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■明治大学

丹羽政彦監督

「今日はありがとうございました。今日の試合は明治にとっては久しぶりの決勝戦で、学生にとっては良い経験になったと思います。監督5年目で帝京さん相手に最少失点で抑えることができました。勝ち続けてきたチームと、19年ぶりに来たチームの"ちょびっとの差"だったと思います。選手は良くやって、満(古川主将)と梶村を中心に、ラグビーに真摯に向き合ってくれました。『勝って新しい明治を作ろう』と思っていましたが、あと1点足りませんでした。この悔しさを3年生以下に落とし込んで、明治が毎回、必ず正月を越えてファイナル(決勝戦)に出られるようにしたいと思います」

——敗因は?

「気持ちも入っていたし、一つ一つのポイントのところでミスがあり、流れに乗れなかったのが敗因だと思います」

——ハーフタイムの指示と、後半の入りは?

「前半は良く我慢もできてスコアは先行できたが、あくまでもチャレンジャーとして今までやってきたことをやろうと。後半、ゴール前で(トライを)取りきれず、向こうにスコアされたのが敗因です。もう少しFWでボールを回した方が良かったかと思います」

——19年ぶりの決勝戦は?

「古川も大人になり、私が喋ることはないくらいで。OB、OGにとっては待ちに待った試合でした。ここで勝っていれば、"ニュー明治"でした。ただ、この1年間やってきた大きなものを文化として残せたと思います。4年生には一言、『ありがとう』と。スタッフには、『もう一歩前へ近づいた』と。『帝京さんの10連覇を阻止できる最初のチームになろう』と。ファイナル(決勝戦)を迎えるにあたり、色々な媒体を使って、明治大学のファンに対してミスが出た時のチームへの野次、レフリーへの文句(を控えていただく)など、ラグビーの環境を変えようと発信することができました。プレーヤーも、レフリーも、ファンも、一体となってやるのがラグビー文化ですから。1点差は僕と岩出さんの力の差かもしれません。1年間、ありがとうございました」

○古川満キャプテン

「本日はありがとうございました。明治としては、セットプレー、タックル、ブレイクダウンの3つに焦点を当てて臨みました。セットプレーでは良くないところがありました。ブレイクダウンでは良いところも悪いところもありました。我慢しなくてはいけないところで我慢しきれなかったのが敗因だと思います。まだ、部の活動がありますので、後輩たちに残せるものを残していこうと思います」

——ハーフタイムに伝えたことは?

「帝京さんは良いラグビーをしてくるので、今はリードしているが、"0-0"の意識で明治のラグビーをしよう、と言いました。まずは4年生が中心となってそれをやろう、と」

——明治としての"北島イズム"を感じたが?

「後半、帝京さんに流れが行った時、今までの明治ならFW3人で守りに入ったプレーをしていたと思いますが、ゲインラインバトルをどんどん積極的に行くのが勝利への近道だと、ミスしてもチャレンジする方が後悔しないと思って、徹底しました」

——ラスト5分での自陣ゴール前スクラムの場面は?

「すごい楽しいなと感じましたし、両チームともに春から積み重ねてきたスクラムを堀越主将(帝京大学)が選択して、意地と意地のぶつかり合いでした。8人で、『春からやってきたことを出しきろう』と言って、本当に楽しかったですね。本来、ペナルティでスコアを狙っていくと思いますが、あそこでアタックのチャンスが巡ってきたのだということを後輩に伝えることができました」

——ゴールキックが入っていれば勝てたが?

「(キッカーの)堀米がすごく泣いていて、『俺が1本でも決めていれば』と。キッカーは大事な場面で蹴る勇気がある人ですし、何も言うことはありません。堀米は今日の試合でもキックで前に出してくれて、タックルでも身体を張ってくれたので、何も言うことはありません」

——19年ぶりの決勝戦は?

「(19年前は)僕らとしては、正直、生まれたばかりの時なので。でも、明治大学のOB、OGの応援のおかげで、19年ぶりにここに来ることができたと思います。今まで、ミスをしたら野次が飛んできましたが、今日は『ドンマイ、次、次』と声がかかりました。やっていて楽しかったし、明治大学を選んで良かったと思います。次は22年ぶりの優勝をして、OB、OG に恩返しができると思います」


■帝京大学

○岩出雅之監督

「一言、何を話せば良いのか・・・ホッとしています。試合内容は手に汗握る、クロスゲームの醍醐味を感じる試合でした。学生は頑張って全力をふりしぼったと思います。大学ラグビーとして、若さも集中力もある良い試合でした。結果的に我々が勝たせていただきましたが、今日の試合は、明治さんの素晴らしい好ゲーム、好ファイトで我々も嬉しかったです。ハーフタイムには、厳しいゲームの中でどうタフに頑張るか、積み上げてきたことをやりきれるか、それを楽しみに試合を見つめてほしい、と伝えました。試合は選手たちの頑張りを信じるしかない、と。学生たちが流れの中で、選択したプレーをしっかりして、最後には勝つことを信じて見守っていました。我々にも運が回ってきてチームを勝たせることができましたが、どちらが勝ってもいいゲームでした。胃が痛くなる試合でした」

——胃が痛くなったのは、どの場面か?

「痛くなったと言った方が良いかな、と思って言いました(笑)。指導者も、選手も、惑わされるものを自分自身で作り上げずに、最後は選手たちを信じることです。以前、対抗戦(関東大学ラグビー対抗戦)で対戦した際のスコアを意識している選手がいたら迷うと思います。学生たちの慢心でなく、ちょっとしたことですが、厳しいゲームではしっかりやってほしいところです。ハーフタイム時のスコアは離れていましたが、逆に心配することはなく、今年は楽しみな強さを身に付けて、あのようなシチュエーションになったので、頑張ってもらおうと思って見ていました。前半はファーストタックルが少し悪かったので、二人目はしっかりとヒットさせていこう、と。我々のアタックは二番手が少し遅れていて、ブレイクダウンで勢いを感じられなかったので、そこを修正して、いかに自分の力を発揮できるマインドにするか、というところでした」

——選手たちの成長は?

「ノンビリしているんですね。可能性は感じていましたが。彼らが力を発揮するのは危機感を持っている時で、そのような時には素晴らしい団結を見せてくれます。少し楽な相手だと甘い。ですので逆に、今日厳しい結果になった方が彼らの人生にプラスになるのでは、と。勝っても良し、負けても良し、という心境でした。追い込まれる中で、ラグビーを修正しましたが、もう少し個々の厳しさを出せればもっともっと強くなれると思うのですが。現代の学生のもっている一面でしょう」

——V10(10連覇)については?

「まず、休ませてください(笑)。我々も努力しますが、学生スポーツですから、未完のままで終わることも多いです。僕自身も彼らの足りないところを見つけてチームを育てたいと思いますが、明治さんにも多くの選手が残りますし、慶應さんもそう、早稲田さんも100周年に向けて気持ちが入ると思います。9連覇のことを支えにするだけでなく、自分たちをしっかり持って積み上げることが大切です。まず、決勝の舞台に立って、出しきれるようにしたいと思います。今年は楽しむ難しさを感じましたので、新しいリーダーと、本当の意味で世の中に持っていける活動をしていきたいと思います。学生の努力をしっかり支えたいと思います」

○堀越康介キャプテン

「1年間、今日この日をターゲットにチーム一丸となってやってきて、そして勝つことができて、キャプテンとして嬉しく思います。これまで支えてくれた皆様に恩返しできてホッとしています。明治さんは100%でぶつかってくれて、良い試合でした。本当に楽しい試合でした。我慢する時間もありましたが、この時間帯も楽しもうと声をかけていました。あの時間、我慢できたのが勝因だと思います。出しきることができて、良かったと思います」

——選手たちの成長は?

「監督のおっしゃるとおり、少しこのチームはノンビリしていて、どこかで隙があり、安心感を出してしまう部分がありました。良いところは、全員が危機感を感じていると、集中して大きな力を発揮できるので、常に選手たちに危機感をもたせることを意識してきました」

——後半の最後、敵陣ゴール前のスクラムは?

「今シーズン、スクラムにはこだわってきて、同時に悔しい思いもしてきて、スクラムが僕らの強みになりました。スクラムを選択してやりきれたことで、良いスクラム文化を作れたと思います。(同じ桐蔭学園高校出身の)明治大学の古川主将とは仲が良いですし、よく話しますが、高校の仲間と試合やスクラムを楽しもうとすることができたので、個人としてもお互い成長できたかと思います」
(横から岩出監督が引き継ぎ)「堀越キャプテンも成長しました。マイクの声が力強くなって、とても頼もしく感じます。良いキャプテンが来てくれました」

——スタンドは7:3でアウェイだったようだが?

「客席は気にせず、集中していました。こちらにも、たくさんの仲間、クラブのメンバー、メンバー外の選手の全員の声が聞こえました。苦しい時間帯に、皆の声援に力をもらいました。あちこちから声援が聞こえて、チーム一丸となっての優勝だと思います」