペナルティを獲得、しっかり狙って初得点(24対3)。点を取って早稲田のプレーは一段と攻撃的になり、前半終了間際に再度ペナルティゴールで前半は24対6で終了。

後半はサントリーのキックオフで開始。5分、早稲田マーク後のフリーキックがサントリー小野澤へすっぽり、カウンター攻撃を仕掛け、WTB北条がトライ(ゴール成功31対6)。9分には、サントリーは連続攻撃から、最後はSO野村のハイパントをそのまま奪取し、PR林のトライ(ゴール成功38対6)につなげ、一方的な試合展開になるかと思われたが、ここから早稲田が頑張りをみせ、一進一退の展開に持ち込んだ。
18分早稲田陣サントリーの攻撃から、早稲田SO山中がインターセプト、タックルされながらボールをつなぎ、SH榎本がトライ(ゴール成功38対13)。25分早稲田陣からニコラスのゴロパントをWTB小野澤に拾われトライ(ゴール成功45対13)を奪われるも、30分には早稲田陣10mのサントリーの攻撃で、3度目のインターセプトで豊田がそのままトライ(ゴール成功45対20)。

ここで早稲田は力尽き、35分、ゴール前スクラムからNO8竹本のサイドアタックからそのままトライ(ゴール成功52対20)、39分、ゴール前ペナルティからクイックスタート、LO早野が強引にトライ(ゴール成功59対20)と点差をつけられ、そのままノーサイド。
終わってみれば、大味な試合であったが、お互いに積極的に攻撃し合い、見応えのある試合だったのではないか、秩父宮ラグビー場につめかけたファンの皆さんも楽しんでいただけた様子だった。

会見リポート
 

早稲田大学の中竹監督(右)と、豊田キャプテン
早稲田大学の中竹監督(右)と、豊田キャプテン

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「今日の試合は、もちろん勝つつもりで準備してきました。ディフェンスで相手を上回って、最後は僅差でゲームをモノにするという思いでした。ここが、力の差と感じる場面があって、うまく我々がディフェンスに入れないアタックをされて、取られたことのない点数を取られました。ディフェンスから組み立てようとしたが、この点数は結果どおりの力だと思います。今日は選手たちも格上だとなかなかやらせてもらえないことに気づかされたと思います。豊田のキャプテンは今日で終わりますが、下級生はいろいろと学んでほしいと思います。キャプテンをはじめ、4年生に感謝したいです。負けてよくなかった試合だが、豊田らしくやってくれました。これからも、自信を持ってやってくれると思います」

──どういう戦略で?
「まず、キックをこちらが処理できず、ぐちゃぐちゃした中で、向こうの強いFWが攻めてくるという、そうならない試合を想定していたのですが、逆に我々が後手に回りながらのアタックやターンオーバーをされて、やりたいようにやられたという感じです」

──大学が勝つためには?
「大学選手権が終わって、試験があって徹夜もあって1ヶ月以上も試合がなくて、かなりディスアドバンテージですね。徹夜しないように日々勉強しろと(笑)。それくらい大きなことです。体重差があって、プロに近いくらい優遇されてコンディションの良い社会人に合わせる余裕は大学にはないです。難しいかなと。試合巧者も圧倒的に社会人ですし、スカウティングも、映像も圧倒的にプロです。うまくゲームメイクすることでしょうか。多分、そんな余裕のあるチームはないと思います」

○豊田将万キャプテン
「もう、負けて得るものなんて無いと思っているので、負けて本当に悔しいですし、後輩たちに何も残してやれないもどかしさと悔しさしか残らない試合でした」

──ハーフタイムは?
「もう、普通に、まだやれるからと。負けを前提に試合しているわけじゃないし、うちがやれることをやろうと言いました」

──スクラムは?
「予想していたのですが、あんなにプレッシャー受けたことはありませんでした。想定していてもあおられて、こちらがミスしました」

──完敗か?
「…見たとおりです」

──通じたところは。
「やっぱり外国人選手はインパクトがあって、想定よりプレッシャーがあったと思います。ブレイクダウンは通用したので、日本人選手相手なら普通にやれるかなと思います」

サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学 サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学 サントリーサンゴリアス 59-20 早稲田大学
 

サントリーサンゴリアスの清宮監督(右)と、山下キャプテン
サントリーサンゴリアスの清宮監督(右)と、山下キャプテン

◎サントリーサンゴリアス
○清宮克幸監督
「できることならやりたくない相手でした。やると決まったので、心して準備しました。2日ほど前、自宅で1人で早稲田がトヨタに勝った試合を2度ほど見ました。なぜ、あのときの早稲田は勝てたのかといえば、あのときのチームはトヨタに接点で勝っていたんですね。そこが一番大きなところで、今日のゲームでサントリーの選手が接点で負けることは想像できなくて、逆に完全に支配できるのではないかと見ていました。想像通りの結果でしたね」

──2本もトライを獲られたが?
「今日は早稲田を圧倒して勝つというプランでしたが、会場にいらっしゃったファンの皆様や、テレビで見てくださった多くのファンの皆様、早稲田を応援してくださる皆様の前でサントリーも早稲田も『らしさ』を出した好ゲームをしたいという思いがありました。早稲田の活躍を期待するファンの皆様にはあの2トライは良かったのでは、会場も沸いて良かったのではと思います。うちの成田君は2回インターセプトされて、成長するんじゃないかと思いますし」

──ご自身が監督のときに入学した豊田くんのプレーは?
「今日の1試合で彼のラグビーを語るよりも、4年間、1年生からビッグゲームや大きな勝利を経験して、彼なりにしっかり成長したと思います。プレーヤーとしても成長しましたが、今日は良くなかったです。メンタルとプレーは直結していますが、僕好みでないプレーがありました。もっと身体をキャプテンは張らないと」

○山下大悟キャプテン
「今日はこんなに沢山の記者の皆様がいらしていますが、トップリーグのゲーム後もこうであってほしい! と思います。今日はトップリーグの力を出せたのではないでしょうか。キャプテンとして早稲田と試合できたのは嬉しかったですし、トップリーグとはちょっと違うなというのもお見せできたと思います」

──ボールが動かなかったが?
「サントリーの未熟なところです。まだまだ、これから伸びる余地があります。クボタ戦より良くなってはきていますので、2週間、しっかり修正したいと思います」

──学生ラグビーについて?
「僕らのときは関東学院がライバルとしていてくれて面白かったです。今は強いチームが出てきて、こちらも切磋琢磨で面白いと思います。早稲田とサントリーは毎年練習をやるので、率直に言うと佐々木隆道の代が一番強かったですね。隆道のときは、よく来てやられましたよ」

──今日の早稲田に足りなかったものは?
「…接点でしょうね」

──残り1試合だが?
「やってきたラグビーの精度を上げることです。まだまだ修正できます。2週間、良い練習をして備えたいです」