「全国大学ラグビー トークバトル 2007」

 

黒氏 「次のキーワードは"打倒! 早稲田"です。やはり上田さんでしょうか」
上田 「結果として早稲田が優勝するとしても、早明戦のような結果のトーナメントでは国立競技場が盛り上がらないと思いますので、やはり早稲田をひやひやにさせないと。慶應とか明治がだらしがないのは、闘志がないんですよね。狭いエリアでこちょこちょと早稲田に対抗しようとするのが大間違いで、徹底したところで気迫で圧倒しないと。(早稲田のキャプテンの)権丈なんかは、自分たちは勝って当たり前、という意識が怖いからこそ、一戦一戦ということで気を引き締めている。逆にいえば、そこをされちゃうと、つけ入るスキがなくなっちゃうわけで‥‥できたら(1回戦の対戦相手のスカウティングのために)仙台なんか行かなくていいから、上井草にいてくれればいいから(笑)。今年は大学ラグビーの将来のためにも、早稲田以外のチームには全力でチャレンジしてほしい」
黒氏 「中竹さん、いかがでしょう」
中竹 「まあ、周りの方は好き勝手でいいなあ、と(笑)。たとえば春シーズンであったり、対抗戦でも、ちょっと早稲田がよくないと『早稲田は大丈夫か』と新聞すべてがそうなる。で、勝つと『他が弱すぎる』。でもぼくらからすると、『慶應・明治だらしない』なんて思わないですよ。形勢が逆だった場合、もし今年の明治が強くて、うちが負けていたら、たいへんなことになっていますよ。ここにいても『こんなところでしゃべってないで、練習しろよ』といわれますよ。それだけ注目されるのは、ありがたいことではあるんですが」

中竹竜二監督(早稲田大学)
中竹竜二監督(早稲田大学)
武村 「中竹さんは、心のなかではある意味、余裕をもっているんじゃないでしょうか。早稲田は頭ひとつどころか、体ひとつ抜けていますからね。法政も(1回戦で)立命館に勝たせていただければ、そのあと早稲田と当たる可能性が高いので、学生の皆さんにはがんばってほしい」
上田 「早稲田にいい試合するためには、結構あの~、そのもう一方側は本命っていないから、試合に勝ち上がったところが結構みんな苦労してくると思うんですよ。多分ね、早稲田の成長率よりも他のチームの成長率が高いと思うんですよ。だから、そう差が開かないような試合になることを期待したいですね」
武村 「力に差がある時には、…あの、上田さん、慶應とやって下馬評が2対8、7対3で慶應が2連覇をするんだと、100周年のあの時かな、言われていたんです。私がその時言ったのは『慶應のこのプレーだけ抑える…あと回されたら、もう力は向こうが上だから仕方がない』と。案の定、そこだけ抑えたら勝てたんですね」
(客席ウケる)
上田 「あのね、あれ一番悔しい試合なんですよ。シンビンがいっぱい出た試合でしょ。いや、今日はその話じゃないから…」
武村 「早稲田を倒すためには、どこを崩せばいいのかなってね、チームが研究して。一番強いところを抑えると、やっぱり何となくリズムが狂ってくるんじゃないかなって。リズムを崩すことができたら、いい試合が少しはできるかもしれませんね」
上田 「今年まず、なかなかスキ無いんですよね」
武村 「…そう。」
中竹 「しいて言えばどこですかね?一応聞いて…。(客席ウケる)どうですかね、坂田先生?」
坂田 「ウチは、早稲田と当たることはまずないんで、考えてません」
(客席ウケる)
上田 「武村さん、最後は"お祈り"でしょ?やっぱり」
(客席ウケる)
武村 「そう、それはね、中竹さんをちょっと何か病気にさせちゃう…(客席ウケる)で、グラウンドに行かせないようにする…」
中竹 「ボクは今、本当に(練習では)何もやってないんですね。選手がもう勝手にやってて。五郎丸がなんかもうコーチになってて。ちょっとだけ顔出して『任せたね』って言ったら『ボクに任せてください』って…。このまんまいないほうがいいのかなって思いますよ。(客席ウケる)基本的には選手だけでやってるんで」
武村 「じゃ、ちょっと失敗ですね、それ」
(客席ウケる)
各チームの注目選手を紹介
黒氏 「さあ、ここで"各校の注目選手"を村上さんに選んでいただきます。まず、今、話に出ている早稲田」
村上 「これはもう当然かもしれませんけども豊田(将万)。豊田はさっきも何度か話に出ましたけど。そして山中(亮平)。1年生にしては本当に飛びぬけた才能を持ってますよね。今年の早稲田の展開のキーマンです」
中竹 「そうですね。豊田は今年、ウェイトトレーニングも非常にがんばってですね、その成果が一番出た選手じゃないですかね。かなり成長して去年よりは全然迫力が変わってきている」
上田 「サイド攻撃の突進力、倒れないパワーっていうんですかね。それが随分レベルアップしましたよね」
中竹 「ですが、本来あんまり人に当たるのは好きじゃない選手だったんで、スピードで埋めていったり、去年までタックルはあまりしなかったんですけど、今年は去年の5倍はやってますね」
村上 「それは数字でも出てる?」
中竹 「数字でも出てますね。去年はもう『タックルなぜここでしなかったの?』っていうミーティングばっかりやってましたね。今年は本当に、ウェイトやった成果なんで、本人も喜んでましたね」
上田 「あとはラインアウトのね獲得率、もともとバスケットの選手なんで、しっかりとってますよね。彼はやっぱり目立ってるのはラインアウトのキャッチとサイド攻撃。去年とまったく違う選手のようになってますよね」
村上 「山中選手はどうですか?」
中竹 「この間の慶應戦で、キックダミーでどうしても抜きたかったみたいで…。あの、逆にステップ踏んでましたね。ダミーして相手が引っかかったほうに、自分から行っちゃって(客席ウケる)」
上田 「それ、3回くらいやったよね」
中竹 「だから、いくらやっても抜けなかったんで、ビデオ観て『もう早明戦では封印しておこう、抜きたいのは分かるけれども』って止めてたのに、途中からもうガンガン行って…(客席ウケる)」
黒氏 「結局でも、大きなケガも無くここまできましたね、1年生で」
中竹 「頭いいんですよ。『早稲田のディフェンスはヤマナカ狙っとけ』ってどこのチームも言うんです。最初はディフェンスがんばって『今日のヤマナカいいね』っていう印象与えると、そのあとはスーっと居なくなんですよ。(客席ウケる)で、勝負がつくと『あ!ボク、タックルしなくていいかな』って。で、ケガなく終えると。そういう天才的な(客席ウケる)頭脳を持ってる」
上田 「彼は本当にキックは飛ぶなと思ってたんですけど、走り出すと、やっぱり大きいせいか凄くスピードがあるんですよね。そういう意味では、将来のジャパンの、スタンドオフに成長するなと思いますけどね」
中竹 「それも頭いいんですけど、彼の独走って前半からはほとんど無いんですね。相手チームが疲れてきて(客席ウケる)あと味方のチームも散々使っといて(客席ウケる)、みんなバテてきているなかでの、相対的なスピードで…」
(客席ウケる)
上田 「でもね、それボク弁護するとね、ハーフ団ってそういう仕事なんですよ。人を使って『自分はサイドを付かないハーフだよ、オレは勝負をしないスタンドオフだよ』って見せかけといて抜きにかかる。松尾なんか、ぴったりじゃない。スタンドオフはそれでいいと思うんですよ。本城もそうだったよね。彼のそういう頭の良さが、かえってスタンドオフにはいい部分になるんじゃないかな」

上田昭夫(U21日本代表及び、慶應義塾大学元監督
上田昭夫(U21日本代表及び、慶應義塾大学元監督)
黒氏 「さあ続いては、京産大ご覧いただきましょう」
村上 「先程から出てます徐(ソ)と、とプロップでスクラムの要である山下選手。3番の長江選手がケガをしてなければ、やはりここにあげてますが」
大西 「徐は、天性のバネがあるというかキックが非常にいいですね。ただ、あんまり練習はしないんですね、キックの」
上田 「五郎丸もしてないそうだから大丈夫ですよ」
(客席ウケる)
大西 「(現トヨタ自動車ヴェルブリッツの)廣瀬が10としたら…ま、1ですね」
(客席ウケる)
黒氏 「そんなに違うんですか?」
大西 「廣瀬はね、練習終わってから1時間は蹴り込んでましたね、毎日」
上田 「ということは、それだけセンスがあるんじゃないですか?」
大西 「と、思いますねぇ~」
(客席ウケる)
大西 「廣瀬は努力ですね…センスは無かったですね」
(客席ウケる)
黒氏 「まだ(現役は)終わってないんですけど…」
(客席ウケる)
上田 「この山下っていう選手、185センチの125キロですか?大きいですよねぇ~」
大西 「スクラムはね、アキレス腱を切りました長江のほうが強いんですが、彼はねボールを持つのが好きで、非常に機動力があります」
黒氏 「畠山タイプっておっしゃってましたよね」
大西 「そうですね。片手でパスをするのとかね、非常に器用な選手ですね…おもしろいと思います」
上田 「京産はフォワード大きいですよね」
大西 「いや、この子だけですわ、大きいのは。はい」
上田 「おっきく見えるんですよ、試合観てると」
大西 「そうですか?ありがとうございます」
(客席ウケる)
黒氏 「(笑)じゃ、次いきましょう。村上さんの母校(大阪体育大学)です」
村上 「さっき話に出ました、小さいNo.8の板垣選手。彼はむちゃくちゃがんばりますよね?」
坂田 「むちゃくちゃがんばりますね。彼の口癖は『練習は嘘つかない』。それで練習から精一杯やってますね。それがゲームに出てます。選手権に出てる大学の中では一番小さいNo.8やと思いますね。でも頼りになります」
村上 「大川選手は」
坂田 「大川はキャプテンなんですが、この選手は、非常にセンスがあると思いますね。個人技は非常にいいものをもってまして、彼は抜くことも、キックすることも、パスすることも、あとタックルもいいですから。この選手はウチのチームの要ですね」
上田 「180センチ…(バックスとしては)大きいですよね」
坂田 「大きいですね、リーダーシップもありますし」
黒氏 「それでは東海大学の注目選手を」
村上 「マイケル・リーチ選手。よく動きますよね」
上田 「ボールをもつ機会が多くて、すごく器用ですよね。もうひとりNo.8に外国人がいて、このふたりがよく機能してます」
黒氏 「中竹さんは東海大学をどうみていますか」
中竹 「今年は強いですし、マークしてます。夏に合同練習をさせてもらったんですが、そのときは疲れていたのか、あまりすごさを感じなかった。でもその後の試合をみると、別のチームのように強くなってます」
上田 「関東学院に1点差で負けた試合も、内容的には東海が勝ってましたから。その勢いでいくと、けっこう面白い」
中竹 「東海とやった場合、危険なのは、うちの山中の先輩が多くいること」
村上 「(出身高校の)東海大仰星のときの先輩ですね」
中竹 「夏の合同練習のときも、すごくおとなしくて‥‥そこがネックですかね」
(客席ウケる)
黒氏 「さて続いては関西の優勝チーム、同志社大学です」
村上 「最後の優勝を決めた立命館との試合でも、宇薄選手は本当に決定力がありましたね。ちょっとずれてボールもらえれば、必ずトライ、といってもいいくらい」
黒氏 「おととしもトライ王ですね」
村上 「同志社は(シーズンが深まるにつれ)どんどんよくなっているので、大学選手権では化ける可能性もありますね」
上田 「彼は東海大仰星出身で、去年1回戦で慶應とあたったときも、同志社はフォワードが弱かったけれど、宇薄は奮闘してました。体はってプレーしますよね」
坂田 「体も大きいしパワーもあるので、もう少し脚が上がり始めると、もっとパワーが出てタックルも強くなって、いい選手になると思います」
黒氏 「続いては明治です」
村上 「宇佐美選手。突進がすごくて、早明戦のときもゲインしたのはほとんど彼だけだったんじゃないかな」
中竹 「我々も早明戦の前には、仮想"宇佐美"をたててやったんですけど、やっぱり強かった。去年のジュニア選手権のときから、別格だと思ってみてました」
黒氏 「次は注目の選手です。7人制日本代表でも活躍した慶應義塾大学の山田選手です」
上田 「え、山田が出てきちゃうの? あの出来ではねえ、出したくないですね。セブンズなんで、どうしても間合いをもってプレーしてしまう。だから早稲田はそこを詰めてきたんで、ぜんぜん前に出られなかった。あとは、なんで下にタックルいかないのか、言い続けてはいるんですが」
中竹 「いや、やっぱりすごいですよ」
上田 「山田の場合、出来がいいとき悪いときがはっきりしている。大学選手権、彼がどれだけ仕事をするか。トライをとることだけが仕事ではないということが分かるかどうか」
黒氏 「次は拓殖大学から、タリカビリ・バツベイ選手です」
村上 「(日本代表で近鉄ライナーズのルアタンギ)侍バツベイ選手の弟です。お兄ちゃんに比べるとだいぶ小さいサイズですね。お兄ちゃんと全然ちがって、めちゃくちゃ働き者です」
上田 「それでも190センチ、100キロですからね。脂肪の少ない締まった体つき」
黒氏 「次は法政大学、和田耕二選手です」
村上 「この人を出したら、武村さんから『ちがう』といわれてしまいましたが(笑)」
武村 「彼がよかったのは1年生のとき。その後、靱帯を痛めて手術をしてから、スピードが落ちましたね。ハーフはさばくのが仕事ですが、彼は動きたいタイプ。監督がいっても本人はどうしても動きたい。球さばきに関しては、2年生の日和佐のほうが数段上ですね」
上田 「しかし今年サントリー(サンゴリアス)に入った成田といい、勝負したがるハーフが法政には多いですね」
武村 「成田はサントリーへ行っても成長していると思いますが、法政のときには『耕二には負けたくない』とすごい練習をしてました」
黒氏 「最後に、帝京大学。堀江翔太選手です」
村上 「これはもう、1年生からレギュラーで、攻守に非常に目立ちます」
上田 「彼あっての帝京という感じがします。帝京は外国人が6番にいて、よくペアで動いている感じがします」
村上晃一氏=左、黒氏アナウンサー
村上晃一氏=左、黒氏アナウンサー
 

黒氏 「続いては、会場の皆さんからの質問タイムです」
Q:監督自身のストレス発散法を教えて。
中竹 「人から見ると、ストレスが溜まってると思われるかもしれないですけど、ぼく自身、ストレスは感じないんですよ」
黒氏 「大西先生いかがでしょうか?」
大西 「ぼくは、あの~、お酒もあんまり飲めませんし、そういう方法知らないんです。まあ、スーパー銭湯行くくらいですかねぇ」
(客席ウケる)
黒氏 「結構通ってらっしゃるんですか?」
大西 「月曜日練習休みで授業もないもんですから、月曜日はよく行きますね」
(客席ウケる)
黒氏 「坂田さん、いかがでしょうか」
坂田 「まあそうですね、ラグビーを忘れることですね。ニュージーランドに行って、ぼーっとしてます」
上田 「第二のふるさとですね」
坂田 「そうですね。日本にいるとどうしてもラグビーのことばかり考えてしまいますので、ニュージーランドで楽しんでくる。趣味がねアンティーク収集でね。でも、たいしたもん買えてない。失敗ばっかりで(笑)。ニュージーランドの田舎のほうのオークションに行ったりしてます」
黒氏 「武村さん、いかがでしょうか」
武村 「わたくし今、監督じゃないんでね。監督やってる時のストレス解消…。ま、お酒が私好きですから。お酒を飲んで‥‥1週間前も痛風で足が痛くて、どうしようもなかったんですよ。お医者さんに行ったら『カロリーの摂り過ぎですね』って言われました。検査して、血液検査の結果は、数値は低かったんですけどね。どうしても監督時代は、ラグビーのことは頭から離れないし、どうしようもないんで。あと、たまにゴルフやったり。私は仕事柄、土・日と祭日は忙しくて。ゴルフ行くのは月曜日。まぁそのくらいですね」
中竹 「ぼく、言い忘れてました。最近ストレス感じているんですけれども。ぼく凄い食べるんです。酒も飲むし。なんで、かなり運動してるんですね。練習では選手よりよく走っているくらいで。夏合宿では1日2回走ってたんですけど。それが、どんどんどんどん減っていき、シーズン深まって走れなくなって、それでストレス溜まってますね」
上田 「たぶん監督というのは、ストレスを溜める人にはできないですよ。監督やる以上は、それを承知のうえでやってるんで、それをこなせない人は1シーズンずっと監督できないんじゃないかな」
黒氏 「上田さんはちなみに何かありましたか」
上田 「どうですかね…。そんなこと考える暇ないんですよ。毎日毎日を必死に過してるんで『これがストレスだ』なんてまとめる時間がないんですよ」
Q:ライバルチームから選手をひとり引き抜くとしたら、誰がいいですか?その理由も教えてください。
黒氏 「中竹さんは必要ないですかね?もう誰もいらないですか?」
中竹 「いや、そんなことないですね。え~と、そういう意味で言うと‥‥」
上田 「難しい質問だよね。そうすると、そのポジションが、ウチは弱いってことになって(笑)」
(客席ウケる)
中竹 「だけどやっぱりもう、試合観て『あ、これいい!…欲しいね』っていうのは、もうたくさんいますけど…。やっぱり関東学院の土佐君なんかは、でかくてプレーも本当に真面目で。あと、慶應さんなんですが、(キャプテンの)金井君みたいな1・2・3番できる選手。で、スローインもできる。今ウチの若い選手には、金井君みたいになれ!って言ってます」
上田 「金井は、いやいや3番やってるんだよ。いないから」
(客席ウケる)
黒氏 「じゃぁ、次は大西さん」
大西 「ウチは、あの~存在感があるバックスが欲しいですね。例えば…五郎丸君」
黒氏 「やっぱり、存在感ありますか?」
大西 「ありますねぇ」
上田 「大西先生、その笑い顔がなんとも(笑)‥‥もの欲しそうな表情で」
大西 「ムリだとは思いますけどね」
(客席ウケる)
黒氏 「坂田先生、いかかでしょう」
坂田 「サイズの大きなフォワードが欲しいですね」
上田 「それは、あれですか?ラインアウト用ですか?パワーの?」
坂田 「やっぱり、パワープレーヤーが非常に少ないですからね。あまり、慶應には言いたくないですけど」
(客席ウケる)
上田 「慶應だって、平均身長はバックスのほうが高いですもん。180台が並んでるんですよ。ハーフも176」
坂田 「今年のチームは、もうここ何年間の中で、一番小さいサイズですから」
黒氏 「武村さん、法政はどうでしょうか」
武村 「駒井監督だったら誰が欲しいかな?マイケル・リーチ君みたいな、動けて、ボールを確実にキャッチできる選手、いいんじゃないかなと思いますね。あとプロップは、大西先生のところにいる、ケガしちゃった長江君」

上田昭夫(U21日本代表及び、慶應義塾大学元監督)=左、中竹竜二監督(早稲田大学)
上田昭夫(U21日本代表及び、慶應義塾大学元監督)=左、中竹竜二監督(早稲田大学)
Q:マナーと躾は大丈夫ですか。
中竹 「ご存じの方もいるかもしれないですけども、ボク学生時代には、かなりマナーというか、ゴミ拾いから、挨拶から、人としての姿勢だとかっていうことを、キャプテンだから偉そうに学生に言ってたわけです。監督になってその色が強すぎて、『中竹さんはサラリーマンあがりでラグビーあまり知らないから、そういうことばっかり言うんだろうな』って学生から言われるのを警戒してたんですねボクも。だから去年はそういうことを一切言わなかったんです。ですが、やっぱり今年になって、大事なことは言わないとということで、ボクのミーティングは、だいたいパワーポイントで、こういったスライドで、戦術も全部やるんですけども、その中でですね、戦術と同じレベルで『挨拶は、相手にされる前に先にする』とかですね、当たり前のことをちゃんとパワーポイントの中に入れてですね、言ってます」
黒氏 「どうもありがとうございました。大西さん、どうでしょうか」
大西 「まぁ大丈夫かどうかと言われたら、それはもう…答えるあれが無いんですけども。ま、その生活のリズムに関しては、うるさいくらいに朝から晩まで中学生の如く言ってるようにしてるんですけども、はい」
黒氏 「坂田さん」
坂田 「そうですね。自分の場合は"言うよりもまず自分でやろう"と。グラウンドにゴミが落ちてたら、黙ってひらう。それを繰り返しているうちに『監督やってるで』って見て、先輩がまた若い子たちに言って、みんなひらいますし。一方的に厳しく言ってもなかなか反応が無い。まず自分からやろうって。去年ニュージーランドに遠征に行きまして、練習グラウンド借りたんですね。練習が終わったら選手達ずらっと一列に並んで、そこのゴミをひらったんです。で、たくさんあったんですね、ゴミが。そのグラウンドを紹介してくれたニュージーランド人が、ビックリしてまして『今まで、こんなことやるチームはなかった』って」
黒氏 「ありがとうございました。それでは最後に武村さんからも、"ありがたいお話"をいただければと思います」
(客席ウケる)
武村 「例えば"上級生なら許される" "下級生ならダメだ"とかですね、そういうことがあるかもしれない。しかし、"何が悪くて、何が正しいのか" "誰が悪くて、誰が善人なのか"そういうことを、きちっとしないと。例えば同じことをやって、1年生だったらダメだといわれ、4年になったら許される…こんなことは絶対ありえない。グラウンドの中においても、合宿生活においても、そういうことはきちっとわからないと。法政の場合は、私がこういう仕事(お寺の住職)をしてるんで、今年も部則を破った人間を福井県のあるお寺に送り込みました。(客席ウケる)2週間くらいでしょうか、朝3時に起きて、座禅を組んで、掃除をして、山に薪を取りに行ったりですね…。そういう生活をしていた。で、大いに反省して帰ってきたのですが、また部則を破ってしまった。監督は、もう起用していないんです。レギュラークラスの力のある子ですが。そういうことをやることによって周りの連中も、少しは気付いてくれればいいかなと思いますね」
黒氏 「はい、どうもありがとうございました。それではトークバトル、このあたりでノーサイドにさせていただきたいと思います」