国内シーズン終了直後で準備不足露呈
アタックで収穫もDF では課題再確認

2月6、7日、オーストラリアのシドニーでHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ 2015-2016 第4戦 が行われ、同・第1戦のドバイ大会、同・第3戦のニュージーランド(ウェリントン)大会に続いて出場した日本は5戦5敗で全日程を終えた。

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初戦のイングランドをはじめ世界の列強相手に健闘も見せたが5戦全敗の成績に終わった日本
photo by Kenji Demura

「入りは良かった」
試合後、ツアーキャプテンを務めたレメキ ロマノ ラヴァがそう語ったとおり、大会初戦のイングランド戦の立ち上がりに先にチャンスをつかんだのは日本だった。
レメキ自身が突破力をみせてイングランド陣22m内へ攻め込んだが「パスが後ろにいってしまった」(レメキ)ことで、ターンオーバーとなり、そのままイングランドに先制トライを奪われてしまう。
イングランドは前半4分、6分にも日本のミス、ターンオーバーを起点にトライを重ねてハーフタイム時のスコアは19−0でイングランドのリード。
日本も後半開始早々に豊島翔平→橋野皓介→レメキとつないでトライを返すが、後半3分にイングランドにトライを加えられて、5ー26で敗れた。

続くアメリカ戦は今季のワールドシリーズでトライ数で総合4位につけるペリー・ベイカーに3トライを奪われるなど33失点。
日本も「アタックに関してはほとんど何もやっていない」(瀬川智広ヘッドコーチ)にもかかわらず、前半4分に大島佐利、後半6分にレメキ、同7分に豊島と計3トライを奪う攻撃ポテンシャルの高さを見せたが、勝敗を競るまでには至らず17ー33での敗戦となった。

プール戦最終戦の相手はウェールズ。
今季第3戦までの総合成績で4位のイングランド、同6位のアメリカと比べて、同13位のウェールズとは1週間前のウェリントン大会では延長戦で敗れる惜しい戦いをしていただけに、リベンジ戦とも言えた。

いきなり、プール戦3試合目にして初めて先発出場を果たした山田章仁が積極的な走りでチャンスをつくり、「アタックは通用する部分もあった」という後藤輝也が思い切った走りでウェールズのディフェンスを破って先制。
3分にウェールズにトライを返されたものの、6分に再び山田が前に出た後、レメキにつないで2トライ目。
「セットからしっかり切っていって、チャンスを作れることができた」という山田の積極的なプレーが功を奏するかたちで、前半を14—7で折り返した。
後半2分にも敵陣でプレッシャーをかけてウェールズの反則を誘い、PKから攻めて副島 亀里 ララボウ ラティアナラが飛び込んで3トライ目。21—7とリードを広げたが、この後、ディフェンスが破綻。
3分間に3トライを重ねられて、まさかの逆転負け(21—26)を喫した。

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前半4分の大島(写真)など3トライを奪った日本だがアメリカに5トライを重ねられ17−33で敗戦
photo by Kenji Demura

ピークはあくまでも8月に
3月にはアメリカ大会参加

プールDで4位になった日本の大会2日目初戦の相手はポルトガル(ボウル準々決勝)。
「元々粘り強く、ひたむきにボールを追うチーム」(瀬川HC)という相手に対して、プール戦で失トライにつながることが多かったオフロードのところをしっかり抑えることを一番の修正点として臨んだ。
試合開始のキックオフからポルトガルに粘り強く攻められて先制を許すが、4分には「特徴である思い切りの良さが出た」(瀬川HC)という後藤輝が自陣から仕掛けてレメキにつなぎ、最後は再び後藤が走りきって同点に追いつき、6分にもPKから豊島→トゥキリ ロテ→副島とつないで勝ち越し。
日本としてはこのままリードして折り返したかったが、前半最後のキックオフからポルトガルに外のスペースを攻められ、ディフェンスのポジショニングが悪くなってトライを返され。12—12でハーフタイムへ。

後半は3分、5分、6分とポルトガルがトライを重ねる一方的な展開となり、日本も終了間際に小澤大がトライを返したものの、17—31で敗れた。

「今日始まる前に選手だけでプレーヤーズミーティングをして、いろんな課題はあるがシンプルに絞っていこうという話をした。早く面を揃えて、みんなで上がろう。そこだけを意識した」(橋野)ポルトガル戦だったが、「体が動いていない」(瀬川HC)というコンディションの問題もあり大敗。

シールド準決勝はドバイ大会では21—19で競り勝ったロシアが相手だったが、この試合でも前半は互角以上の戦いをしながら(12 –10)、後半崩れるウェールズ戦以降のパターンを踏襲してしまい24 –17で敗れた。

「走れていないし、守れていない。得点チャンスにトライできていないのに、簡単に失点してしまう。あまり準備ができない状況でコンディショングのよくない選手もいたし、難しかった」(瀬川HC)
日本選手権から1週間、LIXIL CUPファイナルからも2週間、国内合宿では人数が7人集まらずにセブンズの練習ができないという状況だっただけに、結果が出ないのは致し方ない面があったのは事実。

「ピークを8月に持っていくということを考えると、いまはトレーニング期間。この2大会もトレーニングの位置付け。それでも、その中で勝たないと。選手自身が変わっていかない」(坂井)という危機感も持ちながらの戦いだったが、結果的には全敗。
ウェリントン、そしてシドニーでは、まだ国内シーズンが終わったばかりで7人制モードへの切り替えが難しい選手も多かったものの、これからは7人制に集中できる環境も約束されている。
南半球で感じた悔しさをバネに成長した姿を見せる次なるチャンスは3月4〜6日にラスベガスで行われるHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ 2015-2016 第5戦のアメリカ大会となる。

text by Kenji Demura

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初先発の山田の積極的なプレーで流れをつかんだ日本だったがウェールズに悔しい逆転負け
photo by Kenji Demura

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先制トライを奪った後藤輝の活躍などもありポルトガルにも前半は互角以上だったが、後半崩れた
photo by Kenji Demura

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橋野の2トライなどで後半4分までは17ー17だったロシア戦でも最後に力尽きて惜敗した
photo by Kenji Demura