2月18日(月)、2008年度日本代表スコッドが発表されました。記者会見の内容をダイジェストでお伝えします。2008年度 日本代表スコッド(フォワード)はこちら、2008年度 日本代表スコッド(バックス)はこちらです。

日本代表は4月26日(土)のアジア5カ国対抗「韓国代表 vs 日本代表」を皮切りに、7月上旬までテストマッチ等を戦います。スケジュールはこちらです。

  ジョン・カーワン ヘッドコーチ(左)と、太田GM
 
ジョン・カーワン ヘッドコーチ(左)と、太田GM

◎太田 治ジェネラルマネージャー
「昨年はワールドカップを一丸となって戦い、残念ながら勝利こそなかったものの、世界に強く日本の存在をアピールできたと思います。フランス、ウエールズで声援をいただいたサポーターの皆さまに深く感謝申し上げます。
ワールドカップの成果をつないでいく非常に重要な年である2008年、我々は、ベテラン、若手を交え、日本代表スコッドに52名の選手を選考しました。これからの日本が目指すものを体現してくれるメンバーだと考えています。
また、中長期的な視点に立ち、ATQ強化指定選手を10名選出しました。ユースから日本代表へのスムーズな移行を実現したいと思っております。
代表スコッドはこのあと、フィットネス&メディカルチェック、4月はじめにタイト5合宿を行い、その後に52名から30名に絞り込んだメンバーを発表したいと考えています。引き続き、日本代表への温かいご支援をよろしくお願いいたします」

◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「我々日本代表にとっては、今年は、昨年同様非常に大切な年です。大きな目標は、6月の『IRBパシフィック・ネーションズカップ』。ここで勝つということです。
今年は代表の入れ替え期であり、ベテランと若手をうまく融合させながら若手を育成し、2011年のワールドカップにつなげていくことを考え選手を選考しました。
選考にあたっては、我々で各リーグの試合を全試合観戦し、個々の選手のインディビジュアル・コードをとって分析し、日本のラグビーにマッチする選手を選んでいきました。ATQの選手たちはとても大切な役割を担っています。若手の10名を育成するために、積極的に代表のキャンプに呼ぶ、またはセブンズで活躍してもらうなどして、そこから日本代表に来てもらうようにつなげていければと思っています。

★質疑応答

──スコッドを見ると、SOが6人でWTBが4人。これはなぜか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「6人という数に意味はないのですが、SOは今回、特に焦点となったポジションではあります。何があってもSOを確保する、ということを考えてこの人数になりました。FBは2名しか選んでいませんが、ここはブライスや遠藤がカバーできる。人数が少ないところは、充分な選手が揃っているところ、ということです」

──フランスに帯同していた若手が選ばれていないが。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「当然、彼らの将来性は高く評価しています。しかし、日本代表に来る前提として、それぞれのチームで試合に出ることが大切。去年見られた彼らのパフォーマンスを、今年は見ることができなかった。彼らは残念に思うかもしれないが、それをバネにして自分のチームで頑張って戻ってきてほしいと思います」

──ハーフ団はどのような基準で選んだのでしょうか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「SHは、ボールをポンポン出せる、速いゲーム展開ができること。SOに関してはディフェンスラインを引っ張れることと、アタック面ではゲームコントロールです。アレジはまだプレーできるまでに回復はしていないものの、フルコンタクトが可能にはなっています。彼の持っている資質を考えて、まだ充分に代表の資格があると考え、入れました」

──ワールドカップ以来のケガに苦しんでいる選手もいるが。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「アジア5か国対抗まで若手を織り交ぜながらチームを編成し、ケガをしている選手は治療に専念してもらいながら、6月のパシフィック・ネーションズカップにベストのメンバーで挑みたいと考えています」

──ここから30名を選び、もしそのなかからケガ人が出たら残りの22名から補充するということか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「ポジションによってはそうですし、例えばもし仮にFBの二人ともケガをしたら新たに呼ぶことになると思います」

──4月に52名を30名に絞る基準は。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「入れ替えのシーズンであると同時に、勝たなくてはならないシーズンです。アジア5か国対抗で勝つ。パシフィックネーションで3試合勝つ。これを基準に選んでいきたいと考えています。今年のトップリーグはいままでのトップリーグよりも格段にいい試合をしていた。またワールドカップも前々回、前回ともに日本は良い試合をするようになっている。引き続き、日本の強さを発信できるようなチームにしたいと思っています」

──アレジ選手は他国でプレーすることになっても代表になれるのか。
◎太田 治ジェネラルマネージャー
「IRBの規定で、アレジ選手は日本代表にしかなれない。その意味で、他国のクラブでプレーしたとしても、日本代表に加わることに問題はないと理解しています」

──今回選ばれた安江、ホラニ・龍コリニアシ、ATQの長澤の評価について教えてください。

◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「安江は、大変にグラウンドのなかでエネルギッシュに活躍している。彼のそういったフィールドプレイをみてみたいと思います。フッカーだけでなく別のポジションもカバーできる。
ホラニは特にアタックに関して素晴らしい選手です。先日のマイクロソフトカップでも、最後のトライの核になっていました。彼が日本代表を選んだことに感銘を受けています。日本代表で、次の新たなレベルまでパフォーマンスを延ばしてくれることを期待しています。
長澤は元バスケットボールの選手だったということですが、まず非常に興味があり、見てみたい」

──パシフィック・ネーションズカップでの3勝というのは、どこに対して3勝を目指すのか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「それは今は言えません(笑)。全部のどこかから3勝ということにしておいてください」

──クラシック・オールブラックス戦にはどんな選手が来るか情報はあるか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「名前まではまだわかりませんが、かなり良い選手が来るようです」

──大畑選手に関して何か情報を持っているか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「現在の情報はありませんが、彼とはシーズン中に話しました。戻ってこれる状態になったら、ぜひ代表に呼びたいと思っています」

──ATQの選手はどう代表に関わってくるのか。
◎太田 治ジェネラルマネージャー
「タイト5合宿には参加します。それ以外でも、時と場合により、海外派遣などで連動することもあると思います」

──新ルールへの対応策は。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「個人的な意見では、新ルールは日本に向いている。世界に対して日本が闘ううえで、日本に有利だと思います。ただもし新ルールになるとすると来シーズンのアジアンカップからとなるので、いま何をする、ということはありません」

──52人から30人を選んで、けが人などが出た場合は残りの22人が優先されて選ばれるということか。それともATQが優先されるのか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「時と場合によります。その時の各選手の状態などを総合的に判断して決めます。一例ですが、アジア5か国対抗ならATQから、パシフィック・ネーションズならば、今回の代表スコッドから、または他の経験のある選手を他に呼ぶ、ということになる、といった可能性もあります」

──アジア5か国対抗は選んだすべての選手を使うという方針か。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「すべてというのは難しいかもしれないが、当然、選んだ選手の多くにプレーしてもらいたい」

──廣瀬選手をどう評価しているか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「廣瀬はとてもいいシーズンを送ったと思います。彼がもうひとつ上のレベルでどのような活躍ができるのか、興味があります」

──キャプテンは決めているか。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「まだ決めていませんが、勝つために、ワールドカップの箕内のような選手を選んでいきたいと思います。箕内とは当然、話をすると思いますが、彼もまたこれからテストを受けて選ばれる立場です。選手が選ばれた段階で、そこから決めていくことになります」

──フロントローに関して課題は。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「スクラムだけでなく、すべての面で動ける、強い選手であるかどうかを見ていきたい。スクラムキャンプでそうした点を見ながら、日本にあるべきスクラムを考えていきたい。同様に、フロントローのつながりでLOもあわせて見ていきたいと思います」

──「ジャパニーズスタイル」を、今年はどのように追求するのか。何かキーワードは。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「ワールドカップで目指した『ジャパニーズスタイル』のアタックができた時間は10分から15分にとどまりました。守備面でプレッシャーを強くして穴を見つけそこを突いてトライを取る、ということは変わりないと思います。ただプランよりも、何としても勝つことが大切なのはいうまでもありません。昨年、日本は多くの国から尊敬を受けた。今年はその評価を落とすことがあってはならないと思います」

──スコッドに大学生が入っていないが。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「正直なところ、大学の試合は前のシーズンのようなレベルには達していなかった。トップリーグは上がった。その結果がこの選考に現われています」

──アジア5か国対抗で対戦するカザフスタンについて何か情報は。
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「正直なところ、あまり情報は入手できません。ただ大きく、フィジカルに強いチームであることは間違いないでしょう」

──セブンズの代表は今回のATQの選手が中心となるのか。
◎太田 治ジェネラルマネージャー
「セブンズに関しては、基本的に今回のATQとはまた別に選びます」
◎ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「日本のラグビーは、セブンズに向いています。セブンズにも、力を入れていかなければならないと考えています」