女子15人制の国内最高峰の大会「第12回全国女子ラグビーフットボール選手権大会」が1月17日からいよいよ始まる。昨季は東京山九フェニックスによる大会史上初の3連覇で幕を閉じた。しかし、その絶対王者がまさかの出場を逃した今大会は大混戦が予想される。
◇第1試合 YOKOHAMA TKM 対 日本経済大学女子ラグビー部AMATERUS
準決勝第1試合では、関東大会で初優勝を飾ったYOKOHAMA TKM(以下TKM)が登場する。関西大会2位の日本経済大学女子ラグビー部AMATERUS(以下日経大)との対戦だ。
TKMは関東大会の5戦目で日本体育大学ラグビー部女子(以下日体大)に敗れるも、東京山九フェニックス(以下フェニックス)との最終戦を19-14で勝ち切り、単独チームとなってからわずか3年で関東王者の称号を掴み取った。
チームの特徴について、長谷部直子ヘッドコーチは「スペシャルな選手は少ないので組織で戦うことを大切にしている」と話す。事実、昨年のワールドカップ2025イングランド大会に出場した日本代表はSO山本実のみだ。
それでも、今季は鍛え上げたフィジカルで勝利を重ねた。準決勝でPEARLS(以下パールズ)に敗れた昨季の反省から、「みんなのマインドが変わった」(FL永岡萌主将)という。
「ウエートの量はめちゃくちゃ増えました。おかげで当たり負けしなくなりました」
自信のあるフィジカルを生かした堅いディフェンスと強力なセットプレーで優位に立ち、ラインの深いアタックで走力の高いWTB/FBヨレイン・イェンゴらバックスリーに繋げたい。
「ファーストフェーズから3フェーズの組み立てはかなり落とし込めています。そのアタックの起点となるセットプレーは重要視しているので、練習の半分以上はユニットの時間に割いています」(長谷部ヘッドコーチ)
日経大との準決勝を前に、同じ学生チームの日体大と戦えたのは大きい。長谷部ヘッドコーチは「(日体大戦では)死に物狂いで挑んできた相手に圧倒されてしまいました。それからミーティングを重ねてマインドを変えることができた」と振り返り、「学生チームは波に乗ると勢いが出る。そこで受けないようにしたい」と語った。同じ轍は踏まない。
YOKOHAMA TKMでプレーするヨレイン・イェンゴ選手はフランス代表
こちらも初の決勝進出を狙う日経大は2季ぶりに関西大会2位となり、全国大会出場を決めた。パールズには6-59で完敗したが、昨季敗れた九州・ながと合同には10-7と僅差で勝ち切った。
夏のセブンズシーズンでは太陽生命ウィメンズセブンズシリーズへの昇格を逃すも、淵上宗志監督いわく「切り替えは早かったです」。代表キャップを持つPR町田美陽、CTB垂門奈々、そしてサクラセブンズのFB長谷部彩音の3年生3人を中心に、チームを牽引してきた。「4年生4人しかいない若いチームです。その分、成長も速い」
強みは「相当にこだわってきた」というセットプレーだ。元コカ・コーラの山下大輔FWコーチのもと、春から鍛錬を積んできた。HOにフィジー代表キャッパーのウナイシ・ララバラブ、右PRには町田と、ともに172センチの大型選手が揃う。
「タイトファイブはみんな170センチ前後で、平均身長は国内で一番大きいと思います。いかにFWに敵陣で仕事をさせられるか、BKのキックも大事です」
学生らしくチャレンジャーマインドを持って関東王者に挑む。
サクラフィフティーンとして昨年デビューした垂門奈々選手(日本経済大学女子ラグビー部AMATERUS)
◇第2試合 PEARLS 対 横河武蔵野Artemi-Stars
関西大会で5連覇を果たしたパールズは、5シーズンぶりの日本一を目指す。過去2年は決勝に進出しながら、いずれもフェニックスに敗れて涙を飲んだ。「今度こそという気持ちは強い」とSH山中美緒キャプテンは意気込む。
今季よりセブンズのアシスタントコーチを務めたコナー・ヒリニ氏が、15人制の指導も兼ねたヘッドコーチに昇格。各選手の判断に委ねた型にとらわれないラグビーを標榜している。
「最初は戸惑いもあったけど、だんだんとフィットできるようになりました」と山中主将。それは関西大会の戦いぶりを見ても明らかで、九州・ながと合同との第3戦は22-13と苦戦を強いられたが、日経大との最終戦では59-6と完勝した。
頻発するペナルティこそまだ課題だが、プレーの精度は高まっている。ニュージーランド代表のレジェンドで現在妊娠中のサラ・ヒリニがリーダーミーティングに加わり、アドバイスを受けているのも大きいという。
「最終戦では雨の中でもハンドリングミスが少なかったです。ノートライに抑えて、スコアもできた。自信になりました」
同大会で目を引いたのは、新加入でニュージーランド出身のインサイドCTB、コカコ・ラキだ。山中キャプテンいわく「フィジカルが強く、常に勢いを与えてくれる」という頼りになる存在。コンビを組むCTB大内田夏月の個人技も光っていた。
フィジカル自慢のFWも武器だ。同主将はアルテミとの準決勝のキーポイントに「FWのバトル」を挙げる。両チームのパックにはサクラフィフティーンの面々がズラリと並んだ。
パールズには、イングランドのレスター・タイガースで在籍しながら一時帰国しているPR北野和子やPR永田虹歩、FL細川恭子、そしてNO8齊藤聖奈がいる。土井望愛、中村沙弥の両LOの成長も著しい。
ニュージーランド出身で活躍が目を引くコカコ・ラキ選手(PEARLS)
対するアルテミにも実力者が揃った。両LOは川村雅未と櫻井綾乃のツインタワー。HOには谷口琴美がおり、さらに藤戸恭平ヘッドコーチが「別格」と表現するPRの加藤幸子もいる。
「(加藤の)パワーとスキルはずば抜けています。新戦力の辻(伶奈/NO8)も加わってFWは良い感じです。パールズのフィジカルが強いことは、セブンズでの対戦からも理解しています。そこから逃げず、圧倒したいです」
BKの戦術理解も進み、昨季の課題だったエリアマネジメントも克服しつつある。SH津久井萌とCTB片岡詩を中心にハイパントを上げ、日体大戦では多くの時間を敵陣で過ごせた。
関東大会ではTKMと5勝1敗で並ぶも、勝ち点1差で2位となった。4戦目こそTKMに敗れたが、そこでの課題を続くフェニックス戦、日体大戦に生かして勝利に繋げた。
「サポートが課題だったので、徹底的にボールをキープし続けることにフォーカスしました。フェニックスに勝てたことで、自分たちのラグビーを確信できたと思います」
日本一になった2021年度以来4季ぶりの全国大会出場で、三度目の優勝を目指す。
4年ぶりに全国女子選手権出場を決めた横河武蔵野Artemi-Starsの加藤幸子選手(中央)
準決勝の第1試合はリーグワンの横浜キヤノンイーグルス×埼玉パナソニックワイルドナイツの試合後、14時半からニッパツ三ツ沢球技場で行われ、第2試合はコベルコ神戸スティーラーズ×リコーブラックラムズ東京の試合後に14時35分から神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われる。
昨年のワールドカップ2025イングランド大会を戦い抜いた女子日本代表"サクラフィフティーン"の選手たちによる熾烈なバトルも見られるビッグチャンス。一見の価値ありだ。
(文:明石 尚之)
■ 前売りチケット販売中
準決勝① 1月17日(土)@ ニッパツ三ツ沢球技場(横浜キヤノンイーグルス対埼玉パナソニックワイルドナイツ と併催)
>>> https://www.canon-eagles.jp/tickets/detail/2025-26/20260117.html
準決勝② 1月17日(土)@ 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場(コベルコ神戸スティーラーズ対リコーブラックラムズ東京 と併催)
>>>https://ticketrugby.jp/ticket_release_info/2542764
決勝 2月1日(日)@秩父宮ラグビー場
>>>https://www.rugby-japan.jp/news/53682
■第12回第12回全国女子ラグビーフットボール選手権大会 大会概要
>>> https://www.rugby-japan.jp/news/53604

以上
