日英大学ラグビー対抗戦2007、早稲田大学 vs ケンブリッジ大学の試合が行われたこの日は、同時に、秩父宮ラグビー場周辺で、第2回青山スポーツまつりも行われた。
青山スポーツまつりは、昨年からはじまり、秩父宮ラグビー場、明治神宮野球場、国立競技場を中心に、青山の町がスポーツと深く結びついていることから地域に関係する色々な団体、機関が参加したお祭りである。ラグビー協会からは、トップ・リーグのNECグリーンロケッツ、サントリーサンゴリアス、東芝ブレイブルーパスの選手が参加したラグビー体験コーナーが競技場内のテニスコートで開かれていた。テニスコートでは、このほか、FC東京のサッカー体験教室、東京ヤクルトスワローズの野球体験コーナーも開かれ、また、競技場周辺では地元の中学、高校のブラスバンド演奏等もあり、競技場周辺は多くの参加者があり、賑やかであった。

早稲田大学は、今年が創立125周年のメモリアルイヤーであり、この試合のために、村上てつやさんをリーダーとするゴスペラーズや、ザ・ワイルドワンズの植田芳暁さん、グリークラブOB及び現役を含めた総勢125名によるスーパー応援団が結成され、試合前に、校歌などを披露してラグビー部にエールを送った。

午後5時、早稲田のキック・オフでゲームが始まる。
ケンブリッジはキックされたボールの処理をミス、これを早稲田が獲得。早稲田はすかさずバックスに回し、ハーフ、スタンド、センターとパスし、最後は11番 田中が左隅にトライ。開始、わずか22秒での鮮やかなノー・ホイッスル・トライ(五郎丸のゴール成功)である。早稲田が7点を先取する。
これで早稲田は勢いがつき、攻守にケンブリッジを圧倒する。9分にはケンブリッジゴール前でのラインアウトから、モールを押し込み2番 臼井がトライ(ゴール成功)。14対0。15分にはケンブリッジゴール前でのラックから5番 橋本がトライ。その後も17分、30分、40分とトライを重ね、前半を40対7で終了する。ケンブリッジは、大型FWを前面に出し、再三、スクラム、モールサイドを攻撃するが、早稲田の低く、前に出るディフェンス、ダブルタックルにより攻撃のリズムをつかむことができず、前半は、15番グリーンウッドのトライ(ゴール成功)のみであった。

ノーサイド


後半は、ケンブリッジが意地を見せ、前半とはうって変わりゲームの主導権を取る。前半と同様にFWがサイド攻撃を、BKは、センターを中心に縦に攻め、体格での優位さを活用した攻撃を繰り返す。12分には3番シュウィッカードが、43分には18番ランビーが連続してトライを取り、後半だけでは12対7と早稲田をリードした。早稲田は、5分に、11番 田中がこの日3本目となるトライをとり、その後も低く、鋭いタックルをするが、ケンブリッジの攻撃の前に、終始、ディフェンスを余儀なくされた。

結局、終始、早稲田のリードのまま、47対19で早稲田がケンブリッジに勝利した。
ケンブリッジは結成して1週間余りであり、まだ、チームを作り始めたばかりである。また、不用意なぺナルティーやラフプレーも多く、なかなかリズムに乗ることができなかった。これも早稲田の低く、鋭いディフェンスによるものと思われる。

今シーズンの早稲田も、昨年までと同様に、強力なチームであると印象づける試合であった

早稲田大学 47-19 ケンブリッジ大学 早稲田大学 47-19 ケンブリッジ大学 早稲田大学 47-19 ケンブリッジ大学
 

早稲田大学の中竹監督(右)、権丈主将
早稲田大学の中竹監督(右)、権丈主将

 

早稲田大学 47-19 ケンブリッジ大学

(9月16日(日)17:00 at東京・秩父宮ラグビー場)

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「前半、獲るべきところを獲って非常に良い入り方でした。後半、あれ以上にテンポを上げようと指示しましたが、反則が多く、ほとんど自陣でのラグビーとなり、最後の試合ゆえ締めようと思ったが締められない試合でした」

○権丈太郎主将
「チームの課題としてテンポを上げること、二人目の寄りを意識してプレーしました。前半、思った以上にモール、ラックの出来が良く、トライできて良かったです。ディフェンスでは向こうの勢いをダブルタックルで防ごうとしましたが、後半ゲインされ続けてトライされたのは反省点です。後半、テンポアップを試みましたが、風下でなかなか思ったようにいきませんでした。最後に、ゴール前に迫ったときにトライを獲っていれば、相手のトライはなかったと思います。うちの甘いところです。しかし、僕らは成蹊戦より確実に力をつけていると思います。この試合は関東大学対抗戦ではないが、自分たちにとって大きなものでした。この経験を生かして一戦一戦、戦っていきたいと思います」

――最後の日英対抗戦になるかもしれないが。
○中竹監督
「非常に残念です。可能性があれば、協会、スポンサーと相談していきたいと思います。ラグビーの原点である大学のチーム同士が交流するというプレーヤー、ラガーマンとして大きな意義のある試合です。学生にもこのことを伝えました。今日はかなり向こうの理不尽なファイトもありましたが、選手たちがよく(この対抗戦の意義を)理解して気持ちをコントロールしてくれたと思います」
○権丈主将
「強い相手で、自分たちの通用するところ、しないところを確認できる相手です。なくなるのは残念です」

 

右からロジャース監督、ブレイク主将
右からロジャース監督、ブレイク主将

 

◎ケンブリッジ大学
○トニー・ロジャース監督
「少なくとも、後半は勝ちましたよね(笑)。早稲田は非常に良いチームでした。特に前半のパフォーマンスが素晴らしかった」

○ロス・ブレイク主将
「前半1分で獲られたのは我々にはショッキングでした。早稲田は技術も素晴らしかった」
――早稲田の良さとは。
○ロジャース監督
「オーガナイズされているところです。技術的にもバックスのスキルが良かったし、いつものように速さもありました。勝って当然だと思います。学んだことをケンブリッジも取り入れていきたいと思います」

――このツアーで得るべきものは得たのか。
○ロジャース監督
「2週間前に会って、27人がグラウンド外でも一緒に行動を共にすることは非常に意義があります。日本のチームからも学べたし、期待通りの成果が得られました」
――何が後半良かったのか。
○ロジャース監督
「ハーフタイムにキャプテンがえらく怒っていたけれど、あれが良かった(笑)」
○ブレイク主将
「たしかに前半はあまりにもお粗末でした。ハーフタイムに、ボールを保持する時間を長くし、相手の陣地で試合を進めようと指示したのが後半の出来につながったと思います」