東京、名古屋で大学4強とトップリーグ勢が対戦 大学選手権6連覇の帝京大はNECにチャレンジ 8日、第52回日本ラグビーフットボール選手権大会が開幕する。 同日、東京・秩父宮ラグビー場と愛知・名古屋市瑞穂公園ラグビー場での開催が予定されている1回戦4試合はいずれも大学選手権4強とトップリーグ勢との対戦となる。 text by Kenji Demura <1回戦> <東京・秩父宮> 筑波大学─サントリーサンゴリアス(11:45) 帝京大学─NECグリーンロケッツ(14:05) <愛知・瑞穂> 慶應義塾大学─神戸製鋼コベルコスティーラーズ(11:45) 東芝ブレイブルーパス─東海大学(14:05) いずれも、大学選手権ベスト4がどんな創意工夫をしてトップリーグ勢にチャレンジするのか興味深い対戦ばかりだが、アップセットの可能性を考えるなら、一番の注目は圧倒的な強さで大学選手権6連覇を成し遂げた帝京大学とNECグリーンロケッツとの対戦となる秩父宮の第2試合だろう(14:05キックオフ)。 6年連続で大学選手権を制してきた帝京大だが、日本選手権でのトップリーグへの挑戦は過去7シーズンで7連敗中。 大学選手権が終わってからではなく、シーズンを通して打倒トップリーグを可能にするチームづくりを目指していることを公言する帝京大。 1月10日の大学選手権直後は「今日は大学選手権をものにできたことを心から喜んでいる。(トップリーグ勢との対戦に関しては)まだ、わからない」と語っていた岩出雅之監督だが、1年間をかけてトップリーグ勢ともしっかり戦えるチームを作り上げたことは、1月25日に行われたサントリーとの練習試合に38─31で勝利したことからも明らかだろう。 この時のサントリーのメンバーは主力組が出ないBチームと言っていい構成だったとはいえ、その1週間前に行われたNECとのBチーム同士の対戦では33─12でサントリーが圧勝。 サントリーのBチームに大差で敗れたBチームを持つNECのAチームがサントリーBを破った帝京大に勝てる保証はどこにもない。 「帝京大はサントリーBに勝って、うちはボロ負け。相手は本当に強いので、大学生ということは気にせず、強いチームと試合をする準備をしっかりして、自分たちの強みを出していくようにしたい」 相澤輝雄総監督がそう引き締めるとおり、NECとしてもトップリーグ勢との対戦と変わらぬ準備をして大学チャンピオンとの対戦に臨むことになるのは間違いないだろう。 メンバー的に見てもSH流大主将を筆頭に、HO坂手淳史、LO小瀧尚弘、SO松田力也など、日本代表合宿に呼ばれた経験を持つ選手も少なくないのだから、NECが目の色を変えて臨んでくるのも当然と言えば当然とも言える。 セカンドステージのグループBで奪トライ数が下から2番目ながら2位となったことからも窺い知れるように、NECにとって3年ぶりの日本選手権出場の原動力となったのは、ディフェンス力。 「試合を重ねるごとにチームとしての自信が深まっている」(相澤総監督)というNECの守りを帝京大が崩せるかどうかがポイントになりそうだ。 大学選手権V6の帝京大だが日本選手権ではトップリーグ勢に7連敗中。SO松田は当然NEC討ちのキーマン photo by RJP Kenji Demura セットプレーとコンタクトエリアでFWが優位に立てばNECが帝京大の挑戦をはねのける可能性が高くなる photo by RJP Kenji Demura スーパーラグビーのワラタスへの期限付き移籍が発表されたCTB松島も日本選手権制覇を目指すサントリーのキーマンのひとり photo by RJP Kenji Demura 復調兆しのサントリーは大学NO2の筑波大と 瑞穂では神戸製鋼─慶應義塾大、東芝─東海大 秩父宮の第1試合は、わずかに勝ち点1差でプレーオフ進出を逃したサントリーと、大学選手権準優勝の筑波大学の対戦。 ワイルドカード2回戦のリコー戦で「リザーブも含めてサントリーらしいゲームができた」(大久保直弥監督)という復調ぶりを見せた一昨年のトップリーグ王者に対して、「ポテンシャルが高い選手が多い」と同監督が警戒する筑波大がどんなチャレンジを見せるのか。 「自分が大学時代に筑波大に勝ったことがないので、しっかり勝ちたい」(真壁伸弥主将)と、こちらもモチベーション高く大学NO2チームとの対戦に臨む。 一方、愛知・瑞穂ではいずれもLIXIL CUPセミファイナルの敗者対大学選手権準決勝の敗者という対戦カード2試合が組まれている。 LIXIL CUPセミファイナルでは、共に本来の戦いぶりができずに予想外の大差で敗れた神戸製鋼と東芝が日本選手権の頂点を目指し、どうチームを立て直してくるのかの再スタートとして注目される。 帝京大、筑波大よりも一段ハードルの高いチャレンジとなると言っていい慶應義塾大学、東海大学には、大学選手権準決勝から1ヶ月以上実戦から離れている試合感覚を取り戻しつつ、トップリーグチームからの勝利という歴史を目指す一方で、チームとしての1年間の総決算に相応しい、ファンの琴線に触れるような戦いぶりを期待したい。 大学選手権準優勝の筑波大が一昨年のトップリーグ王者サントリーに善戦するためにはFW陣の踏ん張りが必要になる photo by RJP Kenji Demura LIXIL CUPセミファイナルでヤマハ発動機に力負けした神戸製鋼FW。日本選手権での復活はあるのか? photo by RJP Kenji Demura セミファイナルでは強固なパナソニックDFに頼みのNO8リーチも前に出られなかった東芝。日本選手権での秘策はあるのか photo by RJP Kenji Demura