南アフリカに続きスコットランドも撃破し
RWC2015での2つの目標達成へ突き進む
23日、イングランド西部グロスターでラグビーワールドカップ(RWC)2015プールB、スコットランド対日本戦が行われる。
19日のプール初戦で、過去2大会での優勝を誇る南アフリカを34—32で破る大金星を挙げた日本は、中3日という厳しい日程で欧州6ヶ国対抗の雄と対戦する。
「南アフリカ戦の後も選手たちに満足している雰囲気はない。しっかりマインドセットを切り替えて、スコットランド戦の準備に集中している」
本人に来たお祝いメールが約200通。世界中のメディアから注目を集め、街を歩いても多くの祝福を受け続けている。
RWC史上最大のアップセットを成し遂げたことでチームを取り囲む環境は大きく変わったが、選手たちに浮ついた感はないとFLリーチ マイケルキャプテンは言う。
「このチームは1度だけ世界を驚かせるためにイングランドにやってきたわけではない。2つの目標がある。ひとつは準々決勝に勝ち残ること。そして、もうひとつはトーナメントで最も印象に残るチームになること」
エディー・ジョーンズヘッドコーチが強調する2つの目標達成のため、そして対南アフリカ戦勝利という大偉業に対して「偶然」とか「奇跡」などという軽い評価を寄せ付けないためにも、スコットランド戦がより重要な意味を持つのは間違いないところだ。
スプリングボクスとの激闘から中3日で迎えるRWC2015第2戦。
初戦の先発メンバーからは6人を入れ替えて(SO立川理道とWTB松島幸太朗はポジションが変わる)、スコットランドに対峙する。
「モールとハイパントを多用してくるスコットランドにしっかりセットピースで対抗するため、フレッシュレッグが必要だ」
ジョーンズHCは、両PRに関して先発とリザーブを入れ替えた理由をそう説明する。
共にRWC初先発となる稲垣啓太、山下裕史だが、2人揃って南アフリカ戦で20分以上プレーしており、浮き足立つことなく試合に入っていけそうだ。
「(ワールドカップの雰囲気を)1回味わったので、落ち着いてプレーできる。スタートで出ると、1個1個に力を入れてできるし、それを求められている。後ろにハタケ(畠山健介)がいるので安心感もある。
2年前マレーフィールドでやった時も、スクラムはそこまで押し込まれることなかった。今年1年間やってきて、ジョージア、南アフリカともしっかり組めてステップアップできているところを出していきたい」(山下)
「ファーストプレーをとにかく大事に。フィールドプレーでも自分の持ち味であるワークレートを生かして、いいプレーをしていきたい」(稲垣)
リザーブには、三上正貴、畠山という南アフリカ戦の先発組が控えることもあり、先発の2人は最初から100%のプレーを見せることを宣言する。
FW第2列はジョーンズHCが「どんな状況でも常に体を張ってプレーする」と脱帽する“ロックの中のロック”トンプソン ルークが南アフリカ戦に続いて先発。
第3列もこなせる機動力を持つアイブス ジャスティンとコンビを組む。
バックロー(FW第3列)は、リーチキャプテン、マイケル・ブロードハースト、アマナキ・レレイ・マフィという南アフリカ戦で圧倒的な存在感を見せた3人。
NO8マフィを先発させるのは、「ここ最近の15試合でスコットランドは前半でリードされると、勝つのが難しくなっている。試合のスタートが大事になる」(ジョーンズHC)と、先手必勝のためだ。
photo by Kenji Demura
2トライを記録した2年前のアウェー戦時より
「もっといいパフォーマンス」を狙うWTB福岡
ハーフ団は南アフリカ戦でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に輝いたSH田中史朗と、やはり攻守に前に出る姿勢を示し続けてMOM級の活躍を見せたと言っていい立川が、SO小野晃征のコンディションの問題もあってCTBからSOへ。
立川がSOに上がって、CTBがマレ・サウと田村優(南アフリカ戦では後半32分から途中出場)のコンビとなるのは、南アフリカ戦の終盤と同じ。
WTBには2013年11月にマレーフィールドでスコットランドを追い詰めた時のヒーロー、福岡堅樹が満を持して11番で先発。南アフリカ戦で攻守にワールドクラスのプレーを示した松島幸太朗が14番に回る。
「前回、試合をやった時にすごくいいイメージを残しているので、そのイメージのまま、もっといいパフォーマンスができればいい」と、福岡は2トライを奪った2年前以上の活躍を宣言する。
ラグビー専門サイトとして世界で最も著名と言っていい『プラネットラグビー(PR)』が、RWC2015第1節のべスト15に選ぶなど、世界最高のFBとの評価を受けるようになったと言っていい五郎丸歩がいつものように最後列を締める。
ちなみに、その『PR』のベスト15に日本から選ばれたのは五郎丸だけ。
その事実は、あれだけの偉業を成し遂げても、まだ世界から真の意味での正当な評価を受けていないということを示しているのかもしれない。
中3日で臨むスコットランド戦でも、世界を驚かせるパフォーマンスを見せて勝利を収め、準々決勝進出へまい進するとともに、RWC2015で最も印象に残るチームの座も確かなものにしてほしい。
text by Kenij Demura

photo by Kenji Demura

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