1月11日、今シーズンの大学王者が決まる。
大学選手権決勝は、明治大学と早稲田大学の顔合わせとなった。
早明両校の決勝戦での激突は、2020年以来6年ぶり。明治は14度目、早稲田は17度目の優勝を狙うが、大学ラグビーの歴史を彩ってきた両校の対戦だけに、いやが上にも期待が高まる。
◇明治大学 対 早稲田大学
決勝に向けての鍵はなにか?準決勝で帝京大学に勝った大田尾竜彦監督は、こう話した。
「これまでの優勝チームを見ていると、対抗戦の終盤から大学選手権に入って、もっとも成長しているチームが優勝しています」
成長。これが決勝のキーワードだ。
明治は、11月16日の帝京大戦を境にチームが大きく変身し、成長を遂げている。きっかけは、11月2日の慶明戦にあった。24対22とリードして試合は最終盤を迎えたが、防戦一方となり、薄氷の勝利。しかしここから帝京大戦前の間に、明治は戦術の意思統一を図った。
11月後半から、明治はSH柴田竜成とSO伊藤龍之介のところでコンテストキックを上げ、空中戦に強いWTBを走らせることを徹底している。ふたりの上げるキックの精度が高く、帝京大戦、そして12月7日に行われた早明戦でも功を奏し、優勢に試合を運ぶことが可能になった。
また、大学選手権に入ってからも、成長へ貪欲な姿勢が感じられた。37対19で完勝した準決勝の京都産業大戦の合言葉は、「15アライブ」。15人全員が地面に倒れてもすぐに起き上がり、次のプレーの準備に移る。平翔太主将は「どれだけ生きた人間がプレーできるかを意識しました」と話し、メンバーはそれに応えた。
個々が成長を遂げているが、特に明治のFWらしさを感じるのは、FLの最上太尊。早明戦ではMVPに選ばれ、準決勝の京産大戦でも、先制のトライをあげた。最上がトライを取ると、本当に盛り上がる。いかにも明治らしい「前へ」の突進力、そして勝ち気な性格は激しいプレーからもうかがえる。決勝でもビッグプレーに絡み、試合を決定づける「ゲームチェンジャー」としての働きが期待される。
(明治大の平主将は攻守に体を張ってチームをリードする)
(スクラムに対してプライドを持つ明治。意地と意地のぶつかり合いが、勝敗のカギを握る)
一方の早稲田はどうか。早明戦に敗れたことで関東大学対抗戦3位となり、大学選手権では3回戦で関東学院大、準々決勝で関西王者の天理大、準決勝では対抗戦で敗れている帝京大と対戦しなければならなかった。
天理に帝京。このふたつの大きな山を超えられるのか?それが早稲田のテーマとなったが、天理大戦では日本代表FB、矢崎由高のトライへとつながる圧倒的なランと、粘り強いディフェンスで、ひとつ目の山を越えた。そして準決勝の宿敵・帝京大との試合ではスクラムで圧倒。相手の反則を誘い、エリア、そして精神的にも優勢に試合を進め、31対21で勝利した。
個々の選手に目を移すと、早稲田にとって矢崎の存在は大きい。カウンターからの仕掛けで、ひとりでトライを演出できる力がある。相手も矢崎を警戒するため、ゲームプランに影響を及ぼすほどの存在感を示している。
また、チームとしてはセットプレーの安定と、22mラインに侵入してからの得点力において成長を見せている。天理大戦、帝京大戦と、スクラム戦で有利に立つことで相手にプレッシャーを与えられているのは大きい。しかし、決勝の相手は歴史的にスクラムに対してプライドを持つ明治。意地と意地のぶつかり合いが、勝敗のカギを握るだろう。
また、敵陣22mの中に入ってからの得点力の向上を大田尾監督は課題としてきたが、準決勝を終えてチームは着実に成長を見せていると話す。
「年間を通して取り組んできた22mに入ってからのスコア率は、今日は(SO服部亮太の)ドロップゴールを含め、上がってきました。練習で積み上げてきたことが、ようやく表現出来ているかなと思います」
このように見てくると、明治、早稲田両校ともに課題となるエリアで、着実に成長を見せていることになる。つまり、両校ともに大学選手権に入ってから、今季の王者にふさわしい戦い方を見せているわけだ。
(飛距離と正確性を誇るロングキックと切れ味鋭いランで早稲田のアタックをリードする服部)
(U23日本代表にも選出されていた福島など、矢崎以外にも豊富なタレントを揃える早稲田)
では、決勝での勝負の分かれ目となるのは、どこになるのか。ひとつには、ハーフ団のゲームコントロールが挙げられる。
明治の柴田・伊藤、早稲田のSH糸瀬真周、SO服部がどのようなゲームプランを遂行するのか。現代ラグビーで重要性を増しているコンテストキックの精度、そしてエリアマネージメントも重要な意味を持つ。これまでの戦い方を見る限りでは、空中のボール争奪戦では明治が有利だ。一方、早稲田はロングキッカーの服部を擁し、大学選手権でも「50―22」を成功させるなど、エリア獲得では有利と見る。さて、両校がキックを使った争いで、どんなプラン、そして遂行力を見せるだろうか。また、伊藤、服部ともにボールを持ってのランにも魅力があり(伊藤は独創的なステップ、服部は相手防御を切り裂くスピード)、ふたりが得点機を演出しそうだ。
6年ぶりの早稲田と明治の対決とあって、ファンだけでなく、両校の関係者も胸に期するところがある。
明治の神鳥裕之監督は、「早稲田と2度対戦できて、学生たちは幸せだと思います」と話し、キャプテンの平は「早稲田さんは早明戦のリベンジという形で勢いに乗ってくると思います。自分たちのプランを全員で見直して、遂行したいです」と話した。
早稲田側としては、シーズンに2度、明治に負けることは許されない。
早稲田と明治、ライバルの激突は1月11日、MUFGスタジアム(国立競技場)で午後2時10分にキックオフとなる。前後半合わせて80分間で、さらに成長したチームが優勝を手にするに違いない。
新春のスタジアムに足を運び、歴史の目撃者となろう。
(文:生島淳)

■決勝 前売りチケット絶賛販売中!
>>> https://www.rugby-japan.jp/news/53603
■第62回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 大会概要
>>> https://www.rugby-japan.jp/news/53574
■全国大学ラグビー選手権【公式】アカウント