公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下JRFU)は、2021年12月2日に、オンライントークイベント「スポーツのセーフガーディングを考える」を開催致しました。本イベントは、ラグビーを通じた社会貢献と国際貢献を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するJRFUが、多様性を持った共生社会の土台となる人権の保護について考える機会を創出することを目的に開催したものです。


 外部登壇者として、ユニセフ教育専門官(休職中)で元五輪スイマーの井本直歩子氏、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗氏、国際NGOチャイルドファンド職員、兼、スポーツにおける子どものための国際セーフガードワーキンググループメンバーであるジョン・ハリス氏をお招きしました。JRFUからはインテグリティ推進部門部門長の齋藤守弘が登壇し、普及育成委員会国際協力部門員の野口亜弥がモデレーター役を務めました。


(写真:左上からジョン・ハリス氏・井本直歩子氏・齋藤守弘/ 左下から野口亜弥・土井香苗氏)


井本直歩子氏には、ご自身の水泳選手時代のご経験からスポーツを通じた人格形成の重要性に関してお話しいただいただけでなく、教育専門官として活動されていたユニセフの取組みである「子どもの権利とスポーツの10の原則」をスポーツに関わるすべての方々に、子どもの健全な発達と成長を支えるスポーツ環境の実現を呼びかける提案としてご紹介いただきました。


土井香苗氏からは、世界の人権問題に取り組むNGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチの日本におけるスポーツの中での子どもの虐待問題に関する調査報告「数えきれないほど叩かれて」を基に日本のスポーツ界の現状をご説明いただきました。また、土井氏が政府に提言されたスポーツにおける子どもの虐待に対応する独立した行政機関としての「日本セーフスポーツ・センター」設立の重要性を、現在の日本ではスポーツをする人を守る制度に一貫性がなく、不十分なものとなっているとの観点からご説明いただきました。


ジョン・ハリス氏からは、アジアにおけるセーフガードの実践的取組みに関してお話しいただくだけでなく、セーフガードを世界で促進することを目的として組織されたスポーツにおける子どもためのインターナショナルワーキンググループが開発した、セーフガーディングを導入し発展させて行くためのツールをご紹介いただきました。


JRFUインテグリティ推進部門部門長の齋藤守弘は、2018年以降本格的に推進しているインテグリティの追求に加えて、セーフガーディングに関わる具体的な活動をJRFUとして検討していくことを明らかにしました。


 なお、トークイベント直後に実施した視聴者アンケートの結果は次の通りであり、「スポーツのセーフガーディングを考える」第一歩としての役割を今回のトークイベントは果たしたと思います。

・セーフガーディングについての理解が深まった95%

・セーフガーディングの重要性を認識した96%

・自身の活動の中で活かせるセーフガーディングのイメージを描くことができた90%

 

 さらに、その後に実施した記述式の調査では、「コーチと競技者は対等であることをあらためて認識した」「子どもとのコミュニケーションでは、何が楽しいか、何をしてほしくないかを子どもたちに問いかけ、考えさせ、伝えてもらうことも必要」「選手が練習、試合に参加した際、笑顔で終われるように今後も心がけを続けたい」などの意見が寄せられました。 


 JRFUは、今回のオンライントークイベントを一つのステップとして、今後もラグビーの現場を安全で安心な場とする取組みを続けてまいります。

 

以上