一つひとつのプレーの質を最大限高めて

コアチーム残留につながる上位進出を狙う

 

 

フランス時間の6月8日、パリでHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズ2017—2018 第5戦、パリ大会が行われる。

 

今季、コアチームとしてドバイ、シドニー、北九州、ランフォードのワールドシリーズ4大会を戦ってきた女子セブンズ日本代表のシーズン順位は現在11位。

今シーズン最後のパリ大会で上位進出を果たし、劇的なコアチーム残留を果たすことができるのか。

7月に控えるラグビーワールドカップ(RWC)・セブンズ2018、8月のアジア競技大会、さらには2020年の東京オリンピックに向けても重要な大会となる。

 

ワールドシリーズ今季最終戦を迎えるサクラセブンズ。一気にブレイクスルーしたい

photo by Kenji Demura

 

5月のカナダ(ランフォード)大会ではチャレンジ・トロフィー優勝(9位)を果たし、今季最多ポイントを稼ぐなど、シーズン終盤に向け調子を上げていると言っていいサクラセブンズ。

 

今季のワールドシリーズの総決算となるパリ大会では、アメリカ、フランス、スペインとプール戦を戦う。

「1大会ずつ学んできたし、レベルアップはできている。前回が順位としては一番上。それでも、一つひとつの準備の質が足りてなくて、トライを取りきれなかった面もあった。今回は選手同士でワールドシリーズレベルのコンタクトを練習からやろうと、よりフルコンタクトや、激しめのコンタクトでやる練習を増やした。

アメリカ、フランスにチャレンジして、ひとつ、ひとつ勝っていきたい」(稲田仁ヘッドコーチ)

 

2シーズンぶりのコアチーム復帰を果たした今季の目標は、当然ながらコアチーム残留だった。

そのためには、各大会で「ベスト8入りして、ブレイクスルーする」(中村知春キャプテン)ことが求められてきたが、今季ここまでの各大会での順位は12位、11位、12位、9位。

シーズン順位は現在11位で、10位のフィジーとのシーズンポイント差は13。

コアチーム残留の可能性を残すためには、パリ大会でのベスト4入りが最低条件となる。

「ワールドシリーズに残ることを最低限の目標に今シーズンは始まったが、自分たちの結果、成績だけでコントロールできないところに来ている。

ひとつ、ひとつのプレーの質を、練習も含めて、できるだけ最大限に高めて挑もうというところにフォーカスしている。ベスト3、ベスト4が最低条件だが、ひとつ、ひとつということを選手たちには言っている」(稲田HC)

 

昨年12月のドバイ大会以来となる大黒田が復帰。成長著しい若手の良さを引き出せるか

photo by Kenji Demura

 

「最初の3分間がポイントになる。セットプレーで

マイボールをキープして、継続していく」(稲田HC)

 

本番を想定した、激しいコンタクトを伴う練習に多くの時間が割かれた

photo by Kenji Demura

 

プール戦で戦うのは、アメリカ、フランス、スペイン。

アメリカ、フランスとは、前回(北九州)、前々回(ランフォード)でも同プールで戦い、スペインにはランフォードでのチャレンジ・トロフィー決勝戦で26—21で勝利を収めている。

 

まさに、手の内を知り尽くした相手と言っていいだろう。

稲田HCは以下のように、3カ国の特徴と日本の戦い方を以下のように説明する。

 

「もちろん、分析もしているが、対戦しているので、無意識のうちにアメリカ、フランス、スペインとの特徴は選手たちの頭にも入っていると思う。

アメリカは、とにかく大きくて足が速い。フィジカルで真っ正面からくる。

その中でどれだけ自分たちが攻撃を継続できるか。

フランスは賢いというか工夫してくる。ブレイクダウンでのディフェンスプレッシャーがきついが、まずはセットプレーで優位に立って、しっかりマイボール確保して、強いプレッシャーに負けずに、アタックしていく。

スペインとは厳しい試合ばかりで、いつも接戦になる。アメリカ、フランスに比べるとフィジカル面では日本に近い。粘って、最後こちらが走り勝てるか」

 

「最初の3分がポイントになる。キックオフ、セットプレーでマイボールをキープして、継続していく。

落ち着いて、チョイスとしては、自陣深ければ、タッチに蹴り出して、ラインアウトからリスタートするとか。そういう面も含めて、最初の3分間を落ち着いた試合にしていく。プレッシャーの中でも冷静に攻撃を継続していく」

 

今季、掲げてきた「トリプルアクション、プレッシングセブン、フィジカルファイト」という自分たちのベースとなる戦い方に加えて、「よりスペースにアタックしていく。全員が常にスペースを奪って、ブレイクダウンを作らずにつないでいく」という進化したスタイルにもチャレンジしながら、一つひとつのプレーの質を極限まで高めた上で、コアチーム昇格の可能性が出てくるポジションまでブレイクスルーしたい。

 

text by Kenji demura