先週と異なり南風が吹く春めいた陽気の下、麻生レフリーの笛は鳴った。慶應はキックオフをトリックプレーで逆に蹴り、その攻撃でPKを得て、ゴールを狙うも外す。12分、近鉄は5mスクラムからNO8統悦がトライ、SO重光ゴール成功。近鉄7-0慶應。ここまで慶應はセットプレーを極力少なくする作戦にみえたが、セットプレーで失点する。16分慶應は左右にBKで振り、CTB浜本将人がトライ。FB小田のゴール成功し同点に追いつく。この時、浜本がボールをグラウンディングする際、ノックオンか微妙だったが、トライが与えられた。しかし、もう少し慎重さが欲しかった。30分近鉄はラックからラインブレイク、LOフェヌキタウが縦突進し、FB坂本へつなぎポスト直下へトライ。ゴール成功。近鉄14-7慶應。34分慶應はPKから速攻、SH皆良田トライ。ゴール成功。再び同点。近鉄14-14慶應で終了。後半への期待を持たせる慶應の健闘。対して近鉄は、動きに精彩を欠いている。 後半は、近鉄のキックオフで試合再開。3分近鉄は、BKがつなぎCTB山崎がトライ。ゴール成功。近鉄21-14慶應。6分近鉄はターンオーバーから右へ回しSH北村トライ。近鉄26-14慶應。ルーキー北村は近鉄特急をダイナミックに動かしている。その後、近鉄は11分重光、27分バツベイがトライ。38-14と大きくリードする。ロスタイムに近鉄はCTBマイレーがトライ。ゴール成功。近鉄45-14慶應で試合終了。慶應は後半無得点ながら良く頑張った。近鉄はやりたいことが見えてこなかった試合内容だった。 近鉄ライナーズ 45-14 慶應義塾大学(2月23日、1回戦 at秩父宮ラグビー場) 慶應義塾大学の林監督(右)と、千葉和哉ゲームキャプテン ◎慶應義塾大学 ○林雅人監督 「今日は大きくて重い相手に、軽くて小さい選手がどう戦うか、速いテンポのゲームにすることをテーマに、ペースを上げて低くタックルでいくプランで臨みました。前半、慶應の入りも極めてよく、同点で風下をしのげたのは最高の出来でした。しかし、後半入りの10分で風上を利用する意思統一ができず、3本トライを獲られたところで試合が決まったと思います。私の指導力不足です。選手はよくやってくれたと思います。チャレンジして果敢にボールを回してくれました。素晴らしい選手たちと一緒にやれてよかったと思います」 ──敗因は。 「タッチキックを蹴らないことが、今日の絶対的なテーマでしたが、後半、小田がタッチを蹴ってしまい、ラインアウトから獲られてしまいました。風上なので(長いノータッチ)キックを使うところをランで行ってしまった。もう少しキックを蹴って近鉄のFWを後ろへ走らせるという状況をつくるべきでした。チームに落とし込みきれなかった自分の責任です」 ──80分を考えるともう少し近鉄を走らせたかった? 「前半は風下で同点、あれ以上の出来はなかったと思います。選手たちも行けるチャンスと思っていましたし、後半は風も利用できて予定通りと思っていました。ただ、大学決勝が終わってテスト休みが3週間あり、2週間しか練習できませんでした。その中で選手はよくやってくれたと思います。もう少し、3週間の中でフィットなどできれば、選手たちも楽に戦えたかと思います」 ○千葉和哉ゲームキャプテン 「小さい自分たちがどう大きい相手に戦うか、1年間、慶應の課題であった低いタックルでボールを速く動かすことを目指しました。前半はよくできたが、後半、徹底できませんでした。集大成が今日の近鉄戦と位置づけ、今日勝ってよい形で締めくくろうと思いましたが、できなくてすごく残念です。来年以降もこういうラグビーを慶應はやっていくと思います。後輩たちに託したいと思います」 ──ハーフタイムでは? 「ハーフタイムにもすごい、行けるなという雰囲気で、このままの調子で行こうと言いました。前半、近鉄さんのブレイクダウンもそんなに激しくなくて、簡単に球を出せたので、かえって欲が出て風上なのに後半もボールを回してしまったのだと思います。プレーしている身としては、後半、近鉄のブレイクダウンも良くなったと感じました」 近鉄ライナーズの中谷監督(右)と、大隈キャプテン ◎近鉄ライナーズ ○中谷誠監督 「本日はどうもありがとうございます。慶應義塾大学の魂を感じさせてもらいました。慶應のスピード、タックル、前半は精度の高さに苦しめられましたが、後半はこちらも精度を上げて、勝ててよかったと思います」 ──バツベイ選手の出来は? 「ごらんの通りだと思います」 ──トンプソン選手は? 「怪我をしていまして、検査の段階です。来週は出られないでしょう」 ──来週の抱負は? 「相手はトップ4ですので、不安なところはあるが、プランは関係なく、自分たちのこれまでやってきたことをトップのチームにぶつけていくだけです。我々はチャレンジャーとしてではなくて、楽しみにして見ていたいと思います」 ○大隈隆明キャプテン 「本日はありがとうございます。今日は慶應義塾大学の選手たちの熱い気持ちに負けないようにと臨んだのですが、慶應の魂のタックルにやられました。次の試合は慶應のように熱い気持ちでチャレンジャーとしてやって行きたいと思います。慶應は社会人チームよりずっと低いタックルで、1人だけじゃなく2人、3人とラックエリアに入って来て、気持ちが入っていました。下に来るだろうと想像していましたが、想像以上の低さで、僕らも受けてしまいました。前半は倒されて遅いプレーになって、そこを相手に突かれていたので、後半は速いテンポの球出しを意識して、ボールが動き出したと思います」 ──相手ゴール前で話し合っていたのは? 「8人でスクラムトライを狙おうとしました」