RWC2015プールB展望
日本の対戦国徹底解剖<スコットランド編>

BKのキーマンはファンタジスタSOラッセルか


「ニュージーランド出身の素晴らしいコーチが監督になって、スコットランドらしいチームになった」
そんなふうに現在のスコットランド代表に関して分析するのは、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ。

今年の6ヶ国対抗では、イタリアにも敗れて5戦全敗の最下位に沈んだが、確かに、この8〜9月に行われたRWC2015の準備試合では、復調の兆しが見られたのも確かだ。

イタリアに2連勝し、僅差で敗れたものの6ヶ国対抗覇者のアイルランドと、RWC前回準優勝チームであるフランスを追いつめた。

しかも、両試合とも、リズム良くアタックしていたのはスコットランドだった印象。

「スコットランドらしいチーム」とは、欧州のチームの中でも体格的には恵まれていないこともあり、うまく相手のストロングポイントをズラしながら、小気味いいアタックをしていく、本来のスタイルを取り戻したあたりが、イングランド出身のアンディ・ロビンソン前監督の時代とは変わったことを示していると言っていい。

 

若干22歳で指令塔を務めるスコットランドのファンタジスタSOフィン・ラッセルを筆頭に、近年になくBK陣にもアタック能力のある顔触れが揃い、度々ライン攻撃で効果的なゲインを獲得するシーンも少なくない。

 

それでも、ジョーンズHCは日本に対しては、そんな理想的なスタイルではない古典的なアプローチで向かってくることを予想する。

「モールとハイパントでくる」

1991年にベスト4に進出した際のジョン・ジェフリー、フィンレイ・コールダー、デレク・ホワイトの第3列に代表されるように、いい時のスコットランドには泥臭いタイプのFW陣が揃うことが多いが、現在のスコットランドには身長207センチのLOリッチー・グレイや南アフリカ出身のPRウィレム・ネル、NO8ジョシュ・ストラウスなど、インパクトプレーヤーが多いのも特徴だ。

 

ただ、日本戦にはリッチーではなく、スコットランド代表一のハードタックラーと言われる弟のLOジョン・グレイやニュージーランド出身でSH田中史朗とともにハイランダーズでスーパーラグビーを制したFLジョン・ハーディが先発メンバー入りするなど、どちらかというと仕事人タイプを揃えた印象だ。

 

WTB陣は97キャップを誇るショーン・ラモント、トミー・シーモアという2年前にマレーフィールドで対戦した時と同じコンビ。

 

最終的には日本を42—17で引き離したスコットランドだが、WTB福岡堅樹の2トライなどで、後半12分の時点では1点差に迫られたこともあり、むしろWTB陣にとってはリベンジ戦に近い感覚があることも予想される。

 

福岡—松島幸太朗という若き日本のスピードスターたちに、どう対峙してくるのかも日本のファンとしては気になるところだ。

 

text by Kenij Demura

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前回大会はアルゼンチンに敗れ準々決勝進出を逃したスコットランド。今大会の8強入りの鍵はズバリ日本戦か
photo by Kenji Demura