準決勝へ勝ち進むのは神戸製鋼かサントリーか
NECを破った大学王者・帝京大は東芝に挑戦

15日、東京・秩父宮ラグビー場で第52回日本ラグビーフットボール選手権大会2回戦2試合が行われる。
いずれも8日の1回戦を勝ち上がった4チームが、サントリーサンゴリアス対神戸製鋼コベルコスティーラーズ、東芝ブレイブルーパス対帝京大学のカードで対戦。
勝者が22日に大阪・近鉄花園ラグビー場で予定されている準決勝に進出することになる。

text by Kenji Demura

日本選手権大会
トップリーグチーム同士の対戦となる第1試合(11:45)。
今季の対戦では、ファーストステージ(29-22=9月19日、東京・秩父宮)、セカンドステージ(20-10=12月7日、近鉄花園)ともに神戸製鋼が勝利を収めている。

一昨シーズンの日本選手権覇者であるサントリーにとっては、最高のモチベーションを維持できる状況での対戦となる。

レギュラーシーズンでの2試合では、セットプレーで神戸製鋼に圧倒された印象が強かったサントリーとしては、まずはスクラム、ラインアウトで安定した球出しをしたいところ。
キーマンとなるHO青木佑輔が今季の神戸製鋼戦で初先発。このところ垣永真之介に先発を譲っていたPR畠山健介も1月3日のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦以来となる5試合ぶりの先発復帰。
PR金井健雄も含め、経験豊富なフロントローが強力セットプレーを誇る神戸製鋼と対等に渡り合えるかが、リベンジに燃えるサントリーにとって第1のポイントだろう。
日本選手権1回戦の筑波大学戦だけではなく、その一週間前のワイルドカードトーナメント2回戦のリコーブラックラムズ戦でも「サントリーらしいゲームができた」と大久保直弥監督も納得のパフォーマンスを見せて、調子が上がっていることを印象づけてもいる。

一方、リーグ戦で首位となりながら、プレーオフトーナメントLIXIL CUP セミファイナルでヤマハ発動機ジュビロに完敗した神戸製鋼も1回戦では、慶應義塾大学に76-7で大勝。
「ミスが多かった」(FL橋本大輝主将)と100%満足行く内容ではなかったようだが、セミファイナル敗戦後チーム全体で確認したという「アグレッシブにプレーする」(同主将)という点では、特に後半は手応えを感じる内容ともなった。
セミファイナルで敗れたヤマハ発動機に対してもセカンドステージでは完勝していただけに、対サントリー戦で同じ轍を踏んでしまうようだと、リーグ戦首位通過の意義さえ疑問視されてしまうだけに、内容ある勝利を収めて準決勝進出を果たしたいところ。

セットプレーに加えて、セミファイナルのヤマハ発動機戦で後手に回ったブレイクダウンでリーグ戦時のような力強さを取り戻せるか。サントリーに簡単にボールキープを続けさせるようだと、リーグ戦とは全く異なる内容の試合となる可能性もある。

リーグ戦の2度の直接対決では欠場したサントリーのフーリー・デュプレア、ヤマハ発動機とのセミファイナルで出場できなかった神戸製鋼の佐藤貴志という2人のSHのゲームメイク力も試合の趨勢に影響を与えそうだ。

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SHデュプレアも完全復帰のサントリーは神戸製鋼に対するリベンジを果たして、パナソニックへの挑戦権を手に入れられるか

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セミファイナルのヤマハ発動機戦ではセットプレーで優位に立てなかった神戸製鋼。三たびサントリーをFW戦で圧倒できるか

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東芝SO森田主将が母校との決戦で今季初プレー

「トップリーグを倒すことを掲げて、それを達成できて嬉しく思う」
1回戦でNECグリーンロケッツから歴史的勝ち星を挙げた後のSH流大主将の言葉どおり、まさに公約そのままに正々堂々自力で打倒トップリーグを実現してみせた帝京大学の次なる対戦相手は東芝ブレイブルーパス(第2試合=14:05)。
言うまでもなく東芝はトップリーグの中でも圧倒的にフィジカル面での強さを前面に出して戦ってくるチームだ。
当然、セットプレー、そしてブレイクダウンでの圧力で負けずに、自分たちのプレースタイルを貫けるかが、大学王者がさらなる快進撃を続けられるかの最大のポイントとなる。

2003年のトップリーグ創設以来4強を維持し続けている東芝としては、まさしくトップリーグ全体のプライドを賭けて大学王者の挑戦を受け止めた上で圧倒したいところ。
1週間前の東海大学戦からは先発メンバー5人が入れ替わるが、何と言っても注目なのが、冨岡鉄平ヘッドコーチが「日本一のキャプテン」と胸を張るSO森田佳寿主将が母校の帝京大との決戦で先発に名を連ね、今季初めてプレーすること。
「いままで出ていなかった分、大きなエネルギーを持っていると思う」と自己分析する大黒柱が後輩相手に存在感の大きさを示すことができれば、東芝にとってはこの一戦に勝つだけではない大きなプラスとなることは想像に難くない。

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今季初先発の帝京大出身の東芝SO森田主将に対して、SH流主将(写真)、 SO松田という大学王者ハーフ団がどう対抗するかも注目だ

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トップリーグ全体のプライドを賭けて帝京大と対戦する東芝。まずはFW勢を中心にコンタクトエリアで圧倒したい

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