大学選手権・決勝 マッチ&会見レポート(帝京 15-12 天理)

マッチリポート
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トーナメント表
帝京大学 15-12 天理大学 【決勝/2012年1月8日(日) at 東京・国立競技場】
帝京 15-12 天理 帝京 15-12 天理 帝京 15-12 天理 帝京 15-12 天理 帝京 15-12 天理
関東対抗戦を全勝で通過し、大学選手権に入ってもここまで失トライゼロの圧倒的強さで勝ち上がり選手権3連覇を目指す帝京大学。初の決勝進出ではあるが、関西勢としては久々の日本一を狙える力を秘めた天理大学の決勝戦は、快晴の国立競技場でおこなわれた。 風上に立った天理SO立川のキックオフ。試合開始からSO立川、森田の両司令塔のロングキックが飛び交いボールが大きく動いた。帝京はFWの堅いラックからSH滑川のハイパントで天理FWの背後を突くが、ここを天理SH井上が安定したキャッチングからのカウンターでタッチライン際にWTBを走らせ、いきなり激しい攻防が始まる。BKで勝負をかけたい天理はSO立川、CTBハベア、バイフの鋭いランニングから再三ゲインラインを突破するが、最後のパスが繋がらずにゴールラインが奪えない。 帝京はWTB、FBのバック3をはじめBK全員が、さらにはSH滑川がよく戻りゴール寸前でのタックルを浴びせる。逆に帝京はキックから確実な前進でエリアを確保し、ラインアウトモールでFWが圧力をかけゴールへ迫るが、天理FWのタックルも厳しくブレイクダウンでは互いの二人目が相手ボールを奪い合う。 天理は劣勢と思われたスクラムをダイレクトフッキングで逃れ、SH井上が素早くボールを捌いた。前半16分、浅めに立ったSO立川がCTBとのクロスに走りこみ、帝京DFが躊躇したその真ん中をWTB木村が走り抜けて先制のトライ。天理が誇るフラットラインでのアタックが、ついに帝京から初めてのトライを奪った。 帝京はハイパント、FWのサイドアタックの連続から天理DFを崩しにかかるが、ついに21分天理DFのミスから一気にゴールを落とし入れる。SH滑川の巧妙なハイパントのこぼれ球を帝京FWが奪うと一気に前へ。NO8李が強烈な突進からDFを突き破り、ゴールへ飛び込み追撃のトライ。また、32分にはゴール前のラインアウトから、モールDFを意識して前に出た天理FWのギャップにボールを動かし、誰もいないスペースをFL大和田が奪ってトライ。 天理、帝京ともにこのゲームへの周到な準備がうかがわれ、まさに日本一を決めるにふさわしい展開となった。(前半12-7) 後半も両チームはお互いの強みをぶつけ合う。帝京はスクラム、ラインアウトモールでの強烈なプッシュからFWが徹底した圧力をかけ、天理ゴールに迫る。 ラックの停滞からの執拗なサイドアタックの連続、そして天理DFが薄くなったその一瞬をBKがスピードに乗ったラインアタックで攻めるが、数で負けた天理DFが何とか粘りタッチラインに押し出していく。 しかし、後半31分、ついにこの攻防から天理が追いついた。キックに頼らず、ランプレーから前進を図る天理はSO立川、CTBハベア、バイフがついに帝京DFを突き破る。SO立川はループプレーから外側のアタックを意識させると、次はDFの逆を突いて強力CTBがカットイン。このラインブレイクから素早く展開し、SO立川が空いたスペースをビッグゲイン。最後はLO田村からWTB宮前に渡って同点のトライ。(12-12) 残された時間に日本一を狙う天理はさらに攻め続ける。自陣からも果敢なラインアタック。ペナルティを得るとクイックアタックで身体を休めない。この闘志にスタンドはどよめき、天理ラグビーのこの試合にかける執念を思った。しかし、自陣でのアタックから持ち込んだラックにおいて痛恨のペナルティ。39分、この正面のゴールを帝京SO森田が右のポスト先端に当てながらもねじ込んで、最後に帝京が勝利を掴んだ。(15-12) 帝京大は史上2校目の3連覇を達成した。強力FWを武器に、学生ナンバー1のハーフ団、快速BKと実力どおりの結果といえる。しかし、この日本一獲得の原動力はアタックだけではなかった。この日、天理の快速WTBをあきらめずに外に押し出したWTB、FBの闘志あふれるタックル。ハベア、バイフに立ち向かったCTB陣。そして、苦しい時間帯に後ろに下がりながらタックル、ブレイクダウンにファイトしたFW陣が最後の最後にボールを奪い、キャプテン森田のPGへと導いた。 この48回大学選手権をタックルで勝ち取っての3連覇といえる。(照沼 康彦)
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会見リポート
 
天理大学の小松監督(左)と立川キャプテン
天理大学の小松監督(左)と立川キャプテン

天理大学

○小松節夫監督 「ありがとうございました。今年、日本一を目指して来ましたが、ようやくここまで来ることができて、1年間の集大成をお見せしたいと臨みました。帝京さんの強いFWとうちのBK、お互いに強みを出す戦いになると読んでいました。最後、あと一歩届かず負けてしまいましたが、小さいながらラインアウトで対抗したFW、走りきったBK、選手たちはよく頑張ったと思います。これで、終わりではありませんので、さらに強いチームをつくって戻ってきたいと思います」 ──試合前から、帝京FWのプレッシャーは予想していたか? 「予想以上に強かったとは思いませんが、スクラムでコラプシングの反則をとられ、モールの再構築のところでも、レフリーとの解釈の違いがあり、何回も反則をとられたところがちょっと誤算でした。ラインアウトは、前半は取れませんでしたが、後半に修正ができたと思います」 ──後半、相手はボールを放してくると読んでいたか? 「後半は、相手が風上ですので、蹴ってチャレンジしてくると思っていました」 ──日本一になるのに足りないところは? 「うちのチームで言えば、もう少しFWのセットプレーを安定させることでしょうか。全体として、スクラムとラインアウトで負けるのはしょうがないとして、もう少し強化してボール支配率を上げられれば、このBKをもっと生かせると思います」 ○立川理道キャプテン 「今日の試合は、相手の重いFWにどれだけ対抗して、BKで勝負できるかでした。細かいミスが多くてトライを獲りきれなかったことと、FWはすごく頑張ってくれたのですが、ペナルティが多く出たことで、あのような試合になりました。向こうにボールを渡すと、すごく時間を使う上手いラグビーをされるので、こうした結果になったと思います。まだ、次のゲームがありますので、しっかり切り替えたいと思います」 ──対策は? 「関西ではあまりないタイプの帝京さんのラグビーを、しっかり分析して臨みました。うちのペースになると思っていましたが、今日は押されたことと、ラインアウトのミスが多く出てしまったことで、ペースを作れませんでした」 ──帝京のディフェンスの分析は? 「自分たちの強みであるBKでアタックして、フラットラインを機能させたいと思っていました。やったことのないチームなので、ディフェンスが強いかどうかは分からないと臨みました。うまくラインを抜けたところもありましたが、ゴール前で、その選手としてはチャレンジした結果、獲れなかったこともありました。しかし、マイナスにとらえてはいません。帝京さんのディフェンスは強さも良さもありました」 ──帝京は前半と後半で戦法を変えたのか? 「前半は、向こうが風下で、何回もボールを動かしました。後半に戦い方を変えたとは感じていません」 ──関西から来て、自分たちはアウェーのチームと感じたか? 「すごくたくさんの応援を感じました。力になって、選手全員の頑張りにつながったと思います」
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帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン
帝京大学の岩出監督(左)と森田キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督 (テレビインタビュー) 「三連覇にチャレンジできる、恵まれた一年でした。三連覇を達成することができて、喜びで一杯です。ここに集まった多くのラグビーファンに感謝します。森田を中心にまとまりある4年生でした。それを見て育つ下級生が、より一層精進してくれると思います」 (以下、記者会見) 「よろしくお願いいたします。今日の試合の戦法と選手の精神的な状態についてお話しします。戦法としては、我々の強みであるFWと天理さんの外国人を中心とした強力BKを考え、また、森田が腕と足首、ふくらはぎと盛りだくさんに痛んでいたので、FWが頑張って森田に負担をかけさせないというストーリーで戦いました。優れた突破力の相手BKですし、フルバックからのタッチは封印して、蹴るならハイパント攻撃で、相手にボールを与えない作戦でした。 選手の精神的な面については、ラグビーの勝ち負けにこだわると、ミスに目が行きますので、まず、勝ち負けにこだわらないで、良いラグビーをしようと臨みました。うちにもニュージーランドからの留学生がいますが、昨年のニュージーランド地震、東日本大震災、私は和歌山出身ですが、友人・知人が台風で家を流されたことなど多くの災害が起こりました。それと比べれば、三連覇を話題にしていただけることが幸せだと、すべてを出し切ろう、勝っても負けても幸せじゃないかと送り出しました。勝負事ですから、勝ちと負けには違いがあるかもしれませんが、勝ち負け抜きに幸せを感じて、その中で悔いのないプレーをさせてやりたいと思いました。最後はやはり森田が締めくくりのゴールを決めてくれました」 ──勝ち続ける難しさと三連覇の喜びについて? 「初優勝の時とまったく変わらない喜びがあります。それぞれの年で、学生の頑張り、多くのサポートによる優勝だと思います。これが一番というのはありません。三連覇は、後々、この喜びや深みを感じるときが来るかもしれません。幸運もあったかと思います。3月11日の大震災後に、部員を実家に帰しました。被災地の方とは雲泥の差ですが、後々、ラグビーができる喜びや三連覇への挑戦を意識できる幸せを実感することにつながりました。チャレンジできる喜びを噛みしめることで、選手はプレッシャーから解放されたように感じます」 ○森田佳寿キャプテン (テレビインタビュー) 「去年1年間、ここをターゲットに頑張ってきましたので、純粋に大きな喜びを感じています。決して平坦な道のりではありませんでしたが、この喜びは大学関係者の皆様、乗り越えた帝京ラグビー部の仲間がいてくれたからだと感謝しています。天理大学さんは素晴らしいチームで、厳しい試合になりましたが、積み重ねたことを信じてプレーしました。(最後のペナルティゴールを決めたことについて)キャプテンとして決められて良かったと思います。目の前の1試合、一つの練習をしっかりやり、成長していって日本ラグビー界を支えたいと思います」 (以下、記者会見) 「よろしくお願いします。ゲームプランは監督が言われたとおりです。ここを目標に取り組んできて、あとは自分たちの強みを発揮するだけだと臨みました。136名の部員、スタッフの方々の分をまずトライにつなげよう、痛い、きついプレー、厳しいところでは身体を張っていこうと言いました。天理大学さんは素晴らしいチームで、立川くん中心にBKが良く動くチームでした。今日の試合は最後まで結果が分かりませんでしたが、何とか勝利することができました。皆さんに感謝したいと思います」 ──怪我は最後のペナルティゴールに影響しなかったのか? 「練習の中で、ああいった最後のペナルティゴールをイメージして蹴っていました。一番プレッシャーがかかる真ん中のキックでしたが、無心になって、キックのチェックポイントだけを考えて蹴りました。当たりは正直、良くなかったのですが、積み重ねた時間と部員全員の気持ちが成功させてくれたと思います。怪我がキックに影響したとは感じていません。1プレーヤーとして、キャプテンとして、自分のできるプレーをしようと考えていました」 ──天理に同点にされた場面は? 「もう一度、エリアを取ることと、全員で我慢強くタックルに行くことでチャンスが作れると確認しました。集中力が持てて、前向きに行けました」 ──前半、風下を取った理由は? また、リードしていた際の気持ちは? 「前半は、強い日差しもあって、風下でしっかり我慢しようと選択しました。前半の中でもいくつかチャンスはありましたが、ペナルティで失う場面もありました。そこでも、気持ちを崩さずに戦っていました。後半も厳しい試合になりましたが、チーム全員がフラストレーションを溜めずに、もう一度チャンスゾーンに入ってスコアすることに集中できました」 ──今大会、初めてトライを獲られたが? 「もちろん、完璧を目指せば、大会ノートライが一番良いのですが、何より、天理さんは本当に素晴らしいチームでしたので、トライを獲られることは予想の中にもありました」 ──平坦な道のりでなかったという意味は? 「正直、とてつもないピンチとか、どうしようもない時期はありませんでした。対抗戦は、結果的には優勝できて良かったのですが、その中での慢心や気持ちの緩みを出さないように、目配り、気配りすることと、リーダーの学生がしっかりした積み重ねを考えてきたので、そのことを全員に落とし込む難しさが一番心に残っています」
 

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