ボウルTファイナルで地元ロシアに敗退
世界で戦うため継続強化の必要性実感

6月28-30日に行われたラグビ―ワールドカップ・セブンズ2013。スコットランド、南アフリカ、ロシアと戦い1分2敗の3位となった日本は最終日のノックアウトステージでは、ボウル・トーナメントへ。フィリピン、グルジアに連勝して同トーナメントファイナルに進出。プール戦で12-12で引き分けていたロシアと決着をつけるゲームとなったが、5-29の大差で敗れた。

(text by Kenji Demura)

photo by H.Nagaoka
photo by K.Demura

ボウル・トーナメント初戦(準々決勝)の相手はアジア第3代表のフィリピン。
「アジアのチームには負ける訳にはいかない」(坂井克行キャプテン)のは当然とも言えたが、それ以外にもジャパンの選手たちにスイッチが入る要因があった。

日本-フィリピン戦の1試合前のグルジアー香港戦でグルジアが勝利したことで、日本がフィリピンに勝てば準決勝でグルジアと対戦することが決まっていた。

グルジアは3月の香港セブンズのプール戦では快勝していたものの、準々決勝で再戦して敗れたことで、来季のセブンズワールドシリーズのコアチーム入りの可能性を消滅させられた相手。

「みんな疲れているけど、フィリピンに勝てばグルジアと試合ができるということで、気持ちが入っていた」という瀬川智広ヘッドコーチの言葉通り、立ち上がりからフィリピンを圧倒。開始0分に、敵陣深くでロテ・トゥキリが相手のパスをインターセプトして先制。以降、7本のトライを重ねて、得点は50-0で完勝した。

「(プール戦では)気持ちが入り過ぎて、ボールウォッチャーになっていたところがあった。冷静にスペースを探して、グランドを広く使えるようになった」(坂井キャプテン)

内容的にも目指しているスペースにボールを運ぶスタイルに手応えを感じて因縁のグルジア戦へ。

ところが、再び気持ちの入り過ぎか、あるいは連戦の疲れもあったのか、「前半は全くダメ。アップから集中力なかった」(瀬川ヘッドコーチ)と、立ち上がりから日本にミスが目立つ展開に。

5分、7分とグルジアにトライを重ねられ、ハーフタイム時点で14点のビハインド。

それでも、「後半、成田などスピードを変えられる選手を入れてペースアップできれば、必ず勝てると思っていた。後半勝負のつもりでメンバーも選んでいた」という瀬川HCの読みどおりに、後半はグルジアにシンビン退場者が出た数的優位な状況も生かして3トライを重ね、最後21-21の同点からロスタイムに坂井キャプテンがPGを決めて、劇的な逆転勝ち。香港でのリベンジに成功するとともに、ボウル・ファナルに進出した。

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「個々が弱いので1人に3、4人費やしてしまう」(豊島)

プール戦でスコットランドを後半追い詰めたものの惜敗(17-19)、逆にロシアに対してはリードを守りきれずに追いつかれて引き分け。

目標のベスト8入りにあと一歩の戦いを続けながら、結果を出せずに、出場することになったボウル・トーナメント。
プール戦終了後、「切り替えて、必ず3試合できるように頑張りたい」と坂井キャプテンが語っていた最終日の最低目標は達成。

しかも、ファイナルの対戦相手は、プール戦で追いつかれて引き分けた、地元ロシア。

完全アウェーで、プール戦の決着をつけるという、タフさが試されるような状況。
しかも、大会期間中ずっと晴天だったモスクワの天候が急転。激しい雷雨によって、大会が1時間ほど中断された後、そのまま激しい雨が降り続く中での対戦となった。

「地元の応援も凄いだろうし、ロシアに先行されると苦しい。先にリードする展開に持ち込みたい」というのがロシアとの再戦に関する瀬川HCが描いていたゲームプランだったが、全く逆の展開となぅてしまう。
「キツい練習やってきているので大丈夫」

ベテランの成田秀悦はファイナルを前にそう語っていたが、この日3試合目、大会全体としては6試合目となるロシアとの再戦を前に、疲労が蓄積していた状態だったことは間違いなかった。

「(ワールドカップ前の)フィジー遠征でも雨のゲームを経験していたし、自信があった」(豊島翔平)とはいうものの、グラウンドを大きく使いたい日本にとっては、やはり厳しいコンディション。

立ち上がりからミスが目立った日本は、キックをうまく使ったロシアに前半4分、6分とトライを重ねられる。前半終了間際に坂井キャプテンが1トライを返して後半の逆転勝ちに望みをつないだが、後半はさらに一方的なロシアペースとなり、最終スコアは5-29で完敗。
世界ベスト8への道が厳しいことが改めて明らかになった。
「個人個人が負けている。個々のタックルが弱いので、1人に3、4人費やしてしまう」(豊島)
「同じメンバーで継続的に強化していくことが必要」(瀬川HC)

快勝した試合、勝ちきれなかった試合、完敗した試合。進化を続ける世界の7人制ラグビー最前線を体感したメンバーは1日、帰国の途についた。

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