パナソニック、ヤマハ発動機が満を持して登場
サントリー、東芝からのチャレンジを受ける
 

22日、大阪・近鉄花園ラグビー場で第52回日本ラグビーフットボール選手権大会準決勝2試合が行われる。

text by Kenji Demura

日本選手権大会
第1試合(13:10)に登場するのは、ジャパンラグビートップリーグ2014-2015 プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015ファイナル敗退のヤマハ発動機ジュビロと同セミファイナル敗退の後、日本選手権1回戦で東海大学、同2回戦で帝京大学を下し、準決勝に勝ち上がってきた東芝ブレイブルーパス。

LIXIL CUP 2015ファイナルでパナソニック ワイルドナイツに敗れて以来、3週間ぶりの実戦となるヤマハ発動機。
「ほとんどメンバーが変わらないでシーズン通して乗り切ってきている。層は薄いが、伸びしろも一番ある」と、清宮克幸監督が語るように日本選手権準決勝でもシーズンを通してほぼ不動の先発メンバーが並ぶ。

3週間試合がなかったことでゲーム勘が鈍っている可能性もあるが、その一方で他のチームとは比較にならないほど主力の稼働率が高いヤマハ発動機にとっては、コンディショニングという意味では、久々にいい状態で臨める試合とも言える。
「日本選手権でリベンジする機会をいただいたので、しっかり準備したい」(FL三村勇飛丸主将)

ヤマハ発動機とは対照的に、東芝はセミファイナル時のメンバーからCTB渡邊太生を除いてBK陣を総入れ替え。
1週間前の帝京大戦で今季初めてプレーしたSO森田佳寿主将が再び陣頭指揮を執る。
「(トップリーグで試合に)出ていなかった分、大きなエネルギーを持っている」というスキッパーが指令塔のポジションに入ることで、東芝BKのオプションが増えたのは紛れもない事実。

ただ、共にスクラム、モールなど、強力なFWプレーを前面に押し出すチームだけに、まずは前8人の働きで上回った方が試合を優位に進めることになることも間違いない。

今季のトップリーグでの対戦では、ファーストステージ第7節(19-14=10月19日、大阪・近鉄花園)、セカンドステージ第6節(29-28=1月3日、東京・秩父宮)ともにヤマハ発動機が僅差の勝利をものにしている。
「セカンドステージではヤマハさんの方が後がなかったし、メンタルの部分でイーブンではなかった。セミファイナルでの大敗から多くを学んだ。今度は言い訳できない。」(東芝・冨岡鉄平ヘッドコーチ)

東芝がリーグ戦でのヤマハ発動機へのリベンジとともに、LIXIL CUP 2015セミファイナルでパナソニックに50点を奪われて敗れた屈辱を晴らすのか。
それともコンディションを整えた不動のメンバーが揃うヤマハ発動機がトップリーグ以上の力強さを見せるのか。
いずれにしても、今季過去2戦を上回るフィジカルバトルが期待できそうだ。

試合写真

ヤマハ発動機にとってはSH矢富がNO8堀江(左から2人目)などFW陣をどうコントロールして、どう自分が仕掛けるかも覇権の鍵に

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

2回戦の帝京大戦で今季初めてプレーした東芝SO森田主将はヤマハ発動機へのリベンジを果たし、チームを決勝の舞台に導けるか

photo by RJP Kenji Demura

堀江、田中、山田抜きで戦うパナソニック
第2試合(15:05)はトップリーグ2連覇も果たした、ディフェンディングチャンピオンのパナソニックにワイルドカードトーナメントから勝ち上がってきた2年前の王者サントリーサンゴリアスが挑戦する。

ヤマハ発動機同様、LIXIL CUP 2015ファイナル以来3週間ぶりの実戦となるパナソニック。
SH田中史朗、WTB山田章仁がスーパーラグビー参戦のためにすでにチームを離れ、HO堀江翔太主将も首の治療を優先するなど、ヤマハ発動機とは対照的に主力メンバーが入れ替わることがどう影響するのか。
「練習中にいろいろなシナリオをつくって、対応力をつけている」というロビー・ディーンズ監督は、実戦の中でもあえていろいろな選手に違ったポジションでプレーさせるようなこともあり、その中で選手たちが高めてきた適応能力が試される試合となる。
HO設樂哲也、SH内田啓介はシーズンを通して試合に出てきたが、WTB酒井教全は今季2試合に出場しただけ。
いきなりの大舞台でLIXIL CUP 2015 MVPの穴を埋める活躍ができるのかもポイントになる。
男子セブンズ日本代表としてラスベガスセブンズ(2月13-15日)に参加したLOダニエル・ヒーナンのコンディションも気になるところだ。

対するサントリーは勝ち点1差でLIXIL CUP 2015出場を逃した後、ワイルドカードで近鉄ライナーズ、リコーブラックラムズ、日本選手権で筑波大学、神戸製鋼コベルコスティーラーズと連破して、パナソニックへの挑戦権を得た。
特に、日本選手権2回戦の神戸製鋼戦では、「前半の風下、全員が我慢できた。ベンチのメンバーも入った時に全員が仕事をしてくれた。勝ったので痛快」と、大久保直弥監督も満足感を示す内容で今季2戦2敗だった神戸製鋼に快勝(22-10)。
「サントリーらしいラグビーができるようになった」(同監督)と、ポストリーグ戦以降、本来のボールキープしながら攻撃し続けるアタッキングラグビーを取り戻していると言っていいだろう。

SHフーリー・デュプレアも完全復活で、攻守における判断力も格段にアップしていることも明らかだけに、「前回(トップリーグ セカンドステージ第5節=45-8でパナソニックが勝利)は2回インターセプトからのトライを取られている。アタックは新しくする」(同監督)というサントリーの攻撃力がパナソニックのディフェンス力を上回れるかが勝負を分ける鍵になりそうだ。

試合写真

HO堀江、SH田中などリーダー不在となるパナソニック。CTB林はトップリーグとの2冠かつ2連覇へのキープレーヤーになれるか

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

復帰後、攻守に圧倒的な存在感を見せつけるSHデュプレアに導かれたサントリーがパナソニックへのリベンジを目指す

photo by RJP Kenji Demura