早稲田大学 57-7 中央大学【セカンドステージ 2013年12月22日(日) /埼玉・熊谷ラグビー場 】 大学選手権2ndステージ、プールDの最終戦。前節まで1位の早稲田と2位の中央大学との勝点の差は5点。 中央大学としては、早稲田にポイントを与えずに勝利する事が最低条件となり、選手の表情にも気合が入っていた。 一方の早稲田は、負けてもポイントさえ取れば、国立競技場で行われる準決勝に進めるという有利な条件だが、全勝して駒を進めたいところ。 熊谷ならではの空っ風の中、早稲田大学が風上でのキックオフで試合は始まった。 先制したのは早稲田。中央大学ボールのスクラムでプレッシャーを掛け反則を誘うと、中央大学陣22M中央からのPGを早稲田(10)水野が決め3-0となる。 その後の20分間、早稲田は自陣-中盤エリアでは風上を利用してのキック攻撃で、無理をせず相手陣に入ってから勝負を仕掛けるが、中央大学のディフェンスに突破口が開けず、ハンドリングミスも重なり得点を重ねる事が出来なかった。 一方の中央大学も、スクラム・ラインアウトといったセットプレーが安定せず、ゲームをコントロールするに至らなかった。 前半20分近くから早稲田大学の攻撃のテンポがよくなり、ボールを良く動かす様になる。一方の中央大学は必死のタックル早稲田大学の出足を食い止めようとするが、フェイズを重ねる毎に中央大学ゴールに迫ってくる。 最終的に中央大学陣ゴール前のラックから、(7)布巻が(8)岡田へ左サイドへパスを出し、そのまま(11)深津に渡り、タッチライン際を走りぬけトライを奪う。ゴールは入らず8-0となる。 その後25分に(10)水野が中央大学陣内から、カットインで中央大学のディフェンスラインの裏に出て(15)藤田に繋ぎトライ。28分には同じく水野が中央大学のディフェンスのギャップをついて自らトライを奪う。 中央大学は素早いディフェンスで早稲田大学の出足を止めようとするが、モール・ラックサイドからのディフェンスが少し流れ気味に出てきたところを、早稲田大学が縦に切れ込んで大きくゲインする場面が何度か見られた。30分の(6)金のトライ、41分の(7)布巻のトライは、中央大学のディフェンスラインのギャップを付いたトライだった。 前半だけで5トライを奪った早稲田はポイント1を加え、この時点で準決勝進出を確実にした。 (前半 36-0) 後半に入り、早稲田大学はこの日活躍していた(6)金と(7)布巻を下げた。 風上にたった中央大学は、(12)キャプテンの山北、セブンズ日本代表の(15)羽野がチャンスを作るものの、早稲田大学の出足は鋭く、なかなか相手ゴールを割る事が出来ず、18分には(3)キャプテンの垣永の突破を起点としてブラインドサイドを4人が細かくパスを刻み、後半12分に(11)深津と入れ替わった(23)土肥がフィニッシャーとなってトライを挙げた。 29分には早稲田大学(15)藤田が右サイドから左へ大きくロングパスを放り、(23)土肥が再びゴールラインを割る。 ゴールも決まり、この時点で早稲田大学は50点の大台に乗せた。 この間、早稲田大学キャプテン(3)垣永は、攻守のポイントとなる場面で常に居て、チームを引っ張っていった。 一方、敗戦確実となった中央大学だが、最後の最後まで気力は切れていなかった。 35分には早稲田大学の反則から得て、タッチキックで早稲田陣22Mラインまで進み、この日不調だったラインアウトをキープし、モールで10M前進。ゴール前でラックとなった所で、30分で(9)長谷川と入れ替わった(20)高崎がボールを拾い、早稲田大学ゴールラインを割り込み、関東大学リーグ戦2位の意地を見せ付けた。 その後、試合終了のホーンとほぼ同時に、中央大学ゴール前でペナルティを得た早稲田大学は(15)藤田がそのままボールをインゴールへ持込み、(22)間島のGKも決まり、57-5で早稲田大学が勝利した。 早稲田大学は終始、磐石な戦いで大学日本一奪回に向けてチーム力は高まってきており、打倒帝京大学を目指して更にパワーアップするものと思う。 一方の中央大学は、ここ2年ほど関東リーグ戦でも下位に甘んじていたが、今回の戦いは次年度以降に繋がるはずだ。 点差は開いたが、両チーム共に持てる力を発揮してくれた試合だった。 (辛島勝広) photos by RJP Kenji Demura 早稲田大学の後藤監督と垣永キャプテン 早稲田大学 ○後藤禎和監督 「勝ったほうが次へ進める試合ということで、その緊張感を持って臨もうという事と、相手の中央大学が非常に良いディフェンスで勝ち上がってきているチームですので、それに対して早稲田が今年やってきた正攻法のアタックで打ち破ろうと考えてきました。前半、風上に立ってシンプルにキックを使ってと考えましたが、少しハーフ団がバタバタしてしまって、最初の得点をとるまでにもたつきましたが、最初のトライをとってからは落ち着いてプレーができていたかと思います。後半、風下になっても粘り強くできていました。1トライは取られましたが、概ね満足できる内容でした」 ──水野選手の出来について。 「前半20分までは、錯乱状態でしたね。自らトライをしてからは落ち着いたのではないでしょうか。彼の良さは自分で仕掛けて切れ味よく突破できるところですので」 ──準決勝の相手、筑波大について。 「対抗戦の序盤とは別チームという印象です。元々能力の高い選手がそろっているので、その能力の高い選手たちがひたむきに勝利を目指して、非常に良いラグビーをしているので、手強い相手というしかないですね」 ──次の試合まで修正する点は? 「まずはコンディショニングですね。若干期間が空きますので、完全にリフレッシュさせて万全の状態で臨むということが何より大事と思います」 ──布巻選手を前半で入替させたが。 「足に少し不安があったので無理をさせませんでした」 ○垣永真之介キャプテン 「相手の強いディフェンスに対して序盤は受けてしまう場面もありましたが、20分くらいからはこちらも一人一人が力強く前に出て突き放せるようになった点は、良かったと思います。僕ららしいアグレッシブなラグビーができたのではないかと思っています」 ──準決勝の相手、筑波大について。 「個々の能力を活かすことを追及しているチームだと思います。しかし、どんな相手だろうとしっかり準備をして、自分たちのラグビーをして勝利したいと思っています」 photos by RJP Kenji Demura 中央大学の松田監督(左)と山北キャプテン 中央大学 ○松田雄監督 「今日は本当にたくさんの方が見ていただいている中で、選手たちが無事に戦い抜いてくれたこと、感謝しています。そして大学のOB、ファンの方々がたくさん応援していただいたことに感謝しています。選手たちもやれることを出し切ったのではないかと思います」 ○山北純嗣キャプテン 「今日の一戦、悔いはありません。すべて出し切ったつもりです。点差は空いてしまいましたが、自分たちの思いは後輩たちに残せたと思います」 ──点差がついてしまった要因は? 「早稲田大学さんのテンポあるアタックにやられてしまいました。少しずつゲインを許しているうちに、能力の高いランナーに走られてしまいました」