雨が何時落ちてきてもおかしくないようなどんよりとした曇り空、この季節の花園では珍しい弱風の中、東軍のキックオフで試合が始まった。前半は互いに相手の様子を見る展開、31分には、西軍が9大平のトライで19-24と逆転するも、前半終了間際の42分、東軍この日MVPに選ばれたテピタのトライ、GKもなって26-24と僅差で折り返す。 後半は、前半の競った試合と打って変わって、完全な東軍ペース。11トライの猛攻で、DFでは西軍の攻撃を全く寄せ付けず0点に押さえ、終わって見れば89-24と、今シーズンの東高西低の傾向を裏付ける結果となった。DFよりも攻撃に意識が向いたやや大味な試合になるところをATQチャレンジの位置付けが引き締めた試合内容であった。 C:2007, JRFU(Photo by A. HASEGAWA) 東軍 89-24 西軍(1月20日 at近鉄花園ラグビー場) ◎東軍 ○木村監督(東海大学) 「今日のゲームは、コンバインドチーム、またATQのセレクションの意味があったが、前半は様子見の時間が長かったことなど、一人ひとりがもっと力を出して臨んで欲しかった」 ○宮本キャプテン(東海大学) 「この大会は、ATQのセレクションとして大学の試合を見てもらう試合でもあり、各選手が自分のプレーをアピールできる良い機会、モチベーションは高かった。そのために準備をしてきた選手もいたと聞いている。しかし、前半は雑なプレーが目立ち、タックルの意識も低かった。後半は個人としてアピールできた者もいたが、一人ひとりはもっと力を出して欲しかった」 ◎西軍 ○中尾監督(同志社大学) 「ATQのセレクションとして試合に臨みましたが、前半は探りあい、後半は個人のプレーの差が出てしまった」 ○前川キャプテン(同志社大学) 「関東の大学との力の差を感じさせない、見返そうとする試合をしたかった。前半はなんとか互角に持ち込んだが、東軍は、後半に向けて前半の反省を修正できるだけの力を持っていた。自力の差と感じている。大学選手権が早く終わってしまった選手にとっては、自分をアピールできるよいチャンスとなったと思う」 ○日本協会 ATQ部門 薫田コーチングディレクター 「第62回となる東西学生対抗試合であるが、今年は、ATQのセレクションマッチという位置付けがある。セレクションのポイントとしては、第一に体幹強化ができていること、また、スキルやプレーに現れる選手の性格や感性あるプレーといった点も重視する。三地域対抗など今後もこのようなセレクションゲームがある。そのために、選手には準備をしておいて頂きたい。また、準備ができる環境づくりも大切であると考えている。今日のゲームの選手年齢層は2015年のワールドカップの主力となると思っている」 ○MVP レポロ・テピタ選手 「MVPに選ばれたことについては、まったく予想もしていなかったことで、大変感激している。日本でラグビーができることを本当にうれしく思っており、今日もチームの仲間のサポートのおかげであると感謝している。これからは、いきなりワールドカップというようなことを意識するのではなく、一歩一歩着実に前進していきたいと考えている」 (記事:長澤孝哉、村島博)