トップリーグ3位のヤマハ発動機ジュビロは、学生王者・関東学院大学の果敢な挑戦に前半リードを許したものの、後半貫禄を示して突き放し、2年ぶりの準決勝へと進んだ。

 

「かんとーがんばれー」。いつもの声援と強風を背に受けた関東が、前半はその実力を存分に発揮した。セットで互角のFWがブレイクダウンでも早いサポートで対抗、3列目やBKも厳しくタックルし、8分にはFB山下が参加した右ライン攻撃からCTB櫻谷が先制トライ。さらに15分、今度は左ラインでオーバーラップしたWTB中園がチャンスを作り、折り返し右サイドへボールをよく繋いで最後はFL清水が決めた。対するヤマハはようやく30分過ぎから敵陣でボールを連続支配、33分にゴール前でラインアウトモールからトライ。42分にもゴール前PKからFWで持ち込み、2点差まで詰めて前半を折り返した。
後半は風上に回ったヤマハが立ち上りから攻め込み、右オープンからWTB富岡が飛び込むと、19分、23分、28分と連続トライを決め、34-14と勝負を決めた。ヤマハはその後も3トライを追加し、関東には後半の得点を許さなかった。

関東は、トライセービングタックルを決めたSH吉田主将や、残念ながら前半で負傷退場となったFL竹山、櫻谷、高山の両CTBらが好タックルを見せ、簡単にはトライを許さなかった。またWTB中園、朝見らのスピードやスキルも充分に通用していた。一方のヤマハは、いつものボールを大きく動かすスタイルの替わりにFWで崩そうとしたものの、関東FWの抵抗に遭い前半大いに苦戦。関東の健闘が光った試合だった。(米田太郎)

ヤマハ発動機 53-14 関東学院 ヤマハ発動機 53-14 関東学院 ヤマハ発動機 53-14 関東学院
 

春口監督(右)、吉田キャプテン
春口監督(右)、吉田キャプテン

 

ヤマハ発動機ジュビロ 53-14 関東学院大学(2月11日)

◎関東学院大学
○春口廣監督

「力尽きた。残念です。もうちょっとスピードで対抗できるかと思っていましたが、逆に向こうの体力に残念ながら力尽きました。ただ、トップリーグ初挑戦ですので、良いスタートが切れたと思います。残った下級生たちが頑張ってくれると思います。1週間前から、今日のこんな気持ちになってくれれば、あるいはとも思いますが、グラウンドに来てからこんなチームとやるんだというレベルでは難しいです。もっと春から目標をここに置いていけばと思います。リーグ戦、大学選手権、日本選手権と3つの山を乗り越えるという目標を。前半あれだけやれたので、一筋の光が見えたと思います。通用するところもありましたが、後半、スタミナの部分でどう戦うか。

(14点は?)14点はできすぎでしょう。もう1つ欲しかったんですが、ペナルティをタッチに蹴って、ちょっと消極的だったのが悔やまれます。ラインアウトからモールで押し込みたかったのですが、西が獲ったボールを奪われたのが最後まで響いたのかな。体力のある大きい相手に固まられたらだめですね」

○吉田正明キャプテン
「前半から社会人に挑戦する気持ちで全力で戦いました。前半は良い試合ができて良かったのですが、後半は力の差で圧倒され、受けてしまって、ミスも多く、ポンポンと獲られるようになって残念です。もっとひたむきに行けば止められたのではないかと思います。接点で負けていました。でも、4年間やってきて、最後に良い試合ができたと思っています」

ヤマハ発動機 53-14 関東学院 ヤマハ発動機 53-14 関東学院 ヤマハ発動機 53-14 関東学院
◎ヤマハ発動機ジュビロ
○堀川隆延監督「まず、最初に、素晴らしい環境でたくさんのファンの皆様の前でプレーできたことに感謝します。前半は自分たちのラグビーができず、関東さんに先手先手で来られて、苦しかったのですが、後半は基本プレーに戻って自分たちのプレーができました。関東さんは、さすがに学生チャンピオンだけあって、あそこまでスクラムでプレッシャーをかけられるとは思いませんでした。東芝戦に向けてきっちり練習して修正したいと思います。

(東芝の強さと弱みは?)モール、ワイドに立ってボールを繋いでいくアタックは強みです。本当に1対1の勝負が一番大事だと思います。弱みはまだ分析していません。学生相手で格下とは思わず、準備してきたつもりでしたが、難しかったです。なぜ力が出せなかったか、しっかりビデオを分析します」

○大田尾ゲームキャプテン
「磐田からいらっしゃった、たくさんのファンの方に声援を受けて試合ができたことに感謝したいと思います。前半は流れでミスして、受けてしまって、ディフェンスで後ろに下がってスポット的に2トライ計上してしまいました。後半のように最初からうちらしく回して行けばよかったのですが。関東さんからはブレイクダウンの激しさ、ルーズボールへの執着心など、学ぶものが多かったと思います。今日は前半の最後に点が取れたので手ごたえを感じていましたから焦りはありませんでした。最初はボールを回したくて、風上だとどうしてもうまく回らないので、トスで風下のエリアを取ったのですが、藤井君にうまく蹴られてしまいました。関東さんは戦術的にもうまかったと思います。本当は人数をかけて押したかったのですが、ハーフを含めてFWの意思統一については課題があります。

(東芝の強み、弱みは?)コンタクトの強さ、そこでのボールの生かし方がうまいです。僕なりに感じている弱みについては‥‥言えません(笑)」