ヤマハ発動機が悲願の初・日本一に
セット、接点、ディフェンスでサントリー圧倒

 

28日、東京・秩父宮ラグビー場で第52回日本ラグビーフットボール選手権大会決勝戦が行われ、ヤマハ発動機ジュビロがサントリーサンゴリアスを15-3で下し、初優勝を果たした。

text by Kenji Demura

「第52回 日本ラグビーフットボール選手権大会」
「体を当てる接点の部分と気持ちで上回る」(FL三村勇飛丸主将)
立ち上がりから自分たちの強みを前面に出した戦いを徹底したヤマハ発動機の快勝だった。

前半7分に十分にPGを狙える敵陣のPKながら、お馴染みともなった“ヤマハスタイル”で攻めることを選択。
ラインアウトからモールを組んでFW周辺で攻めた後、「FW戦に入った時サントリーのディフェンスが寄るのがわかっていた」というSO大田尾竜彦の好判断からエースランナーのCTBマレ・サウへとつないで先制。
26分にも同じようにPGを狙わずにモールで攻めた後に大きく外に振ってWTB中園真司が2トライ目。

「常に相手を上回るスクラム、ラインアウト、モールがある」と清宮克幸監督が胸を張るFWの力強いプレーでチャンスを作り、BKで仕留める理想的な展開に持ち込んだヤマハ発動機は、13分には距離のあるPGをFB五郎丸歩が決める試合巧者ぶりも見せながら、15-3で前半を折り返した。

「セットとかコンタクトの部分でこだわりを感じた。そこでヤマハが勝った。相手の方がタフだった」
敵ながら早稲田大学時代から清宮監督の作り上げるスタイルを知り尽くしていると言っていいサントリーFL佐々木隆道が率直に完敗を認めていたとおり、後半に入ってチームの守護神と言ってもいいFB五郎丸が10分間のシンビン退場となっても全く慌てなかったヤマハ発動機は2試合連続で相手をノートライに抑える鉄壁のディフェンスも披露。
「4年間積み上げてきたものは間違いじゃなかった」(三村主将)
一時は活動縮小の方針の下、11年には入替戦も経験するどん底から這い上がってきたタフネス軍団が「一番倒したい相手」(清宮監督)だったサントリーをラグビーの根源の部分で圧倒し続けて、日本一の座に上り詰めた。

試合写真

”ヤマハスタイル”で攻守共に圧倒したヤマハ発動機が15-3でサントリーを下し、初の日本選手権制覇を果たした

photo by Kenji Demura (RJP)
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PGを狙わずに攻めるいつも通りのラグビーを見せたヤマハ発動機は前半7分にモールで押し込んだ後、CTBサウが先制トライ

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ヤマハ発動機の2トライはいずれもラインアウトからのモールが起点。FW陣の奮闘が初の日本一の原動力となった

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前半26分にはWTB中園がトライラインを越える。チャンスを確実にものにする決定力も今季ヤマハ発動機が大きく成長した部分

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ヤマハ発動機LOクリシュナンとCTB宮澤のタックルに顔をしかめるサントリーLO真壁主将。サントリーはFWが前に出られなかった

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秩父宮のバックスタンドを埋めた多くのファンと歓喜を分かち合うヤマハ発動機。日本ラグビー史を塗り替えた

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