関西王者、同志社大学と関東対抗戦5位とはいえ、慶応大に勝利し、また早稲田大と好ゲームを演じた筑波大学の注目の対戦。 前半6分に同志社キャプテン前川がラックサイドから大きくゲイン、ゴール前にラックを形成、そこからすばやくSH東郷が右隅にトライ、同志社ペースかと思われたが、直後の9分に筑波が同志社陣内左中間ラックからSO中島のキックパスをWTB大野がキャッチし左中間にトライを返し振り出しにもどした。互いにディフェンスが固くなかなか裏へ出られずキックを多用したゲームが続き膠着状態に。35分に筑波がPGで逆転、しかし前半終了間際に同志社がゴール前モールを押し込み左中間にトライ、再度逆転し10-8で折り返す。 後半は筑波が13、25、29分とキックを使った多彩な攻めで同志社のディフェンスのほころびをつき立て続きにトライを重ね15点差に。一方同志社は35分、40分とゴール前ラック、モールで2トライを返し5点差と迫るが追撃もここまで。結局20-25で筑波が勝利、同志社の執拗なラックサイドの攻撃を低いタックル一発で倒し、立ったプレーをさせなかった筑波の固いディフェンスの光った好ゲームであった。同志社は昨年に続き2年連続で選手権初戦敗退となった。 C:2007, JRFU(Photo by A. HASEGAWA) 同志社大学 20-25 筑波大学(12月16日、1回戦 at近鉄花園ラグビー場) 同志社大学の中尾監督(左)と、前川主将 ◎同志社大学 ○中尾晃監督 「関西リーグ戦から時間が開いていたので気になっていたが、その不安が的中した。前半の入りは良かったが、ミスで乗り切れなかった。後半はタックルミスから付け込まれた。得点を獲り切れない甘さも重なってしまった。春季は個人の自覚に任せていたが、不祥事のため春で仕上げるフィジカル面が夏季にずれ込んでしまった。結局チームづくりが後手に回ってしまった。充分な手応えが無いまま、突入したシーズン、天理に敗れてからアタックに磨きをかける方針にならざるを得なかった。チーム力がまとまってきたが、今日のゲームでは、関東のチームの球際の強さに感服した。ここ一番での勝負弱さを露呈してしまった。FWはラインアウトで善戦したが、BKが前半から機能せず、浮き足立ってしまった。チーム状態は今年一番だったのだが」 ○前川泰慶主将 「筑波の強さは充分警戒していたが、いざゲームが始まるとDFの強さに面食らってしまった。関西で通用していた攻撃がまったく通用しなかった。後半ゼロチャンネルでのDFを強化され、巧みにチャンスを潰された。DFの差が敗因と言っていい。後半の鋭いダブルタックルに対し、充分な対応ができなかった。 (PGで点差を詰めるチャンスにスクラムを選択した場面について聞かれ)1年間練習を続けてきたスクラムで勝負を挑んだが、結果押し切れなかった。選択ミスではないと確信している」 筑波大学の古川監督(左)と、島主将 ◎筑波大学 ○古川拓生監督 「アウェイの雰囲気に呑まれ気味だったが、攻撃的なDFでよく盛り返した。前半は自分達のプレーに集中できない場面もあったが、後半に向け気持ちの切り替えが巧くできたことが、今日の勝因である。具体的には、同志社のFW周辺を重視したアタックに対し、DFが充分対応できた。BKラインのDFが最後まで崩れなかったことは評価に値する。今季のスターティングメンバーは大きな怪我することなく、まとまっていた。その結果、的確な状況判断ができたと思う。大学選手権で(勝利という)結果が出、報われた想いだ。今日のゲームを踏まえ、2回戦でも持ち味をしっかり出していきたい」 ○島弘一郎主将 「1年間継続してきたタックルで、いい結果が生まれた。努力が報われた感がある。自分たちのラグビーを貫けば勝てると確信していたが、果たしてタックル、フォローと自分たちのプレーができたことが大きい。(同志社に対し)3年前の雪辱ができた。このまとまりを大事にして次の帝京戦に臨みたい」