FWはほぼ不動、BKは大きく入れ替え
仮想サモア戦で日本らしさを取り戻す
カナダ西部夏時間の3日(日本時間4日)、バーナービーでワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ(PNC)最終節、日本−トンガ戦が行われる。
第1節でカナダに20—6と快勝した後、アメリカ、フィジーには「あえて本来の日本とは違うスタイルのラグビーをした」(エディー・ジョーンズヘッドコーチ)ことも影響して、いずれも惜敗。
3位の座を賭けて戦うトンガ戦は進歩を実感させるしっかりしたパフォーマンスとともに、勝利という結果も求められる試合となる。
FLリーチ主将率いる日本代表はトンガと戦うPNC最終戦でRWCへ勢いをつける有終の美を飾れるか
photo by Kenji Demura
「PNCは全勝を目指していた。試合に勝ちたい気持ちは変わっていない」(ジョーンズHC)
アメリカとは第2節に対戦。直接対決こそなかったが、日本とサモアは常に同じ日に同じ会場で試合をしてきた。
開幕まで50日を切ったラグビーワールドカップ(RWC)イングランド大会で直接対決するライバルが含まれていたこともあって、PNCに入ってここまでの3戦、日本代表がRWCでの戦い方とは異なるゲームプランでここまでプレーしてきたのは事実だ。
その結果、アメリカには後半15分間に14失点して、逆転負け。
ジョーンズHCが「PNCで一番の強豪」と評価していたフィジーにも、前半20〜27分の7分間に3トライを重ねられて、27—22で敗れた。
「64%のポゼッション、ラインアウトは100%、スクラムも100%。ゲインラインも85%切っていた。どう見ても勝つチームのスタッツ。それなのに勝てなかった原因を探さないといけない」
あと一歩届かなかったフィジー戦を経て、ジョーンズHCはトンガ戦では「自分たちの本質に立ち返るラグビーをする」ことを訴える。
「ここ2試合は違うスタイルのラグビーをしていたので、今度は本来の自分たちのナチュラルな部分を出して、いいテンポのラグビーをしたい」
フィジー戦で最後は「あと1回、向こうがスクラムを崩したらペナルティトライとレフリーにも言われていた」(PR平島久照)というところまで追い込んだFWに対して、BKのパフォーマンスは「あまり良くなかった」というのがジョーンズHCの評価だ。
FLリーチ主将、SH田中(写真)などスーパーラグビー組が参加以降、練習での緊張感も増し、前進を続ける日本代表
photo by Kenji Demura
「テンポアップと大事な場面で立て直すこと」(リーチ主将)
メンバー的にもほぼ不動のFW陣(LOトンプソン ルーク→大野均。リーチ マイケル、マイケル・ブロードハーストは6番と7番を入れ替え)に対して、BKはケガ人の影響もあるとはいえ、フィジー戦とは大きく異なった陣容でPNC最終戦を戦うことになる。
フィジー戦でCTB田村優に替わって途中出場した小野晃征が先発SOに入り、立川理道はCTBに回る。
「トンガはフィジーに似てフィジカルでくるチーム。しっかりゲインラインを取って、賢く戦わなくてはダメ。BKもFWもプレッシャーかけて敵陣でやるということを意識してプレーする」
昨秋の欧州遠征以来の先発復帰となるSO小野はそんなふうにゲームプランのイメージを語る。FWが獲得、保持したボールをBKがいかに効果的にアタックできるかがキーになる。
WTBは左に藤田慶和、右にカーン・ヘスケスと、フィジー戦からは総入れ替えの先発陣に。
「WTBの選手たちのパフォーマンスはPNCではそれほど良くない。ボールキャリーをしてくれること、対面の選手にきちんとタックルを決めてくれること。ここまでの試合ではうまくいっていないシンプルなことをしっかりやってほしい」というのがジョーンズHCのWTB陣に求める仕事だ。
BKでいかにトライを取り切るかもポイントに。藤田(写真)、ヘスケスのWTB陣の決定力にも期待がかる
photo by Kenji Demura
また、リザーブには出場すれば13年11月のスコットランド戦以来となるCTBクレイグ・ウィングの名前も。
「ゲームフィットネスという意味では少し下がっているかもしれない。それでも、ベーシックな動きは自分でも満足いくレベルだし、エナジーも十分にある。どういう状況でもタックルをしっかり決めていくことは自分の仕事になる」(ウィング)
13年秋のスコットランド戦以来のメンバー入りとなったCTBウィング。コンディションは「3、4年で一番」
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「トンガはサモアと似た相手。ゲームプランのいくつかはサモア戦をシュミレーションしたものになるかもしれない」
ジョーンズHCは今回のトンガ戦は10月3日にミルトンキーンズで対戦するサモア戦を想定した戦いにもなることを示唆する。
「トンガはフィジカルでくるので、まずはそこでしっかり対抗しなくては向こうのやりあいラグビーやられてしまう。この間のフィジーみたいに前半からガンガンくると思う。いかに耐えられるか。逆にこっちがDFでも前に出て、一歩でも前に進めるか」(LO大野)
日本代表最多キャッパーをして、「中4日の試合が2回続くのは自分としても初めて」と言わしめる厳しい条件で行われるトンガ戦。
「(フィジー戦ではできなかった)大事な局面で立て直すこと」(FLリーチキャプテン)という試合の中での修正能力が問われる試合ともなる。
text by Kenji Demura
「勝ちたい気持ちは変わらない」。RWCへはもっと選手主導になっていくことも期待するジョーンズHC
photo by Kenji Demura