マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

関西学院大学 10-21 明治大学
【セカンドステージ 2014年12月14日(日) /京都・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場】
5年ぶり全勝で関西王者となった関西学院大学と前週早明戦で敗れ関東対抗戦3位となった明治大学、東西の力関係を見る上では注目の一戦。底冷えする京都・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場にて午後2時、風下の関学大のキックオフで始まった。
序盤から中盤まで、関学大は関西リーグを制したスタイルで自陣からもボールを継続しフェーズを重ねて敵陣に入る。しかし、明大の激しいブレイクダウンと固い守りに拒まれゴールラインを越えることができない。ここまでは、エリアもボール保持も関学大が優位の展開が続いたが、25分にはじめて明大が敵陣22M内に入り執拗にモールで攻める。ここは関学大がゴールラインを背に何とかしのいだが、明大も集中力をもってFWを中心に攻撃を繰り返す。33分ゴール前左中間、ここまで優勢のスクラムで関学大からフリーキックの反則を誘い、8番 山下誉人がクイックスタート、ゴール前までボールを運びラックを形成、そこからキャプテン1番 勝木来幸が持ち出し左中間へトライ、1年生SO10番 堀米航平が慎重にゴールを決め0-7と明大が先制する。前半終了間際にも関学大は敵陣に入ってトライを伺うが、明大はなかなかゴールラインを割らしてくれない。前半終了のホーンが鳴った後の42分、ゴール前15M左中間で得たペナルティーでこの試合はじめてPGを選択、9番 徳田健太が決め3-7でハーフタイムとなる。
後半も、関学大が攻撃のフェーズを重ねるが明大が守る、という構図がしばらく続く。関学大は何度か敵陣22M内まで攻め込むが、肝心なところでラインアウトがうまく獲れない。中盤まで得点は動かず、両チームともミスはあるもののロースコアの締まった展開が続く。だが、後半も最初にスコアしたのは明大だった。25分、自陣左10Mの関学大ラインアウトを長身の5番 寺田大樹がスチールしたのをきっかけに、一旦ターンオーバーでボールを失ったが、再度明大がターンオーバーし、最後は、ギャップができたところをCTB22番 川田修司がついてそのまま左中間にトライ、ゴールも決まり、3-14とリードを広げる。ここで明大が勢いづいてくるかと思われたが、関学大も押されながらも粘り強く攻撃権を取り返えす。しかし、ゴール前まで来てもラインアウトでミスを犯してしまいなかなか得点につながらない。やっと39分にゴール前5M右中間にてフリーキックで得たボールを3番 井之上亮が押え込みトライ、ゴールもSH21番 山戸椋介がドロップキックで決め10-14と迫るが、ここで終了を告げるホーンが鳴り響く。最後のワンプレーで逆転にかけるが、自陣ゴール前からもボールを回さざるを得ない。そのボールをファンブルしてしまい、逆に明大FL20番 田中健太がゴールポスト下に押え、ゴールも決まり、10-21でノーサイド。
関学大は、セットプレーとりわけここ一番のラインアウトのミスが悔やまれる結果となった。一方の明大は、ペナルティーも多く思いどおりのゲーム運びではなかっただろうが、敵陣22Mに入って得点を獲る機会での集中力には一日の長を感じた。
いずれにしても、大学選手権セカンドステージ第2戦以降の両チームの健闘を祈るとともに、その戦い方に注目をしたい。
試合写真 試合写真 試合写真 試合写真

 

(c) JRFU 2014, photo by RJP Kenji Demura
会見リポート
 

関西学院大学

○野中孝介監督

「明治大学という素晴らしい相手にわれわれがどれだけ速いテンポのラグビーでチャレンジできるか、そこが今日のポイントだったと思う。学生たちは本当によいチャレンジをしてくれたが、特にセットプレーでのミスがテンポを掴めなかった一つの要因だと思う。明大のアタックもさることながらディフェンスもかなり激しいものがあったが、われわれが(ゴールを目前にしてトライを)獲り切れなかったこと、ここを反省材料として、来週にいかしていきたいと思う」

──ラインアウトがうまくいかなかった要因は?

「われわれもスカウティングしてきたが、相手もラインアウトに関しては、相当分析をされていたのではないかと思う。それにしても、取らないといけない場面で取れなかった。本当に痛かったというのが正直なところ」

──本日の試合の収穫は?

「前半の終盤に最後の最後はトライを奪われたが、きっちりと止めることができていた。しつこく粘り強くディフェンスをするということ、ここはよくやってくれていたと思う」

p>──SH徳田選手の入替のタイミングは予定どおりか?

「特に何分でということは決めていなかったが、けが明けでもあり試合勘では本調子ではないかもと感じたこと、また山戸選手が入ることによってテンポを上げられるとも考えていたので、60分というタイミングで入替を行った」

○鈴木将大キャプテン

「この1週間は明治大学に勝つことだけを考えて練習をしてきたので、今日の敗戦はとても悔しい。しかし、試合はまだまだ続くので、下ばかり向いていられない。セットプレーを修正し、次の筑波大学戦に向けてしっかりと準備していきたいと思う。本日はありがとうございました」

──本日の試合の収穫は?

「ゴール前で何度かのチャンスを獲り切れなかったのが、本日の敗因の一つと思う。ゴール前まで行くチャンスは作れていたので、第2戦はここをしっかり取り切れるようにしたい」

試合写真 試合写真 試合写真 試合写真

 

(c) JRFU 2014, photo by RJP Kenji Demura
 

明治大学

○丹羽政彦監督

「本日は前週の早明戦で出た課題を克服しよう、もう一度原点に戻って明治のラグビーをしようということで臨んだ。関西学院大学は関西1位で、非常にテンポのあるいいラグビーをしていた。ディフェンスではしっかりついて行けていたと思うが、アタックではゴール前まで行って獲り切れなかったところなど、序盤での戦い方の精度を上げていかなければならない。BKは少し改善されたとは思うが、FWに相当助けられた。こうした競った試合を勝っていくことは、選手の成長につながると思う。次週の大東文化大学ともしっかり戦って3戦目を迎えたい」

○勝木来幸キャプテン

「本日はありがとうございました。早稲田大学との敗戦からこの1週間しっかり立て直してやってきたが、中盤で甘いところが出てしまった。最終的には点差は広がったが、まだまだ精度を上げていかないとこの先は勝てない。もっとFWで圧倒して、獲り切るところはしっかり獲らないと、本日はいい勉強をさせてもらった、とにかく勝つことができてよかった」

──ラインアウトはかなり分析をしたのか?
「この1週間は、ラインアウト含め関学のセットプレーにプレッシャーを掛けようとしっかり分析し、それに応じたディフェンスを積み上げてきた。その結果、いくつかスチールする場面もあったのでよかったと思う」