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’90年代に覇権を争っていた2校が、今大会準決勝の舞台で激突。前半はスクラムでの劣勢に苦しんだ明治大学だったが、後半はアタックの勢いで大東文化大学を上回り、19大会ぶり(’98年度以来)となる決勝進出を勝ち取った。

前半は大東文化がキックオフ直後から相手陣に入り込み、スクラムの機会を捉えて明治にプレッシャーをかけていった。そして8分、相手ゴール前のスクラムを押し込んだところで、NO8アマト・ファカタバ(3年)が持ち出してさっそくゴールラインを割った。明治にもFWでトライを返され同点になった後の25分、今度はゴール前ラインアウトで組んだモールから、FL湯川純平(3年)がなだれ込んで再びリードを奪い前半を終える。

一方、前半スクラムだけで5つの反則を取られていた明治は、ラインアウトから始まったアタックで攻めあぐんでいた後半12分、スペースが空いていた左サイドを攻め、同点に追いつくトライを上げた。CTB梶村祐介(4年)からの素早いパスを受けたWTB山村知也(2年)の、鋭いステップで一度に2人のディフェンダーを置き去りにした快走だった。さらにPGで加点した後の21分、梶村が相手からボールをもぎ取って相手陣深くキック、戻った大東文化BKがタッチに逃げようとしたキックを梶村がチャージダウン。転がったボールを自ら拾ってインゴールで押さえた。25分にもトライを加えた明治は続く31分、またも梶村が相手パスをカットして山村へ。山村はそこから次々に4人を抜き去ってトライを重ねた。梶村は途中足を痛めながらも、「彼は痛がりだから(笑)」(丹羽政彦監督)とプレーを続行、未然にピンチを防ぐタックルも見せ、正に攻守に渡る大活躍だった。試合は終了直前にもトライを追加した明治が43-21で快勝、次は21大会ぶり('96年度以来)となる優勝に向け、8連覇中の帝京大学と決勝を争う事になった。

敗れた大東文化は前半、今季の強みとしているスクラムとFL河野良太主将(4年)を中心にしたディフェンスで優位に立っていた。しかし後半に入って「スクラムの機会が少なくなり、徐々に明治のアタックの勢いを受けてしまった」と青柳勝彦監督は試合後に振り返り、こちらは優勝した第31回大会(’94年度)以来となる決勝進出が果たせなかった事を悔やんでいた。(米田太郎)